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雨の日に十津川村(奈良県)へ行くな

はじめに

2021年8月、線状降水帯で日本列島が大雨に晒されていたドンピシャのタイミングに十津川村へ一人旅をしました。そして十津川村へ自然災害が襲います。そんな中、現地で酒飲んで風呂入っていた僕の記録ですが、自身の反省も兼ねて書きます。

わざわざ大雨のタイミングで奈良県の山奥まで行く人は少ないと思いますが、国内旅行の参考になれば幸いです。

本編

そもそも十津川村ってどこ?

奈良県の最南端に位置する、同県最大の面積を有する村である。日本の施政権が及んでいる範囲の村としては最大の面積を有し、ロシアが実効支配している北方領土を入れても留別村・紗那村・留夜別村・蘂取村に次ぐ日本で5番目に大きな面積を持つ村である。琵琶湖(669.23km²)や東京23区(621.98km²)よりも広い。鉄線吊り橋(谷瀬の吊り橋)の長さ、村を通る路線バスの距離(八木新宮特急バス)でも日本一である。

wikipediaより引用
黒丸が十津川村

要はめっちゃ山奥にある村です(暴論)。けど自然豊かで温泉も有名です。気分転換にもってこいです。

物理的な距離としては大したことないのですが、高速道路もなく途中から終始入り組んだ山道を進むため大阪からの所要時間は車で2時間半くらいです。休憩も入れたら3時間でしょうか?東京より時間が掛かります。当然ですが鉄道は走っていません。

また、山道が多い性質上か雨が降ると道路が通行止めになります。落石、土砂災害発生の恐れが高いためです。つまり大雨が降ると””封印””される恐れが高いです。反省込めて先に記載しておきます。

十津川村道中で連立するフラグ

日本で一番長い路線バスはなにかご存じでしょうか?大和八木(奈良県)~新宮駅(和歌山県)を運行する奈良交通の八木新宮線です。その途中区間に十津川村があります。

路線図

僕は正直車で十津川村へ行くのは飽きてきたのと、「バスに乗って本を読みながら移動したいなあ」という願望があったので、今回初めてバスを利用してみることにしました。

道中の観光スポットについては無限に旅行記があるので割愛しますが途中でバカ長い吊り橋にも停まるのでバスで十津川村へ行くのはオススメですよ!晴れた日は。

僕がこの路線バスに乗った際は最終的に御所(奈良県)あたりで乗客が僕一人になりました。

貸切最高!

誰もいないバスで、窓ガラスに叩きつけられる雨の音をBGMに読書しながら山奥の秘境へ向かうシチュエーションです。なんだかジブリ作品みたいな感じですね。主人公は醜悪なオタクですが。

そんなこんなでバスは十津川村へ進みます。途中から運転手さんと談笑(注:乗客が僕一人だけでしたし、運転手さんは常に安全運転を心掛けておりました)したりと楽しい道中でした。

フラグ①
おれ「乗客誰もいませんね!普段もこうなんですか?」
運転手さん「今日から暫くずっと雨って予報ですからね~。交通規制になってバス運行しないかもですねぇ~
おれ「そうなんすか~(雨の日に旅行する人は少ないんだろうな)」

フラグ②
おれ「川きったねぇ~www(ツイートポチポチ)」

フォロワーさん「川だいぶ氾濫してますね!気を付けてください!」

今振り返ればこの段階で引き返せばよかったのですが、お決まりの「謎の自身感と無敵感覚」が発動しているので十津川村へ突き進みました。あと僕の性格的に「突っ込むなら全額ベット、引き返すなら速攻で」というのもありますが…。

十津川村、土砂災害発生

だいたい17時頃に宿に着きました。源泉かけ流しの温泉も施設にある宿です。宿についてもほかの旅行記がいろいろ紹介していると思うので割愛します。

大雨で外に出るのも億劫なので無限に温泉に浸かり、夕飯も一人黙々とビールを飲みながら堪能していました。釜めしが美味しかったです。勿論!周りは全員家族連れかカップルですが、もはや「一人〇〇」を気にするとかいう次元越えているので全く気にしておりません。

そして夕飯を終えて再度温泉に入って(しずかちゃんか?)、宿で十津川村のローカルテレビとNHKをハシゴして眺めながら酒を飲んでいました。多分この時に初めて「線状降水帯」って単語を知ったと思います。馬鹿ですね。

十津川村は星空も綺麗なことで有名なんですが、残念ながら雨なので星は見えません。マジで僕は何しに来たんでしょうか?

脱線しました。暫くテレビを見続けていると、ある一報が目に入りました。

ん???

人生の実績「旅行先で土砂災害が発生する」を解除しました。もうね~ここまでくると一個人ではどうしようもないんですわ。グダグダ考えるだけ無駄です。取り敢えず酒飲みながら『遠野物語』を読んでいました。奈良県の山奥で読むと風情(ふぜい)があっていいですね。そして就寝。

次は東北に行きたいな

十津川村脱出

朝になりました。雨は勿論止んでいません。取り敢えず朝風呂に入って朝食を頂きました。ごはん・味噌汁・納豆・焼き魚・卵・漬物の構成を想像頂ければと思います。隣のテーブルでカップルが「熊野古道行けるかなあ」と喋ってて笑いました。今の状況はそんな心配するレベルじゃねーよ。

本当はもう1泊くらいして十津川村周辺をゆっくり周りたかったのですが、土砂災害も発生しており流石にこれはヤバいと思ったので大阪へ戻ることにしました(一人旅は終始ノリで行動しているので二泊目以降は宿も抑えていません)。冒頭でご紹介した路線バスは大和八木→新宮と新宮→大和八木が走っています。大和八木から十津川村へのバスは運行していないが、新宮→大和八木のバスが十津川村で折り返し運転する予定なのは昨日夜の時点で確認済でしたので、このバスに乗って帰ることにします。ちゃんと考えて旅行しています。ご安心ください!

ん???

おれ「あ…すみませ~ん、さっきチェックアウトした児玉ですけど、もう一泊いけますか?満室?そうですか、はい…わかりました…すみません」

…取り敢えずバスの停留所に手塚治虫『ブッダ』が全巻あったので、これを読みながら先のことを考えます。涅槃寂静の精神です。下手すれば2日は十津川村に””封印””されそうですね。敢えて公園とかで寝泊まりを試みて行政機関にサルベージされる方法もあるのですが、ここは奈良県の山奥の村です。通用しないでしょう。いや本当に…う~ん。

会社に「クッソ大雨なの分かってて奈良県の山奥に行って帰れなくなりました!笑」と報告するのは抵抗はありません。既にイスラエル・パレスチナに渡航した時点で無敵になっていますので。けど参ったな。左手で頭を抱えながら『ブッダ』のページをめくり続けます。

職員「お兄さん!村営バスの熊野行きならまだ動いています!」
おれ「え!?」
職員「〇〇番系統はまだ封鎖されていない道路を通ります!これに乗って取り敢えず熊野まで!熊野まで行けばあとはなんとか…」
おれ「乗ります!何分発ですか?」
〜以下割愛〜

救いの神が、そこにいました。

涙を流しながらバスへ乗り込みました。そして熊野までの道中で見たのは衝撃の景色。

やばいな〜

ありがとう十津川村。ありがとう村営バス。次来る時は普通に晴れた日に行きます。

おわりに

熊野までの道中や、熊野からの帰路も色々あったのですが気力が尽きたので書きません。

今回の反省は「事前に天気予報を見ておけ」に尽きます。アホですね。次点で「悪天候時は山道は比較的簡単に封鎖される」という認識の不足です。十津川村のような例は滅多にないかもですが…。良い勉強になりました。

皆様は晴天の日に楽しい十津川村旅行をお楽しみください。こういう意味不明な旅行をしてなんだかんだ上手く行くと、成功体験としてカウントされまた無茶な旅行をするんですが、もうしません。本当です。

"勝利者たる者たちは、誰も偶然の存在を信じない。"

フリードリヒ・ニーチェ『喜ばしき知恵』(村井則夫訳、河出文庫、2012年)

ちなみに、僕が熊野に達した頃に十津川村はすべての道路が封鎖されました。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

以上

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