握手会もオンラインでやる時代がやってきたんですね

現代アイドルの商法を考えてみる

時代によってアイドル像は変化していると感じます。変遷なども色々あるとは思いますが、詳しくはないので特に触れません。昨今のアイドルは、AKB48がコンセプトに掲げていた「会いに行けるアイドル」が主流になっており、握手会をはじめとしたファンとアイドルが会えることが売り上げにつながるシステムになっています。
例えば、CDを購入すると、その中に握手券が封入されており、それを消費することでアイドルと握手や会話ができる仕組みとなっています。グループによってはCDではなくグッズを購入することで握手券を付与する場合もありますし、握手以外にチェキや写真の撮影ができる特典券が配られる場合もあります。また、握手券や特典券やチェキ券を直接販売するグループもあります。細かくはグループごとに異なるので、グループの公式サイト等を確認することが正確なのでおすすめです。

総じて言える事は、規模の大小はあれ、昨今のアイドルの多くが、「会う権利」を付けた物品を、またはその権利を券として販売する事で、売り上げを出しているように感じます。つまり、昨今のアイドルビジネスは、アイドルに「直接会って話ができること」が肝であると考えています。物品を売ってはいますが、消費者にとって価値があるのはアイドル自体であるようにも感じます。

コロナ禍での変化

しかし、2020年に大きな変化が訪れます。コロナウイルスの蔓延です。感染症予防の観点から、日常生活では人との接触を極力避けるようになりました。そしてその余波はエンタメ界に、さらに「直接会って話ができること」が売り上げにとって重要なアイドル界にも強い影響をもたらしたと言えるでしょう。2020年に予定されていた握手会は、その多くが延期扱いになりました。また、計画されていたライブもその多くが(発表されていたかに関わらず)中止や延期になりました。
こうして、アイドルとファンが直接会える機会はコロナ禍で大幅に減りました。しかし昨今のアイドルビジネスでは、この「会える体験」がなくなることで売り上げを得る機会が大きく失われます。そこでアイドル界にも導入されたのが、オンラインで会話する機会です。

オンライン化の動きは比較的規模の小さい、いわゆる地下アイドルと言われるカテゴリーのアイドルから広まったように見受けられます(地下アイドルの定義等は諸説ありそうなので触れません)。はじめの緊急事態宣言下でも、ライブは開催できないまでもオンラインでの特典会は頻繁に開催されていた模様です。そのオンライン会話で使われるツールは、今では多様化してきています。そして、このようなオンラインで会話する機会はメジャーなアイドル界でも用意されるようになってきました。導入のされ方はアイドル各グループの状況によって違いはありますが、例えば坂道グループ(乃木坂・欅坂/櫻坂・日向坂)では、開催できなかった握手会の振替をスタートとして導入し、その後のシングルリリース時にはオンラインでの特典会が標準となりました。

コロナ禍と呼ばれる状況に入り1年以上が経ち、地下アイドルを中心にグループの規模によっては直接会う機会も(マスク必須・パーテーションあり等の条件付きで)増えているように感じられます。メジャーなアイドル界でもライブなどは有観客で開催されるケースも見えてきました。しかし、終息が見えない限り、オンラインでの会話もある程度は続くと考えられます。

オンライン握手会のシステム

さて、ここまではオンライン化されるまでの情勢を、一個人の視点から焦点を絞って書いてきましたが、実際にオンラインでの握手会はどうだったか?、わたしの経験談を踏まえて書いてみようと思います。
ところでオンライン握手会とあえて書きましたが、握手できないのに握手会と書くのは不自然だなと思っています。全文を通じて表記はぶれぶれですが気にしないでいきます。

わたしが参加したのは、乃木坂46・櫻坂46・日向坂46が行っている「オンライン ミート&グリート(通称、ミーグリ)」です。これは、forTUNE meetsというアプリを使ってオンラインのテレビ電話を行うシステムです。
オンライン化が進んでいる中でツールは多様にありますが、坂道グループや、他にも何組かのアイドルや歌手などがこのツールを使用しています。Sony系列が統一で使用しているようにも見えますが、詳しくは知りません。元々forTUNE musicというシステムを使って握手会用のCD販売を行っていた事もあって、このツールを用意して利用していると思っています。このアプリはスマートフォン向けの提供なので、できるだけ大画面でアイドルの顔を見たい場合、iPadなどタブレット端末を用意すると良いかもしれません。わたしは主にiPadを使用しました。

なお、坂道グループのミーグリでは会話時間を提示していませんが、CD1枚あたり6~8秒程度と述べている人が多く見られました。また初回限定版で申し込める全国握手会では、やや長めにも感じられました。申込数や当選数、申込のタイプによって変動があるかもしれませんが、あくまで参考として御覧ください。

オンラインのデメリット

トークの場がオンラインに変わることで大きなデメリットとなるのが「タイムラグ」です。会社でのミーティングや飲み会がオンラインで行われるようになって経験したことがある人も多いでしょうが、オンラインで会話をする場合はネットワークを介するため通常の会話に加えて若干のラグが発生します。このラグが、時間に限りのあるオンライントークでは大きなデメリットになります。ラグを意識し、切り返しを早めにした方がテンポよく会話できると感じました。

また、接続してすぐには会話できない点もデメリットになると思います。握手会であれば目の前に立つまでの時間でアイコンタクトのように反応を取り合えますが、オンラインの場合はそれができません。つながった瞬間からトーク時間のスタートであり、接続されているかを確認する時間は用意されていません。そのため、会話時間がスタートしてすぐは会話できる状態かを確認する作業に使うことになると思います。

例えば、1枚だけで参加する場合、接続できているか確認する時間が入るため、体感時間が一層短く感じられます。また、タイムラグも発生するため会話のキャッチボールは難しくなります。この場合はひとネタお願いして返してもらうくらいが限界に感じました。そのため、1枚だけよりも複数枚で参加した方がデメリットは小さくなると感じます。

これらは直接会って会話する場合には懸念する必要がない、オンラインならではのデメリットだと思います。また、直接会う握手会では感じられる会った瞬間の反応と去り際の反応は、オンラインではフェードアウトの形で表現されていますが、特に終わり際の余韻は直接会って話した時には敵わないとは思います。

オンラインのメリット

ここまでオンラインでのデメリットを書いてきましたが、逆にオンラインになったことで生まれたメリットはあるのでしょうか。わたしが体験した中では以下のことが良い点だと感じられました。

第一に、オンラインになったことで場所に関わらず会話ができるようになった点です。今までは直接会いに行く必要があり、東京以外にも握手会会場が用意されているとはいえ、それ以外の地域に住む人たちは握手会に行くだけでも遠征する必要がありました。しかし、オンラインになったので自宅でも出先でも会話できるようになり、会話することへの手軽さは上がったと感じられます。

第二点は一点目に近いですが、待ち時間を拘束されなくなったことです。今までは握手するまで待機列に並んでいる必要がありました。坂道グループでは個別握手会と全国握手会の2種類がありますが、全国握手会の方ではメンバーによっては数時間並び続ける必要があると聞きます。オンラインになったことで、スマートフォンのアプリ上は待機中になるものの列自体に並ぶ必要はなく、待機時間は別のことに使うことができます。

第三に、会話の中で表現できる幅が広いことです。メジャーなアイドル界を中心に、握手会ではセキュリティの関係で手に物を持って参加することが厳しくなっています。他方でオンラインの場合はこの規則が多少緩くなっています。禁止事項は当然指定されていますが、ルールやマナーに反していなければグッズや創作物も手に持って見せながら参加することも可能です。
例えば、過去に購入したグッズやメンバーのことを描いたイラストは問題なくできました。誕生日が近いメンバーに対してはケーキを用意して見せることなども可能でした。なお、イラストなどをタブレットなどで用意した場合、カメラが映ると無断撮影を疑われるため注意が必要です。
とはいえ、大手のアイドルでは制限があった握手会での自己表現も幅が広がるので、オンラインでの会話を通じて会話の幅も広がり得ると思っています。残念ながら大手の握手会への参加経験が薄いので。本当に広がったかは経験者談となりませんが。

最後に

ここまでオンラインでのトーク会について書いてきました。オンラインになったがゆえにファン側にはデメリットに感じる部分もありますが、その反面、やり方によっては今までとは違った会話を楽しめるとも感じています。推しはいつまでも変わらず活動しているとは限らないとよく言われます。エンタメ界は飲食業界と並び自粛を強く求められ続けていますが、コロナ禍で応援の形も変わらざるを得ない中、オンラインという選択肢も取り入れていく必要があるのかなと思っています。

本投稿では坂道グループを参考に紹介してきましたが、現在、乃木坂46がオンライン ミート&グリートの受付真っ最中です。発売日の6月9日まで、抽選販売が複数回予定されていますので、ご興味ある方は確認してみてください。個人的には第1次応募の時点で確保済みなので楽しみです。また、日向坂46も5月26日発売シングルのオンライン ミート&グリートの抽選販売が行われています。既に売り切れのメンバーも多数いますが、こちらもご興味ある方は確認してみてください。個人的にはこちらも若干数確保済みです。櫻坂46はリリース済みのシングルのオンライン ミート&グリートの最終受付を控えているようですので、こちらもご興味ある方は確認してみてください。最後に宣伝っぽくなっていますね、そんな意図は特にないのですが。

今回はメジャーなアイドルに寄せて書きましたが、気が向いたらいわゆる地下アイドルの話とか書くかもしれませんが、まったく別のことを先に書くと思います。

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