花咲くことへの讃歌
天井より吊り下がる、空も埋もれんばかりと錯覚するまでの、それは大量のドライフラワーの下に私はあった。
花が花ゆえに美しいのは、それが生殖器官であるからであったか。
いったいどうしたことか、私はここにあって真に満足してしまっていた。胸のうちは充たされて窒息寸前、自らの感涙の海に溺れゆくナイフであった。私は水よりも密度の高い金属となり、潮で炎症を起こして錆びついていた。
デセールはゆめをみていた
陽光の下でも木蔭に湿った其処に凛々しく蕺草が葉を伸ばしており
陽と蔭に目が眩んで体躯はその上に落ちた。
躯の下の花たちは青や黄色の血を流して折れ、蕺草は強く香って叫び声を上げた。
柔らかな土は落下した肉の花を優しく受け止め、背の低い草花たちが揺れて、その体躯を覆い隠した
まゆこのからだは脚の二本しか見えなくなった。
露に濡れながらまゆこはゆっくりと天に手を掲げた。
抱き起こす者はいなかったのでまゆこは気がついた。
誰か私を抱き起こしてほしい
自分の足で立って歩いてきた肉の花は
巨きくて畏ろしい土や太陽のもとに帰りたくて涙していた。
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