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吃音で困ったことは音読です。引きこもりがちだった彼女が笑顔を取り戻すまで
昨年12月に吃音当事者の友達にインタビューした時の動画を公開しました。
当事者やそのご家族に是非見ていただきたい内容です!
↓動画はこちら↓
吃音でひきこもりがちだった学生時代から彼女が笑顔を取り戻すまで
ー当事者インタビュー
https://youtu.be/UJLVZnvQEow
▶︎音読や発表に悩みひきこもりがちだった学生時代
"吃音で困ったことは音読です"
そう笑顔で話してくれた浦川さん(23歳)は、幼いころから言葉が滑らかに話せない吃音があり、学生時代は音読や発表に悩んだ。
"今日は音読ないかな?明日は発表あるけどどうしよう?っていうのを毎日毎日毎日考える日々だった"
学校の先生には、「吃音があるから配慮をお願いします」と伝えていたものの、彼女の悩みは和らぐことはなかった。
そんな時、学校に行けなくなったきっかけがあった。
やんちゃな子たちが浦川さんの座席を囲むような席になったことから、音読や発表があるたびにからかいを受けるようになった。
先生に相談し、発表があるときは事前に放課後にさせてもらい、みんなの前での発表を免除してもらうことに。
それでもやんちゃな子たちからは「サボっててずるいなぁ」といわれてしまう。
"これはいけないと思い、そこから学校に行けなくなってしまって、引きこもりになって…"
その後高校や大学にも一度は入学するが、1ヶ月ほど経った頃に音読や発表に耐えられなくなって中退する。
"すごく音読とか発表に悩まされてきた学生時代だったと思うし、今でもやっぱりどうしても苦手なことです"
動画チャプター:1:25 ー吃音で困った事は?
▶︎青い鳥の村内先生がここにいるみたい
「青い鳥」(重松清/著)という本をご存知でしょうか。
村内先生は、中学の非常勤講師。国語の先生なのに、言葉がつっかえてうまく話せない。でも先生には、授業よりももっと、大事な仕事があるんだ。いじめの加害者になってしまった生徒、父親の自殺に苦しむ生徒、気持ちを伝えられずに抱え込む生徒、家庭を知らずに育った生徒──後悔、責任、そして希望。ひとりぼっちの心にそっと寄り添い、本当にたいせつなことは何かを教えてくれる物語。
(新潮社より引用)
2008年に阿部寛さん主演で映画化されたこの作品に影響を受けた浦川さん。
こんな先生になりたい!と思い、教育学部のある大学に進学するも中退してしまう。
しかし青い鳥の村内先生になりたいという気持ちは強く、「学童の先生」という形で先生になる。
そこで出会った上司の方が重松清さんが好きで、「青い鳥って知ってる?」という話になった。
浦川さんのどもっている姿や、人に寄り添おうとしているのがすごく伝わってくる姿を見て上司の方から
「青い鳥の村内先生が”ここ”にいるみたいな感じやわ」
と言ってもらったことがあり、それがすごく嬉しかったと話してくれた。
動画チャプター:6:58 ー吃音だからこそ感じられた、嬉しかった体験はありますか?「青い鳥の村内先生」
▶︎私がつらかったのは、障害そのものではない
通信制高校で生活体験発表会があり、吃音のことを話す。
どもりながらも溢れる思いを1つ1つ言葉にし、特別賞を受賞した。
”音読、発表、自己紹介…数え上げたらキリがないほど、私は冷ややかな眼差しを向けられたり、どもるのを真似されたり、笑われたりしてきました”
しかしこれまでの辛い経験から周囲に相談したりすることができず、一人で悩みを抱えていた。
”中学2年生の頃、ギリギリの状態でなんとか持ち堪えていた心を打ち砕くような出来事がありました”
クラスメイトからのからかいを受け、学校に行けなくなってしまう。
その後、高校だけは卒業しようと通信制高校に入学した浦川さん。
”自分と同じように何かしらの事情を抱えているクラスメイトの中にいることで、だんだん一人じゃないという安心感が生まれてきました”
それから自然と自分のことを話したり、悩みをオープンにしていく。
”吃っている自分は恥ずかしい情けない人間だ、と思っていたそれまでの自分が嘘のように思えました”
さらに福島でのボランティア活動に参加した経験から、大きな気づきを得る。
”これまで自分のことで精一杯だった私が、社会に目を向けざるを得ない状況に置かれて初めて、自分と社会のつながりについて考えた体験でした”
ボランティア活動では毎晩感想をいう機会があった。しかしそこでほとんど話すことができなかった。
それは吃音によって言葉がうまく話せなかったためではない。
”どもったからではありません。私には自分の意見や考えというものがなかったのです”
”長い間人に自分の考えを話すということがほとんどなかったため、何を言おうか考えることすらしなくなっていました”
考えや意見を言えないのは吃音だからではないということに気づき、それは大きな収穫だったと話す。
”伝えたいという気持ちがあれば、たどたどしくても、どもっていても、必ず伝えることはできる”
吃音という障害を持ったことで、自分の人生は辛く苦しいものだと思っていた。しかし本当に辛かったのは障害そのものではなかった。
”私が辛かったのは、障害そのものではなく、それを誰にも相談することも頼ることもできなかったこと”
現在と過去の自分を振り返って、
”誰にも言えず、自分の殻に閉じこもり、社会に目を向けることも、そこで起こっている様々な問題について考えることもありませんでした”
当時の浦川さんのように一人で悩みを抱えている吃音当事者は、多くいるだろう。
”学校や社会が開かれた場であれば、いろんな人がいるということ、自分一人ではないということ知ることができる
互いを認め、助け合うことができる
そんな学校や社会を作るためにどうすれば良いのか、それをこれからしっかりと考えていきたいと思います”
動画チャプター:11:29 ー吃音だからこそ感じられた、嬉しかった体験はありますか?「吃音のことを話した生活体験発表会」
▶︎理解してくれる人しかいなくなった
昔から、学校の先生に吃音に関して配慮をお願いするなど、周囲の人に吃音であることを伝えてきた浦川さん。
しかし、伝えているだけではうまくいかないことも多く、結果的に悩んでしまうことになった。
学校という環境は吃音の人にとって不安要素が多い。実際吃音がある人やその関係者であっても、こんな時はどうしたら良いか、どう対応するのが良いかということに悩んでいる人も多い。
関係者以外となると、なおさらわからないことが多いだろう。
学校の先生や周囲の人に配慮を求めて良い環境を得られるかどうかは、正直巡り合わせに左右されるとも言える。
当事者が自ら配慮のお願いの仕方や、自分のことを相手に伝える方法を身につけていく必要があるが、悩んでいてそこまで考えられるほど心に余裕がある人は少ないのも現実。
”今までも吃音があるということはずっと言ってきたが、助かったことがなく、吃音があったから困ることしかなかった”
しかし環境が変わり大人になった今は
”理解してくれる人しかいなくなった
だから大人になってよかったなと思う”
動画チャプター:21:18 ー今思うことは?
▶︎本人からのコメント
今回、吃音をもちながら生きてきた23年の人生をお話しさせていただきました、浦川です..*
動画内で、ひとつ、肝心なことをお話しし忘れていました。
「音読の度に何度も学校へ行けなくなったみたいだけど、どうして復帰できたの?」というところです。
不登校になる度にひきこもりにもなっていたため(学校へ行けるようになりたい)(このままの状態が続くのは嫌だ)と毎日思っていましたが、2014年、高校2年生の時にふとしたことで転機が訪れます。
洋画『イエスマン』の「“YES”は人生のパスワード」というサブタイトルに心惹かれ、素直に「これから何を言われてもYESと答える」と決めた後すぐの出来事です。
3年ぶりに同級生から連絡があり、その内容が「災害ボランティアへ一緒に行かない?」というものでした。
「?、災害ボランティア…??」と頭の中はハテナでいっぱいでしたが、なんだかわくわくもして即答で「YES」と答えました。
その後も、その同級生が誘ってくれる災害ボランティアや農業ボランティアへ※すべて「YES」と答えるうちに、都心から離れ大自然を感じることで癒されている自分・連携が必要なボランティアにも関わらず大人の人と話すことができている自分・微力ながらもやりがいを強く感じている自分に気付くようになりました。
これは後から知ったことですが、農業生活を送ることが不登校解決のきっかけになるケースがあるようですね。
ひきこもりだった私は、いつの間にか、同級生と毎週末にボランティアへ行くことが楽しみになっていました。
※「NO」という大切さも学んだので、今は、自分の思いを汲んで返事をしています
高卒程度認定試験を受け、その後、大学進学するものの吃音を気にしすぎてしまい、また学校生活はうまくいきませんでしたが、ボランティアを続けアルバイトを始めることとなります。
そして、そのアルバイトができるようになったきっかけは動画内でお話ししているように重松清さんの『青い鳥』の影響が大きいのですが、背中を押してくれたのは、ボランティアで出会った尊敬する方が教育現場で働いていたからです。
そして、それからは、社会復帰できるようになりました。
少しでも、私の生きてきた人生が誰かのお役に立てることを心から祈っております .°
動画を観てくださり、そして、興味を持って最後まで文章を読んでくださりありがとうございました!
皆さまにとって、素敵な日々となりますように!!
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