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Web漫画の紙書籍化でやったこと<なにぬ猫の場合>

先日、描きためていたねこまんがを紙書籍化しました。

電子書籍は別の題材で一度出版していますが、自力での紙書籍出版は初めて。
デジタルとアナログ印刷ではいろいろと違う点が多く、作品データの形式がらみで製本時にとまどうことが多かったので覚え書きもかねて記しておきます。
(つくづくかつての出版に携わっていただいた方達のお仕事に感じ入りました~、大変。😅)

*電子書籍化する計画だった*

プロフにもありますが、商業漫画家でした。
それもひと昔前なのでアナログもアナログ、紙にペンとスクリーントーンの時代。
「背景画像とか写真からトレス加工できたらいいのにね、キャラとの合成なんかも出来ちゃったりさ~」
なんて今なら当たり前なことをアシスタントさんたちとぼやきながら描いてた時代。(笑)

しばらく生業として描くことを休んでる間に時代は大きく変わってデジタルが主流になり、紙をディスプレイに替えて再びペンを持つようになりました。
そうやって描きためてきたねこまんが。
noteにまとめ始めたのは電子書籍化をする目的もあってでした。
何年もまたいだために定着してないキャラの絵柄やサイズを一括化してリライトして公開という流れです。
単純なコマ割りなのでテンプレートを作って描いていますが、それもWeb上での公開で読みやすいカスタムサイズにしています。

*デジタル原稿とアナログ原稿*

嬉しいことにフォローしてくださっている読者の方から紙の本のリクエストをいただくようになりました。
ちょうど1冊から発行可能なpixivFACTRYでのオンデマンド販売が可能だったので早速とりかかることに。

ここでひとつ問題が。
うすうす気になっていたこと、デジタル作品をアナログ印刷ってどうするんだろう?
ざっくり違いをいうならデジタルを水彩画としてアナログは白黒2色だけを使う版画。

使っている描画ソフトCLIP STUDIO PAINTに変換機能があったので使ってみると…

画像1

画像2

グレートーンが表現できず、とても残念なことに。
これはこれで味があっていいのかもしれないけど(´;ω;`)ウゥゥ
上のはこれでも調整してマシにしたもの、一発変換では見る影もありませんでした。

ちなみにカラー(RGBといいます)をモノクロ原稿に置き換える方法を詳しく解説しているサイトさんがあったのでご紹介。

この方法で全頁…ムリ🤣
いさぎよくカラー(RGB)のままいくことにしました。

*印刷用に解像度と原稿サイズを整える*

当初からWeb公開を前提としていたので原稿の解像度は72dpiで描いています。
画像に関して解像度は高い方がいいと思われがちですがWebで表示されるぶんにはほぼ変わらないので読み込みを軽くするためにもこれくらいで充分。

デジタルで表示される画像は点の集合体で、解像度とはその密度を表す単位というのを聞いたことがありませんか?
箱入りのお饅頭を想像してみてください。
10個入りの箱と100個入りの箱、どちらのお饅頭もサイズは同じ詰まってる間隔も同じ。
俯瞰でみると大きさの違いは明確ですが、箱の大きさを拡大縮小で合わせると見た目の箱の大きさは一緒で中に詰まってるお饅頭の密度が粗いか細かいかってことになります。
わかんなくても大丈夫、わたしも詳しくはわかんない(笑)
まぁ、だいたいこんなとこです。

これが印刷となると印刷に適したサイズに調整する必要があります。
一般的に必要になってくる解像度は350dpi、約5倍のお饅頭に増やさないといけません(笑)

*72dpiカスタムサイズの原稿を350dpiA5サイズに*

もともとの原稿サイズが規格ではないカスタムサイズだったので、それをA5判に収まるよう編集します。
CLIP STUDIO PAINTでサイズ変更をしようとしましたが、原稿全体が指定したサイズに矯正されてしまい画像が歪んでしまう結果に。
スムーズにいかなかったので他のソフト(GIMP2)の助けを借りました。
要するにページサイズに漫画画面を収めたい。
1枚絵でもいいじゃん。
以下がわたしの行った手順。(他にもっと効率的な方法があるかもしれないけど)

① CLIP STUDIO PAINTで全頁350dpiでjpeg画像として出力
② GIMP2でA5サイズのキャンバスを用意、①の画像を読み込み「編集」⇝
「可視部分のコピー」⇝「クリップボードから作成(画像)」でA5サイズの画像として出力
③ ②でリサイズしたファイルをCLIP STUDIO PAINTの各ページ上に画像として読み込む

けっこうな力技ですが(笑)

注)この方法だと最終段階では1枚の画像扱いでレイヤー処理は出来なくなってしまうので修正が必要な部分は①の前の段階で完了しておく必要があります。

画像3

こうしてなんとかA5判に収めることができました。
下の枠でかこってある部分が通常はみ出しのないコマが表示される範囲。
バランス的にギリギリOKな感じ。

画像4

*初版を無事出版、さて2刊目以降はどうする?*

こうして編集したねこまんが本「なにぬ猫んち。」も出版完了、さっそくご購入いただきまして感謝感激雨アラレでございます!

vol.1ということでこの後も続投予定でおります。
もちろんWeb公開→書籍化のスタイルは基本的に変わらず。
書籍発行時には全頁カラー印刷です、が、今回は上のような事情もあって掲載時と同様モノトーンでの印刷となりました。
む~、どうかな、読者の方、損した気になってないかな。

そこで前回掲載のねこまんがでもお願いしていますが、アンケートにご協力いただけませんか?
目に入る情報ということで受け取り方も様々、ねこまんが、カラーor現行のモノクロ、どっちが読みたい、読みやすいですか?
先にお断りしておきますが、フルカラーといってもアニメ絵のようなみっちりな塗りは無理ですからね(笑)

反響によって今後の漫画作成のテンプレート仕様の参考にさせていただこうと考えています。

カラー化は時間配分的にこれくらいかなぁ。

画像5

ご意見ご感想よろしくお願いいたします。

「なにぬ猫んち。」初刊はこちらからお買い求めいただけます。

(2021/09/11追記 : 現在改訂版のみの販売です)

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