見出し画像

若い世代からヘルシリテラシーが高まる環境になりますように

11月9日開催の第2回40歳未満の事業主健診情報の活用促進に関する検討会を傍聴しました。
第2回40歳未満の事業主健診情報の活用促進に関する検討会 資料

●事業主健診情報(40 歳未満)の提供が制度化

「2022 年1月より事業者から保険者に対して事業主健診情報(40 歳未満)を提供する仕組みが施行され、事業者と保険者とが情報を共有することにより、一人一人の健診結果を経年的に把握し、早期介入によって労働者・被保険者の疾病やその重症化を防ぐ取組などを進めることが可能となったところである。また、2023年度中からはマイナポータルにおいて、その情報を確認できるようにすることとされている。」

資料「40 歳未満の事業主健診情報の活用を通じた予防・健康づくりの推進(案)」

2022 年1月より、40歳以上と同様に、40歳未満の事業主健診について、健診情報を保険者も共有することができるようになりました。
40歳以上が対象の特定保健指導で
「40歳過ぎて肥満になってしまってから指導するより、太る前の若い時からヘルスリテラシーを上げることができたら…」
という声を、保健指導する専門職の方から伺うことがありましたが、こうした制度改正で、40歳未満の健康づくり・予防対策としてデータを活用できるようになりました。
また、2023年度中からはマイナポータルにおいて、本人が健診情報を確認できるようになるようです。


事業主健診とは、労働安全衛生法に基づく健康診断のこと。
「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」厚生労働省


●健診電子化・オンライン資格確認等システムの費用は?

ただ、2022年1月の改正内容が、いま検討されているのか。
実際問題として、この健診情報の共有が進んでいないことが挙げられます。
検討会では、健保組合の7割は事業主健診情報(40 歳未満)を取得していますが、取得が進まない保険者には、それぞれの事情や課題があるようです。

「協会けんぽや総合健保等では事業者から当該情報を取得しにくい状況にあり、また、保険者において事業主健診情報(40歳未満)を活用して保健事業を行う方策が確立しているとはいえない状況にある」

資料「40 歳未満の事業主健診情報の活用を通じた予防・健康づくりの推進(案)」

課題の一つにあげられるのは、やはり「費用」の問題。

「健康診断の提供に係る費用については、事業者や保険者の状況によりその実態は異なっており、一律に定めるのは困難であるため、定期健康診断等の結果の提供に関する必要な取決め等は、事業者、保険者及び健診実施機関等の間で、納得できる方法、形態等を十分に協議して対応することとする。」

資料「40 歳未満の事業主健診情報の活用を通じた予防・健康づくりの推進(案)」

うーーん、どこが負担するのでしょうか。
よい取組とわかっていても、新たな負担と考えると厳しい。責任や義務がどこにあるかは重要に感じます。
構成員からも、企業としてはメリットと感じないと進まない、特に中小企業は難しいのではという発言もありました。

回答の一つとして、国がオンライン資格確認等システムの運営について、取りまとめ案では下記のように記述しています。

「既存の特定健診情報等データに関しては保険者の負担によりシステムが運営されていることや、事業主健診情報(40 歳未満)は既存の特定健診等データと併せて一体としてシステム運用管理や保守等を行うこと等を踏まえつつ、運営費(ランニングコスト)の負担を検討していく。」

資料「40 歳未満の事業主健診情報の活用を通じた予防・健康づくりの推進(案)」

40歳以上の健診情報はもう保険者がシステム化しているし、運営のランニングコストの負担を考えるので、40歳未満の「健診情報の電子化」までどうにかやってくれないか、ということでしょうか(完全に私見です)。制度の実効性を高めるためには、やはり「費用」の問題は欠かせないですね。

追記

11月10日開催の医療保険部会資料にこの事業について令和4年度補正予算案が提示されていました。予算化されていました! 

第157回社会保障審議会医療保険部会
資料2  令和4年度第二次補正予算案(保険局関係)の主な事項 について

●実効性を高めるためのアプローチ

他にも制度の実効性を高めるために、とりまとめ案の中で、
THP指針の改正
データヘルス計画での明示
コラボヘルス推進等の支援
(商工会、事業協同組合などの団体が小規模事業場に対して産業保健サービスを提供するための活動に対する支援等)
事業主健診情報の提供が「健康経営」に資する取組として認知されるよう周知
など、さまざまな角度でアプローチすることが書かれています。
また、40歳未満の事業主健診情報を活用した「好事例」についても
市町村国保、国保組合、共済組合など複数の活用事例が紹介されています。
なんとか制度の実効性を高めたいという意気込みは伝わってきます。

今後は、最終的に座長に一任でとりまとめがされ、現在進行している産業保健のあり方に関する検討会などにも情報共有されるようです。
この制度が、若年世代からの予防・健康づくりに役立ちますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?