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【Meglog】街人に話し掛け会話に花咲かすOSL ep.1❁1950年代の街THE ANNEXの謎と70年前の一人の学生


今日はOSL授業後の活動を通し街で出会った人との話。



OSLとは↓

Introduction

トロント大学のすぐ南側にTHE ANNEXという町があります。

あるOSL授業日前日、
英語コーチAneshから明日は”Future bistro”集合と伝えられました。
街人に尋ね辿り着いたところは水色の壁が綺麗な雰囲気漂う喫茶カフェ。

当日Spadina駅から降りて五分ほど歩き、またそこへ行くとお店は閉まっていましたが、店は辺り有名なチーズケーキの美味しい喫茶カフェだそうです。なんだか歴史があるのだとか。

Future bistro

喫茶カフェのある人通りの多い道から路地へ曲がると、パッと赤い絵が目につきました。
塀ブロックや民家の扉にたくさんの壁画が描かれた一本通りの始まりに、大きく描かれた赤いエンブレムのようなマーク。マークの中央には“YOU ARE HERE, ANNEX”という文字が。

路地に入ったら見える壁画の道とTHE ANNEXのマーク

Aneshに言われるがままマークの写真を撮り、
この一帯の街がTHE ANNEXと呼ばれるのだと聞かされました。
その日出された宿題は「THE ANNEXとは何か?」を見つけ出すこと。

THE ANNEXの名前の由来を探すべく、OSL講義後ひとり街の人に話し掛けに行きました。
まず目に留まったのが、Future bistroの交差点でギター片手にスタンドマイクに歌う一人の男性。上手だな、と聞いているとその後ろに野外のテーブルにつくおじいさんが見えたので、

近づいて同じテーブルの向いに座り、「彼上手ですね」と話し掛けました。
次に私は「私は留学生です。日本から来たばかりで何も知らないんですけど、このマークについて知っていますか?」とさっき撮った写真を見せ尋ねました。

するとおじいさんは「ああTHE ANNEXか、」
と流暢に話し始めました。


70年前の学生が伝えるTHE ANNEX:THE ANNEXには2つの意味がある

昔ここの周辺はトロント大学の学生で賑わう学生街だったそうです。一本大きな通りがあり、学生街は3駅続くほど大きく、
今いる交差点から右側に見えるFuture bistroは放課後になると学生が友達と集まる溜まり場で、土日になるとご飯を食べにくる学生で賑わったそう。

交差点左側に見えるのは、バー。二階ではおじいさんもかつて学生だった頃、他の学生とよくお酒を飲んだり音楽を演奏したんだとか。
その2軒隣にはトロントで一番大きな本屋さんがあるんですって。

辞書で"annex"と調べれば出て来るように、annexには「別館」という意味があります。これが一つの意味。
ここTHE ANNEXはもともとトロント大学の別館があった場所、大学に隣接する街だった、と教えてくださいました。


交差点右側に少し行くと、壁紙が派手なLee's Palaceというライブハウスやパン屋があり、その奥にあの赤いマークがシンボルの デパート があったと教えてくださいました。
今はもうなくなってしまったが、3階建てのデパートで、衣服や寝具、家具を置いていたそう。
このデパート名前は"Honest Eds"。トロントで有名な実業家 Honest Ed Marvishにより建てられました。市民に親しまれる老舗で6年前に閉業したばかりそうです。デパートはなくなってしまったが、街は今でもあるため、シンボルを残すべく壁画にしたそうです。

Honest Edsがあったころの写真(※インターネットより)

話し掛けた一人目から全てを知る詳しい人に会ったぞ、という気がして、
私は急いで彼に「ちょっと録音してもいいですか」と尋ね、あとから聞き返すため録音を始めました。

そしてもう一つの由来、そしてそれは人の名前です。
今座っている交差点を北に走る道沿いに家が三軒並んで建っていたそう。その内の一番右の一軒に住む家主は不動産を営み、30年前 $85millionsの資産を残しこの世を去ったそうです。30年前$85millions(カナダドル)は今の日本円で言えば約60億円の価値に相当します。

しかし家主は収集癖がひどく、また猫を35匹飼い、家はかなりのゴミ屋敷で、猫の糞や獣臭が漂っていた。
亡くなる前はBoy friendに資産を残したそうです。彼女は資産、金のことなど気にせずホームレスのように生きたと言われています。
近隣住民からの苦情があっても全く気にせず片付ける気もなく、
金持ちなのに、風変りな人だと知られていたそうです。

彼女の名前こそAnnex Anny(-1995)。

彼女が街一帯の不動産を所有権を持っていたために街の名前が彼女の名前に由来して付けられたと考えられます。

また彼女はハンガリー人。聞けばこの一帯はハンガリー人が集まってクラスハンガリーコミュニティ地区だったそう。今も同じ通りにハンガリー料理を出している店があるのはその名残り。さらにあのFuture bistoも先代はハンガリー人だったそうです。

このすべての話を教えてくれたおじいさんMichael。彼はちょうど50年代の頃一人の学生でした。
懐かしそうに、一外国人でトロントに来たばかりの私に事細かにたくさんのことを教えてくれました。今でも昔から残る店があるといくつか店を教えてくれたので、それから私は70年前の学生街の名残りを見つけに歩き出しました。

学生街の名残を求めて


ライブハウスは今でもやっているというのでライブハウスに向かって歩く途中、脇に車を止めて何やら誰かを待っている白シャツの男性に通りかかったのでまた声をかけて、
「ここら辺に昔アメリカから有名なバンドが来たようなライブハウスがあるって聞いたんですどどこにあるか知っていますか?」
と尋ねると、
「アメリカからバンドが来ていたライブハウス…ああ!まっすぐ歩けばすぐ着くよ、50Ⅿくらい言ったところにあるはずだ。」
と教えてくれました。
ついでに、「どのバンドが来ていたか知っていますか?」と聞くと、
「だれだったかな、あ、ロックバンドのNirvanaだ、彼らがここで演奏したことがあるよ。」
「彼らのどの曲が一番お気に入りですか?」
「"Smells Like Teen Spirit" かな。聞いたことある?」
すぐに私はSpotifyを開き、「うーん、聞いたことないな、でもいい曲ですね。」
「シンガーがKart Cobainっていうんだけど、有名だよ。」
「そうなんですね。今私留学生で、日本から来ていて、学校の宿題でこの辺りについて調べているんです。ライブハウスもその一部で、、」
「え、そうなんだ。」
「あなたは?誰か待っているんですか?」
「そうそう、友達をね。」
「それじゃあ、そのライブハウス行ってみますね、時間くださりありがとうございます。」といい、そのライブハウスへ歩きました。

今こそ学生街というまでの学生は見られなくなったものの、道脇には小さな飲食店や雑貨店がちょこちょこ立ち並び、歩くのも楽しい道になっていました。
急に通りから一段下がった地下へ階段が伸びる古本屋さんを見つけたので、歴史がありそう、何か知っているかも、と店に降りていくと、店の前にのんびりと猫がくつろいでいるのが見えました。
「ねこかわいいですね。」
と中にいた人に話し掛けると、店主のPatrickさんが出てきてくれました。
「後ろを見てみて、」
と言われ振り返ると、この猫の大きな大きな絵が。どどーんと私の身長くらいのペイントが塀ブロックに描かれていました。
「この子が看板猫なんですね、この絵はあなたが描いたんですか?」
「これは2年前、~~年(忘れた)を記念して画家に頼んで書いてもらったんだ。」
「~~周年!長いですね!」
「僕の親父の代から続いててね、僕は別の場所に暮らしていたんだけど継いで17年になったよ。」
「地元の方ですか?」
「僕はNirvana出身だよ。知ってる?カナダの西の方だよ。」
「へえ、勉強になります。Nirvana州か。」
「君は日本人?」
「え、どうしてわかったんですか?」
「少し日本人アクセントがあるなとおもって。友達に日本人がいるから聞き分けられたんだ。」
「私は日本から来た留学生なんです。今学校の課題の一環でTHE ANNEXについて街の人に聞いていて、」
「何か見つけた?」
「今からすぐそこにあるっていうライブハウスとあとパン屋に行くつもりです。あのパン屋どこに知ってますか?」
「駅の中にあるよ。」
「へえ、行ってみます。」
「あ、ちょっと待って、これあげるよ、ぜひ中も見て言ってね。」
というとその古本屋Seekers booksの会員カードくれました。猫の絵を背景に一緒に写真を撮り、そこで彼と別れました。

Seekers booksのPatrick

ライブハウスは見た目が派手ですぐにここがライブハウスだと分かりました。
一階はハラル料理の軽食屋さんのようで、ライブハウスへの入り口が見つからないので
軽食屋さんの若い男性に聞いてみると、ライブハウスは横の細い階段を上った2階だけど、今日は空いてないよ、週末の7時半から2時半まで空いてるよ。」と教えてくれました。
もっとライブハウスについて聞けないかなと思いましたが、
その男性は1カ月前からここでバイトを始めたばかりで何も知らないということでした。

ライブハウス Lee's Palace

パン屋に行く前にもう一人、話し掛けたのは街の警備員のおじさんLeo。パン屋の場所の確認と、次の日の集合場所について聞きました。電話番号を渡され、困ったことがあったら電話しな!と言われ、そこで別れました。

パン屋はこれまた雰囲気のある趣で、パン屋のおばさんによるとミートパイが看板商品というのでミートパイをしっかり食べて、

そしてこの日は翌日の集合場所に向かい、また聞き込みを続けるのでした。

駅構内のパン屋 Bakery ON THE GO

Conclusion

この日はいきなりThe ANNEXについて詳しいおじいさんMichaelに会いTHE ANNEXの名前の由来と昔の街の様子を知りました。それから彼が言及した当時から残る店を求めて歩き、道であったバンド好きな男性に会い、古本屋さんの店主ライブハウス一回の軽食屋の若い男性警備員のおじさんパン屋のおばさんと会話をし、THE ANNEXの70年前の姿を見ました。

街一帯がハンガリーコミュニティ地区だったために近くにハンガリー料理屋があるのも納得でした。街を知ったあと、そこに住む一人の住民として受け入れられたようなその感覚がありました。

故郷日本では20年前から見慣れ見知った土地との関係があります。
故郷を離れ全く違う土地へ行けば、そこで根を下ろせるか、それとも部屋に籠り知らない・見えないモノに囲まれて暮らすか否かは自分の行動次第なのです。
住民と話すことであちこちに顔見知りができ繋がりを感じられる、それを自分で行う。そうして現地に馴染み、今ではトロントが恋しくて仕方がありません。

最後までお読みいただきありがとうございます。
ちなみにご紹介したFuture bistro、後日有名俳優が来て話題になりました。
その情報を知ったとき、「あ、あの場所だ」と分かったのは嬉しかったです。

また次回お会いしましょう;)

※この記事は全て人から聞いた話と筆者体験談です。
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次回Meglog♯7【コミュニケーション能力】
mbti性格診断テストってありますよね。実は私は留学に行く前と後で変わりました。自分で変わったと確信するのは内向(I)から外向(E)になったこと。元々苦手だったコミュニケーションは、今では自分が思うように会話を展開することができると面白いとさえ思うようになりました。
内向型(I)から外向型(E)になった私が伝える、コミュニケーションのTipを書きます。お楽しみに:)

Meglog毎週水曜日19時(日本時間)公開です。


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