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不毛

身体というのは、実に不毛なものだと思う。僕は先日18歳になったけれど、一度として納得のいく体勢にありつけた事がない。

ふぅ、、。

なんなんだろう。凄くムカつくんですよ。体勢をいくら変えても「こうじゃない」「腰が痛い」「なんか不快」って体が訴えてくる。じゃあもう俺は考えてやんねえからな、って身体中の力を抜いたとて、別に快適な姿勢にありつけるわけでもない。

僕はもううんざりなんです。なので先日、脳だけになってきました。今は脳に繋がれた、僕の思考を反映するロボットでこれを打っています。実に快適ですよ。少なくとも不快な姿勢というのはなくなりました。

幾つか不満を挙げるとするなら、それはロボットに、五感のうち味覚・触覚・嗅覚が備わっていない事です。どの感覚を付けるかをカスタマイズできる時代になりましたが、僕に体があった頃は服に殆どのお金を費やしていたため、最も安い視覚・聴覚タイプを選ぶ事しかできませんでした。どうせ脳だけになるつもりだったなら、服なんて買わなかったのに、、。実に不毛です。

とにかく、感覚的な満足度は最悪です。僕は運動を嫌っているタチでしたが、長いこと「動く」という感覚を味わっていないと無性に動きたくなります。それに、趣味としていたピアノは徹底的に視覚を使わなければいけません。元々、指の感覚を大いに信用していたため、殆ど0からのスタートの様なものです。これもまた、実に不毛です。

それに、睾丸は取り除かれた筈なのに、性的欲求が治らないのです。性的欲求というより、快感への欲求と言った方が近いかもしれません。視覚・聴覚的な快感は得られますが、やはり触覚的な快感が懐かしいのです。後悔先に立たずならぬ陰茎後に勃たずです。

ここまで読んで頂ければわかると思いますが、脳だけの生活は、不毛な事だらけです。僕は安易にルビコン川を渡ってしまったのです。僕は自らに人蔘をぶら下げ、すぐさまそれを食してしまったのです。

皆さん、直感で動くのも大事ですが、ある程度は考えて動きましょう。僕の体はもう、キメラの実験体に使われています。勿論僕は、キリンを希望しました。では。

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