NIKI HOLOS〈必要な時代に、私はまた現れる〉
『永遠という力がある。その力とは緑である。』
~ヒルデガルト・フォン・ビンゲン~
COVID-19こと新型コロナウイルス感染症が世界中に蔓延する中、アイスランドの森林管理局が「樹木と抱き合おう」と呼びかけたというニュースが流れました。
この樹木(森林)療法は、何も思いつきではありません。科学的な考証が行われています。森に入る前と後で血圧や脳波を測定したり、ストレスホルモンの量を検査したりして、明らかに有為な差が出ることを証明しています。また免疫細胞の活性が高まったという報告もあります。
木材に触ることで心身に起こる変化も調べられており、同じような効果が認められています。木に触るだけでリラックス効果があるとか。総じて森林環境と木という素材は、人の心に安定をもたらすことが示されているのです。
つまり森の中で過ごすことは、メディカルな手段となると認められている「木と抱き合う」ことが、COVID-19がもたらす不安や、人と交わらないストレスを和らげる可能性は十分にあるのです。
では大多数のいる都会では、どうでしょう。その森に到達するまでが大変ですよね。
現在、都会に住む人は、田舎、自然の多い地域に住む人に比べたらノンストップでストレスを受けやすい環境です。そのため、都会生活をする人はストレスがたまる人が多いと思います。
だからといって、ストレスは基本的に悪いものではありません。人類の歴史の中、ストレスは基本的に良い役割を果たしてきました。 短期的なストレスは人の命を守る機能であり、パフォーマンスを上げてくれる機能でもあります。しかし、長引くストレス状態は体に悪い影響を与えて、長期的には体・心・脳の何かしらの病につながるケースもあります。 ストレスをなくすことはできませんが、ストレスと正しく向き合う方法は様々です。
ヨーロッパでストレス社会がスタートしたのは、ちょうどヒルデガルト がいる中世時代から。「ストレス」という単語もその時に誕生しました。
言葉の由来はラテン語のstringereにあります。直訳の意味は【潰す・きつくする】ことです。社会的な影響で人のネガティブな状態に使われた言葉です(経済的なストレスや食べのものない時期など)。
今の時期ともちょうど重なりますね。まるでこの時代を見越したかのように〈必要な時代に、私はまた現れる〉と予見したヒルデガルトの通り、今こそ、『緑なす力』が必要であると感じます。
中世ドイツに実在した、神に仕える修道女であり、薬草学の祖、そしてライン川の巫女と讃えられたヒルデガルト・フォン・ビンゲン。
https://www.youtube.com/watch?v=2sGvrQm0gjo
「生きる」とは「人間の生きるべき道」を生きることによって成長するこ とであるとしたヒルデガルト 。
ヒルデガルトによれば……【 魂は肉体に命を与え、二つの主要な働き、つまり善悪を認識判断し、物事を 実行する意思によって、人間を死の淵へ追いやることもできれば、悪魔の誘惑から救うこともできる。魂の浄化はそれ故、死、「モルス」とは逆方向へ、 つまり生命力に満ちた健康な状態へ人間を導く。】
「御業は緑なす」
ヒルデガルトにとって「生命力」とは『緑なす力』であり、ともにラテン語では「ヴィリディタス」viriditas と言います。
この概念は、人間も含めた自然界 の事物が持つ新鮮さや若々しさ、活力を言い表すばかりでなく、人間の魂の 生命力や徳と結びつきます。
マクロコスモスとしての世界とミクロコスモスたる人間は、ともに神の作品として、様々な構成要素において「緑の力」によって比較されると言われています。
緑の力で大地 を支える大小の川は、血液で全身を支える脈管と似ていて、人間の体内の血液が欠けてくるようであれば、大地の魂の力も消え失せる。川が暖かさと湿気ですべての植物の若芽を出させるのは、ちょうど魂が肉の欲望を抑え、謙虚などの徳の力が目覚めることと同様である。
魂が持つ「緑の力」は、より高い、天上的なものを求め、神の力を見ようとする。ミクロコスモスたる人間がこの魂の「緑の力」によって救われる構 造は、マクロコスモスとしての世界にそのまま見られる。何故なら、愛によっ て宇宙を創造した神は、あらゆる要素を人間の魂を救うことと関連づけたか らである。例えば、大地に恵みを与える雨は涙と比較され、涙からは後悔と いう「緑の力」が育つ。後悔は魂の輝きである。
神の啓示をうけ、私たちにヴィリディタス(緑の力)植物療法、ストーン療法、音楽療法をとおして、宇宙の叡智を享受してくれた偉大な女性ヒルドガルトの世界が、900年間の時を経て、近年、ヨーロッパを中心に急速に注目が集まり、彼女の思想に拠り所を求める動きが、じわじわと広がりを見せつつあります。
肉体と心と魂をひとつのものとしてとらえる、ヒルデガルト医学の全体性医療は、現在叫ばれるホリスティック医学の源流といわれ、NIKI HOLOSでは少しずつ『治療することの意味』の根本的な真理を探っていこうと思っています。