映画「14歳の栞」を観た
先日、映画「14歳の栞」を観ました。
以下は その感想で、ネタバレを含みます。
今後観る予定がある方は読まないほうがいいかもしれません。
わたしが14歳だったのは6年前で、もちろん忘れてしまったこともたくさんあるけれど、まだまだ確かな記憶もたくさんあります。
だから、映画を見ている中で、時折自分自身の思い出が「そういえばわたしの時はこうだったな…」と邪魔をしてきました。
もう少し大人になって、14歳の頃の記憶がぼやけてきたり、それ故にあまりに綺麗すぎる思い出だったと勘違いしたりするようになった時にこの映画を観たら、もっと心が動いたんじゃないかなと思います。
そんな20歳のわたしが観た、「14歳の栞」への感想です。
教室が世界のすべてだった14歳のあの頃の感情を、手に取るように思い出しました。
「みんなの意見に合わせていれば、嫌われない」
「自分のクラスでの立ち位置は何なのか」
「周りと比べて、自分は劣っている気がする」
空気を読んで同調ばかりせず、時には自分の意思を伝える必要があること。
組織内での自分の「キャラ」を確立すると、人とのコミュニティが取りやすくなること。
でも、あまりに自分と乖離した「キャラ」を演じ続けることは、とても苦しいこと。
劣等感は努力の原動力にもなるし、自分を傷つける武器にもなること。
大人になった今なら、わかるのです。
学校は、自分自身をはかるにはあまりに狭すぎます。
たまたま同じ年に生まれただけの数十人が、たまたま同じ教室に通っているだけの、そんな場所なのです。
それだけなのに、その中でどう立ち回るべきなのか、自分はどう見られているのか、自分の存在価値は一体何なのか、そんなことばかり考えてしまっていた14歳のわたしを、思い出しました。
第三者から見ると、何の問題も起きない、ありふれた中学校生活に見えました。
「事件は起こらない」「主人公はいない」という映画の宣伝通りだ、と思いました。
でも、本当にそうだったんでしょうか。
この映画を観て思い出した14歳のわたしは、何の問題も事件もなく中学2年生の終業式を迎えたのでしょうか。
部活のメンバーと揉めたこと。
〇〇くんがすきなんでしょ?とクラスメイトに揶揄われたこと。
部活で役職を任されたこと。
模試の点数が伸び悩んだこと。
14歳のわたしにとっては、これらの全部が問題で、大事件でした。
時には死んでしまいたいとまで思っていました。
それは、映画に出てきた14歳の彼らも、きっと同じなのです。
彼らのこれまでの人生に関わってこなかったわたしから見るとなんてことない毎日が、
当人たちから見ると、きっと、まるで映画のように問題や事件の連続なのです。
映画を観ているのはわたしで、日常を送っているのは彼らなはずなのに、
わたしには日常が、彼らには映画が見えていたんじゃないかなと思います。
本当に素敵な作品と出会えました。
どうか画面にうつっていた皆さんが、しあわせに暮らしていますように。
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