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【書籍】拡張された次元

芸術と次元との関係性について調べるため、関連しそうな書籍を読み漁ってみる。

まずはこちら。副題ー芸術と科学の相克を超えてーとあり、芸術・次元・科学でヒットした一冊であった。

私が欲した次元-空間的・時間的-に関連する記載は第1章でほぼ集約されており、その他は自然科学と芸術、CGと芸術などの構成となっていた。2003年出版であり、その時期よりもさらに前のコンピュータ系の内容ではあるため、初期のコンピュータと芸術との関係性を知る手掛かりにはなるかと思う。

1986年にイタリアのベニス・ビエンナーレで催された「アート・アンド・サイエンス」展の取材を通して、次元に関する記載が盛り込まれている。

1894年に始まったベニス・ビエンナーレは、各国がその時代の芸術作品を競い合う国際美術展と位置付けられており、それまでは作品の大半が絵画と彫刻を占めるものであった。

【芸術と錬金術】

科学そのものをもっと根源的に、人間の意識の内面の、知的なものへの憧れにまでさかのぼって、問い直そうとしているように見える
科学と芸術が未分化の状態であった中世の錬金術の時代や、人間主体の思想が生まれて来たルネサンス時代にまでさかのぼって、現代の混沌とした両者の関係を、あらためて問い直す意欲を見せている

【驚きの部屋】
名も知れぬ動物の剥製やアンモナイトの化石、そしてなにより展示品の中にアノニマス(作者不詳)の作品が多い点が、従来の美術館の展示とは大きく異なる点である。

芸術と科学の起源を、さらに人間の本質的な好奇心にまでさかのぼって後付けようとしているようにさえ思われる

【スパチオ(空間)】
『パラッチオ・スパダ』の列柱と彫像、エッシャーの『上昇と下降』や、『ペンローズの階段』など。

ルネサンス期に現れた遠近法ー空間表現の新しい科学の登場が、人間の空間意識を変革し、絵画から都市計画、建築にまで影響した相互作用の意味を、改めて問い掛けようとしている
続くコーナーでは、やがてその空間意識は、宇宙的次元に及び、三次元を超えて、時空の四次元を扱う作品が現れる

トム・シャノン『愛の羅針盤』、チャールズ・ロス『宇宙に投影した地球像』、フラー「測地学的ドーム」、ピョートル・コワルスキー、トム・パンチョフ『ハイパー・キューブ』など。

ここまでを一通り整理してみる。

・芸術と科学の文脈は、両者が未分化状態であった中世の錬金術時代を始点に置いた
・ルネサンス期に現れた遠近法ー空間表現の新たな科学の登場によって、平面空間に三次元的要素を取り入れた
・芸術による四次元は宇宙論的次元、すなわち三次元空間に時間軸を加味した次元に拡張する作品が多い→未来派
・二次元(平面、いわゆる絵画)の限られた枠のなかで、いかに四次元を表現するかを追求→未来派・キュビズム

未来派についてはよく知らなかったので、以下を参照。書籍も探してみようと思う。

次元だけではなく、科学まで広げるのも面白そうではあるが、おそらく広域すぎて次元のようにどこかに的を絞らないと収拾がつかなくなりそうな気がしてならない。。

最先端科学として、CGの次元といったところまで持っていければ、現代的な繋がりもみられるかも、といったところであろうか。もしくはパラレルワールドやアナザーワールドのあたり?なら、物理的次元としてはありなのかもしれない。(やや興味のベクトルは異なるが。。)

ただし、単に四次元というと、数学的もしくは物理的な解釈ができるが、物理的には時空(時間+空間)といった方がわかりやすいような気もする。時間とは何かも抑えておく必要がありそう。

高次元(四次元以降)を表現しようとすると、ステレオ投影法のように三次元に落とし込まないと視認することができない→視覚と脳をいかに騙すか

錬金術は金の精製術?程度の知識しかないため、科学と芸術の源流を知るうえでも多少は知っておかないといけない内容ではありそうである。

次元が変わるとどのような見え方・捉え方をするのか。以下の書籍も合わせて読んでみようと思う。


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