ものもらい

生活と音楽 ことばを紡ぐ23歳、ふだんは広報のお仕事。

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最近の記事

可哀相

「可哀相」という言葉が嫌いだ。 人から言われるのももちろん、自分も人に対してむやみに使おうとはしないだろう。 今日はおだやかな文章ではないので、代わりにおだやかな写真を貼っておきます。 母が、「可哀相」という言葉をよく使う。 人に対しても、私に対しても、使う。 もともと母は、人から言われることをそこまで気にしないたちで、相手への言葉づかいも色んな意味で「正直」なところがある。 けれど、そんな親のもと育ったわたしのは、ほとんど真反対の性格で、言葉のひとつひとつを掬うこ

    • à la carte

      note、春の連続投稿チャレンジをやっているみたいなので、わたしも書いてみようと思う。 きょうは #はじめて買ったCD というお題を選んだ。 小さいころから、家の中では音楽が流れているのがふつうだったので、色んなCDを聴きながら育ったけれど、はじめて「買った」CDはきっとこれだったと思う。 藤原さくら EP 「à la carte」(2015年) シンガーソングライター、藤原さくらさんが、まだ駆け出しのころにリリースされたEP。 当時のわたしは中学生。 このCDを買

      • Blauer Himmel

        わたしの毎週の癒しが、ついに終わってしまった。 さみしくなるなあ。 初回放送から、欠かさず毎週見ていた。こんなに熱心になるのは、かなり珍しいほう。それほどに、わたしの心には、深く深く、入り込む作品だった。 ドラマティックな展開、刺激的なストーリー、気を衒った演出、それらを駆使してどうにか聴衆を飽きさせまいとする令和の──もちろん、それだけではないが、そんな「タイパ」なものづくり時代に一石を投じた、ように思う。 けれども、普段そんな世界で生きているからこそ、金曜日の夜にな

        • そこで見ている

          いつもは働いているはずのこの時間、家でぼうっとしていると、ふと学生のころを思い出す。あのころは、持て余すほどの時間──滝のように流れが永遠に続くようにみえた、泡沫の──時間と、そしてそれをどうしていいかわからない自分に悩んでいた。 そんなことを考えて、きょうは午後から会社へ行くのだけれども。自由になんでもできる時間というのは、持て余すほうがつらいことだってある。8時間くらいの労働で得た対価は、なんだか地に足をつけて生きている感じ、をくれる。 途方な時間のなか、浮き足立って

          52ヘルツ

          2年前に読んだ、町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」。映画化したので観に行った。 当時は、本屋大賞受賞作品とは知らず読みはじめたのだが、深夜からどっぷり作品の沼に浸かってしまい、気付いたら夜が明けていたのを覚えている。 その後、「星を掬う」や「コンビニ兄弟」などなどを読んでいき、ハートウォーミングなそのこさんの文体が好きになった。 52ヘルツのクジラたちは、初読以降、読み返してはいなかったのだが、今年の初夏ごろに仲のいい友人に、「あなたならこの話が分かると思って」

          カメラのワークショップ

          ものもらいです。 先日、Nikonの主催しているカメラのワークショップに行ってきました。 写真の雰囲気がとても好きで見ていた、フォトグラファーさんが講師をされているワークショップです。 わたしは、とくにカメラの経験を積んでいるわけではなく、ただ手元にあるミラーレスカメラで遊んだり、写真編集して楽しんだりしているだけなのですが、ふと応募してしまいました…(笑) じつは応募は2回目。前回は先着順のスピードで負けたのでした。 「初心者向け」の言葉があっても、初めてのことには

          カメラのワークショップ

          爆弾と泉

          静まり返った深夜に、少女のハミングが響き渡る。不規則な音の並びは、不気味に、しかし優しくおだやかに空気を伝ってゆく。 社会の中で「にこやか」な彼女の寝室は、抑制された彼女の思想の住処だった。 一見普通に見えるその空間だが、無機質なソファも、棚も、彼女を安らかに見守っているように思われた。 「実は、枕の中身は綿(わた)じゃなくて爆弾なのよ」なんて、虚空に呟いてしまったりする日もある。見るからに柔らかな布団だって、彼女の目には鉄の鎧のように映っていた。 決して誰にも暴かれないよ