自民党総裁選考 二三位連合は成功するのか?

 自民党総裁選で、第一回投票で河野太郎一位、岸田文雄と高市早苗が後塵を拝することが確定的と報じられている。

 俄然注目されているのが、岸田・高市陣営による二三位連合である。

 当初、岸田が二位確定的と見られたので成功すると思われたが、高市陣営が予想外に票を伸ばし、高市が二位になった場合も成立するのか、注目を集めている。

 1956年の第二回自民党総裁選で、石井光次郎、石橋湛山、岸信介の三候補が争った際には、第一回投票で二位となった石橋と三位となった石井が組み、決選投票で岸に勝利した。石橋と岸の差は、わずか七票であった。

 劇的な成功のためか、二三位連合は成功すると思われがちだが、成功事例は多くはない。

 岸首相の後継を争った1960年の総裁選には、池田勇人、石井光次郎、大野伴睦、藤山愛一郎らが立候補した。

 石井・大野の二三位連合が成立すれば、池田に勝利すると考えられた。だが、党内情勢を踏まえ、大野が辞退し、結局、池田が勝利した。その舞台裏は、近年文庫化された『大野伴睦回想録』(中公文庫、2021年)に詳しい。

 このように、二三位連合が成立しても、本当に成功するのか、当事者たちですら信じきれないところがある。

 もう一つ、注目すべき点がある。

 岸田と高市、どちらが第一回投票で二位になるのか。

 石井・石橋連合が成立した際、当初は石井が二位と考えられていた。ふたを開けてみると、石橋が二位であった。私は、石井支持とされていた池田勇人が第一回投票から石橋に票を投じたものと考えている(小宮京『自由民主党の誕生』)。

 また、第一回投票は石井137・石橋151だったが、決選投票では石橋258であった。

 つまり、第一回目の投票が確実に二位に投じられる保証はない。

 果たして今回の自民党総裁選はどうなるのか、二三位連合が久々に成功するのか、興味深いところである。

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