為にならなくたって良い。

昨今のSNS世界はフォロワー至上主義みたいになっていて、いかにフォロワーを増やすかの闘いが繰り広げられいる。フォロワーを増やす方法、1ヶ月で何人増えたノウハウ……。フォロワーの多さがマネタイズにも繋がるからだろう。

そして、そういった場でよく大事なこととして言及されているのが、情報発信や誰かの為になる内容というものである。自分の得意なことやこれまでの経験を活かして、その情報を必要としている人たちに届けるということ。

フォロワーが多い人は「フォロワーを増やすノウハウ」という、為になる情報を発信して、更にフォロワーを増やす。

美容や旅行、グルメ、暮らし、金融、不動産。どのようなジャンルにおいても、中身の人が誰かなど関係なく、わかりやすく情報が羅列され読むだけで為になるアカウントは、フォロワーが増えやすい。

実際すごく便利だし、そのまとめを作成するのには一定の時間と労力が必要である。中の人の時間と労力の賜物を数秒で享受できてしまうのだから、もちろんそういったアカウントには感謝している。

しかしわたしは、このnoteで誰かの為になる文章を書きたいわけでも、情報発信をしたいわけでもない。

わたしの文章を読んで、「為になった！」「良い情報ゲットしたな」などと思ってほしいわけではない。むしろ、全然だれかの為にならなくても良いと思っているくらいだ。

わたしはただ、文章を通して人の心に少しでも触れたいだけ。読んだ人が共感してくれたり、クスッと笑えたり、ほっこりしてくれたり、全く知らない私とも何か繋がりを感じてくれたり。

わたしの文章が、楽譜に羅列された音符のようにその人の心を通り抜ける。そしてピアノの鍵盤が押されて音色が響くその一瞬のように、読む人の心が何かに反応してくれたら嬉しいのだ。

これがわたしの頭の中ではハッキリと図になっている理想の文章の伝わり方。(完全感覚人間の脳内なので、伝わるかは不明)

喜怒哀楽は、なんでも良い。読んでくれた人の感情をどくんと、あるいはふわっと揺さぶるような文章が書きたいのである。

いま、世の中では情報は本当に重要視されている。常にあらゆる情報が飛び交い、なにもせずとも多くのわたしたちの頭に入っては消えていく。情報は水のように流れ、わたしたちは、取捨選択し、解釈し、時には自分ごととして考えなければならない。

そんな世界だからこそ、あえて為にならないことや、伝えよう！と意図的にわかりやすく発信された情報ではないものを。感情に任せ、時には散らかったような文章を、そのままこの世に放り投げてみたいと思ってしまうのだ。