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美しいということ

暑い。春を通り越して最早夏だ。早いよ。朝は普通にいつもどおりの肌寒さだったけれど、昼過ぎに外に出たら日差しの強さが尋常じゃなく、黒マスクがどんどんそれを吸って日焼けしないかと心配になった。

今日は寒いから〜などと言って春を存分に感じないままもう季節は夏に向かっているのか。過去に、未来に、見えている季節は全て恋しいのに、いざその季節になるとトキメキが皆無になる。蛙化現象か?と自分に問いたくなるほど呆気なく冷めてしまう。多分、ないものねだり精神から来ているものなんだろう。春と夏の中間あたりが私はとても好きだけれど、きっと本格的にそこに突入して夏のなの字をしっかり見たらいつものごとく冷めてしまうのだろうな、と思う。

春がもうすぐ終わるとしたら、時の流れが早すぎて明日を生きていけなくなってしまう。もう少しだけとどまってくれていいのに。草木の芽吹きや緑がかった山は春オーラ前回だが、日差しは海パンにグラサンで室内から出る私を迎え撃っている。ああもうもしかしてその春と夏の中間なのか。なんてことだ。今年も来たか。どうか今年はこのはやる気持ち、冷めませんように。

さて、そんなわけで本当に春が終わる前に、この春にあったことを書きたくて寝る前にこれに手をつけている。短時間で書きあげて無事安眠となることを願う。

桜が咲き始めた頃だ。友人と一本の小さな桜を見た。とにかくそこはよく通る場所で、枯れ木に彩りが灯っていくさまを見れるのはとても良いなあと思う。その桜は凹という形をした建物のちょうどへこんだ部分にあり、少し目立ちづらくはあるものの綺麗で、私はその日その桜に数輪花が咲いているのを見つけた。嬉しくなった。「花咲いてる!綺麗〜」と言った。条件反射のように思ったことを言った。ほぼ無意識に近い感覚だ。すると友人は「ふ〜ん、ショボっ」と返した。

その友人はちょっと"ツンデレ"っぽいところがあって周りの言ったことを少し否定してしまいがちで、私はそれを分かった上で接していて(きちんとそれを越えて良き友人である)、いつも笑い飛ばしていた。しかしこのときはそうもいかなかった。腹立たしい、というより心配、だった。友人は本当は桜を美しいと思っていたのではないか。だとしたらきちんと美しい、といえばいいのに。いくら性質とはいえ、それを言うことは悪くないし、正直になったほうがいいことなのに、と思った。

自分の美の価値観を押し付けるわけにもいかず黙ってやりすごしてしまったが、結果、私は美しいものを素直に「美しい」と思い、それを言葉にできているだろうか、と考えるに至った。

この日のショックのようなものは、以前綺麗に撮れた空の写真を誰かに見せたとき、かなり無関心な反応をされたときの感覚に似ていた。そのとき、私の中の「美しい」という思いが揺らいで、だんだんそれを言うことが恥だと感じるようになってしまったのだな、と今は思う。この感覚を思い出したとき、桜をショボいと言った友人の気持ちがわかった気がした。ここ半年くらいはその"恥"が恥でないことに気づき、美しいと感じたら口に出さずともきちんとその思いを脳内に循環させるようにしている。改めてまた昔の自分に気がつくきっかけに、その桜はなった。

結局はそれぞれの感性の問題だからどうこう言えるものではないけれど、少なくとも「美しい」という自分の感情を否定するよりかは、声に出したほうが"豊かである"と思う。綺麗事かもな、という感情は抜けないが、やはりそんな気がする。

自然も、住宅街も、各々が美しいと思ったものが各々にとって美しい。「好き」と「美しい」は近くにあるものなのかもしれない。今日の夕方窓を開けて吸った、どこからともなくする玉ねぎを炒める匂いと、オレンジのフイルターがかかった建物が、私は"好き"だし、"美しい"と思った。

言葉にした今この瞬間、またひとつ、なんの変哲もない生活が豊かになった。よかった、春が終わるとしても、なんとか明日を生きていけそうだ。




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お久しぶりです。塩未でございます。

一応プロフィールに思ったことを書く、と書いているのは、このようにエッセイじみたものを書きたかったからです。ようやく書きました。超超拙い…。自己満マン参上。

無理したり自分に義務として課してしまうと結局何も出来なくなる人間なので、ゆるくやるためにどうすればいいか考えたところ、寝る前(主に明日が来るのが嫌で寝たくない日)にちゃちゃ〜っと書けばいいのでは?という結論が出ました。

寝るまエッセイ、と題して(ネーミングセンス無し子)たまーにかけたらいいなと想います。タグも同じく寝るまエッセイとつけようと思うので、タグ検索したら記事が溢れるようになる日を夢見ております(見てるだけ)

どれくらい夜ふかししたいかによって記事の長さが変わることも。やたら長ければあー寝たくなかったんだなと思ってもらえれば正解です。今日は45分ほどで書きました。案外だらだら書いてたら時間ってかかるなあ。

とにかく、寝るまエッセイ、本日よりスタートとなります。夜更しのお供にどうぞ。電車で読む際は周りに見られて変な文章だなあと思われる危険性がございますので自己責任でお願いします。すみません。

塩未でした。またいくつか日々を乗り越えたらお会いしましょう。