バリの風で風邪を治す 〜旅行記vol.2〜

夏服をスーツケースに詰めてるのが馬鹿らしく思えてくるほどの東京の寒さと自分の喉が激しく痛むのを感じてた今年何回目かもわからない成田空港へのバスの道すがら、こんなに予想もつかない旅は初めてだと思った

初めてのアメリカ以外の海外。初めての10年パスポートでの旅行。否応にも新しい風が勝手に吹いてくれる予感とバリ島という未知なる島への可能性とで機内は胸がいっぱいだった

空港に着いてすぐにまとわりつく空気、小汚い水回りとそこかしこにある看板のちゃっちさ。あ、キタキタ。自分が見知らぬものがいっぱい見える。日本じゃないどこかにまた降り立てた。目にするものは全部知っているようで知らない。知ったかぶりをするには勿体ないほど美しい。同じ「海外」という言葉では括ってはいけない。共通点と相違点が入り乱れる また新たな視点を使って見てみよう。そう思った

バスから見えるバリの景色は自然と人の営みとが物凄く密接に存在しているように感じた。人々が履いていた薄めのサンダルがそのまま地面との距離の近さを現しているみたいで、心なしか素足の皮も厚く見えた。地面を捉えてしっかりと根ざしている感じがしてかっこよかった。

人々はとても温かかった。気候のおかげもあるのかな。ゆっくりで、笑顔で、でも常にエネルギーに溢れてた。毎朝ホテルの鏡の前でメイクをしながら、眉間をこすって携帯を見つめて固まった自分の表情をほぐそうと思えた。

全速力で駆け抜けた4日間。息つく間もなく寝て食べて動いて飲んで騒いでまたすぐ眠りに落ちる。一人暮らしの家で思い返すには寂しすぎるくらいバリの街の喧騒とみんなの声が蘇ってくる。一緒にいてくれてありがとう。バカ騒ぎと真面目話で埋められた時間をすごく愛おしく感じる

旅が終わってぽっかり空いた隙間の心は次の旅への構想で埋める。そうしている間にも旅は続いてく。そうやって日常も愛していく。

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