マガジンのカバー画像

ねこと歩く

4
運営しているクリエイター

記事一覧

そんな中でもやさしさは生きるんだって

そんな中でもやさしさは生きるんだって

 或る夜、終電を逃した。北新地を目的もなく歩いていた。普段のLarkが、酷く不味く感じた。
仕事は上手くいかないし上司たちの嵐に揉まれてもう滅茶苦茶、ペットの猫が死んだし恋人には振られた。絶望的な11月のことだった。

 もう1時間近く経っただろうか、ここはどこだろう。近くの電柱に書いてあった住所は、天六、知らない土地だった。コンビニの安いコークハイ、目に悪いバカの光、チープな酔い方をした。
あー

もっとみる
だだっ広い東京から愛をこめて

だだっ広い東京から愛をこめて

 「いつの日かみんな私を忘れるんですよ、私と電話したことも、目を合わせて話したことも、手を繋いだことも、キスやセックスすらもぜーんぶ。そして彼等はあたらしい人とあたらしい恋をはじめるんです。全部はじめてみたいな顔しちゃって、時には“うまく出来なくてごめんね”って、ウブを演じるんですよ。その女は背が低くって、美容院で染めたきれいな茶髪に、毛先をクルクル巻いて、さぞかし可愛い子なんですね。そんな妄想ま

もっとみる
おしるこミッドナイト、不可逆

おしるこミッドナイト、不可逆

「おしるこミッドナイト」

クーラーを沢山つけると街があったかくなっちゃうんだって。そのあたたかさを夏の間に溜めておいて、冬になった時街に放出してあげる施設とかを作ったらいいと思うんだけど。

正解がなんだったかは、私にはまだわからない。

私、彼の思いつきを嫌っていたんだって、それなのに。
23にもなってマックで黒のチョコパイひとつだけ頼むような高校生みたいなデートをするのが嬉しくて、スーパーに

もっとみる
波

ニイさんが、「オムライスを食べに行こう」と言った。
どうしたんですか、オムライス。急に。と聞き返した、が、ニイさんはそんなわたしの疑問などお構い無しにオムライスの食べられるお店を探していた。

ニイさんに連れられて入った純喫茶は、この時代には珍しく煙草が吸える、昭和レトロをそのまま現代に持ってきたようなつくりをしていた。若いウェイトレスの言われるがままに席についた。

ニイさんは本当は「二井」とい

もっとみる