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すべて忘れてしまうなら


昨日の夜。いつか、今ある楽しい記憶や美しい思い出も、すべて忘れていくんだろうか。と思うと、突然悲しくて悲しくてたまらなくなって、泣けてきてしまった。


あまりにセンチメンタルすぎる丑三つ時。


どちらかというとポジティブな性格で、基本的には起きてない何かを想像して悲しくなったり落ち込むことはない。


けれど、夜中1人で起きている時。あまり良い気分じゃなくて、寝たいのに眠れない時。ふと、不安が襲ってくることが稀にある。

自分の将来はどうなるのだろう。

今いる恋人と別れたら、この楽しかった出来事もすべて過去になって記憶からうっすらと消えていくんだろうか。そもそも、もしも今の人と別れたら他の人に巡り会うことなんてあるんだろうか。

今いる友達も、おばあちゃんやおじいちゃんになったら一緒にいることはなくなって、その頃には家族もいなかったりして、わたしは独りぼっちになるのかな。

そういうネガティブな思考になる夜はさっさと寝るに限るのに、そんな日に限って眠れないのがあるあるだ。きっと、センチメンタルになる夜って誰にでもあるんだろうと思っている。


他人もセンチメンタルになっているからと言って何の救いにもならないはずなのに、そういう夜は「みんなこうなる日、あるよね」と思うことで乗り切ろうとする。


実はネガティブな夜に限らず、わたしがこの世から消えていく頃には、ほとんどのことを覚えていないんじゃないかと思っている。父方、母方共に、祖母が認知症になった。わたしの名前も、ましてや私の父である自分の息子のことすら覚えていない。


そんな現実を目の当たりにした時、私もこうやっていろんなことを忘れていくんだろう、と思わざるを得ないのだった。


それでも祖母は、先に天国に行った祖父のことだけは忘れない。戦前からの友人で、戦争を越えて巡り合ったふたりは、祖父が亡くなるまでずっとずっとお互いに添い遂げ続けた存在だった。

私の名前はわからないけれど、祖父の良いところは何度でも言う。遠い昔、祖父と2人で行ったオーストラリア旅行のことは鮮明に覚えている。

何か1つ。
それ以外、すべて忘れてしまうなら。


今のわたしは、何を選ぶのだろうか。
これだけは忘れないと、そう強く思えることを持って生きていたいと思った夜だった。

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