見出し画像

「イギリスの社会的処方・リンクワーカーってなに?」 5月18日開催「SCカフェ」をオンライン聴講

5月18日開催「SCカフェ」をオンラインにて聴講しました。
今回のテーマは「イギリスの社会的処方・リンクワーカーってなに?」 「(初任者向け)生活支援コーディネーターってなに?」 の2本立てでした。

「イギリスの社会的処方・リンクワーカーってなに?」

地域の資源を活用して住民の支援を行う英国の「リンクワーカー」の役割や「社会的処方」という仕組みについて、渡邉大輔先生(成蹊大学)にご講演いただき、その後、日本においてどう考えていくかなどのお話を、服部真治先生、中村一朗先生、中村美那子先生(医療経済研究機構)、藤原佳典先生が加わり座談会となりました。

●英国での社会的処方

前提として、医療の仕組みが英国は日本と違い、包括的な保健医療サービス(予防、リハビリ、地域保健は全てNHS、日本は外来、入院、調剤、歯科が医療保険、地域保健は自治体、介護予防は介護保険)であること、またGP(かかりつけ医)への支払いは包括払いのため、地域で健康づくり・予防を進め医療費を減らすほうが、本当に医療が必要な人に力を注入できるなど、GPにはメリットとなります。

また、英国では住民はすべてGPに、はじめにかからないといけないため、GPがゲートキーパーの役割を果たしています。そのため、GP自体が、患者の訴えの要因が医学的でなく、社会的な問題の場合もある(例 : 抑うつ→死別、健康問題→経済的苦境、感染症→住宅問題など)と考えた場合、社会的処方として、非医学的(non-medical)なアプローチとして、薬でも処置でもない、コミュニティにつなぐことが実践され、実際に効果が実証されています。
(ある調査では、GPが診療した約70%の人が、実際には治療を必要としていない。しかし、社会的なサポートを必要としている)。

社会的処方により、患者とコミュニティをつなぐ役割をしているのがリンクワーカーです。リンクワーカーの実際の仕事の内容として、対象の患者に1時間程度ヒアリングして、相談、助言、地域団体の紹介をし、その後フォローアップすることなどをお話しいただきました。

●日本における社会的処方

ここから座談会として意見交換の場になりました。
日本でも仕組みではないが、同様のことをしている医療機関もあることについて、渡邉先生からは、英国では「社会的処方」という言葉を作り共通理解として、スキームを作ったことが重要だったのではとのことでした(ちなみに英国で社会的処方が進められているのには、高齢者への予算が削減されるなど、英国としての課題が背景にあるようです)。

リンクワーカーが行う1時間のヒアリングについての参加者からの質問には、主観的健康観だけでなく、金銭管理、就労、住環境までと幅広い内容であること、フォーマットはある場合もあるが、職人芸的要素もあることなどの回答がありました。

なかなか面白いなあと思ったのは、日本では、医療も介護も出来高での支払いのため、予防と医療がブレーキを踏みながらアクセルも踏んでいる状況なので、介護保険については、ゲートキーパーの役割を地域包括支援センターがして、支払いも登録者数による包括払いにしてはどうかという案でした。

また、後半の生活支援コーディネーダー(以下、SC)の話とつながりますが、評価方法として、リンクワーカーは医療費が下がることになっていますが、SCの評価は単純に介護費を下げることとは言えないのではないか、また地域資源として、SCから医療にアプローチするということも考えられるのでは、といった話も出ていました。

後半の「(初任者向け)生活支援コーディネーターってなに?」も、SCの話にとどまらず、地域包括ケアシステムの話や、協議体と地域ケア会議とはどう違う、一層と二層のSCの役割の違いはなどなど、とても勉強になりました。
まさに、(初任者向け)であり、勉強中の私も理解が進んだ気がします。レポートもと思いましたが、SCカフェは、配信もしているようなので、関心のある方はぜひ。とても勉強になります!

【SCカフェ10の後日配信と資料配布】
SCカフェ10の後日配信のURLは次のとおりです。
https://youtube.com/live/x8qBktEerrY?feature=share

服部真治「新任生活支援コーディネーターのみなさんへ」
https://ilcjapan.org/.../2023/05/20230518sccafe101.pdf

ILC中村「生活支援コーディネーターって何?」
https://ilcjapan.org/.../2023/05/20230518sccafe102.pdf

「地域包括ケアシステム版社会的処方?」の事例https://ilcjapan.org/.../2023/05/20230518sccafe103.pdf

※上記配信情報の公開などに問題がございましたらお知らせください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?