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Immutable XとEthereum Layer2について調べてみた

先日GoChainを調べる過程でImmutable Xの存在を知ったので今回はImmutable Xとそれに関わるEthereum Layer2について調べてみました。

Immutable Xの概要

Immutable Xはオーストラリアを拠点とするImmutable社が提供するEthereumのLayer2ソリューションです。

公式サイトには以下のように記載があります。

THE FIRST LAYER 2 FOR NFTS ON ETHEREUM
Zero gas fees, instant trades and scalability for games, applications, marketplaces, without compromise.
イーサリアム上のNFTのための初のレイヤー2。
ゲームやアプリケーション、マーケットプレイスのために妥協なくガス代0、即時取引、スケーラビリティを実現します。

先日のGoChain同様にブロックチェーンにおける手数料やスケーラビリティ、決済スピードの問題を解決するためのソリューションです。

GoChainと異なる点としては、Ethereumのレイヤー2ソリューションとしてのアプローチをとっていることです。

そもそもLayer2とは?

Layer1がEthereum本体のチェーン(Mainnet)を指しており、その上に構築されているため、文字通りLayer2と呼ばれています。
Layer1のメインチェーン上での処理は「オンチェーン処理」と呼ばれ、メインチェーン以外の部分で処理されるものを「オフチェーン処理」と呼ばれます。
*(真の)Layer2はこのオフチェーン処理を行う層ですが、単なるオフチェーン処理ではなく、Layer1(Mainnet)の堅牢な分散型セキュリティモデルを利用しながらオフチェーン処理をすることができます。

そもそもなぜLayer2が必要になったかというと、それはEthereumのLayer1で行われているオンチェーンにおけるスケーラビリティの問題です。
具体的にはEthereumが1秒間に処理できるトランザクション数は7~15と言われており、この処理の少なさ故に手数料であるガス代の高騰を引き起こしています。(先日のGoChainは秒間1,300回、Polkadotは1,000回、Solanaで5万回です)

このスケーラビリティの課題を解決するためにLayer2におけるソリューションが存在しています。
Immutable X以外にもPolygon(旧Matic Network)やOptimismなど様々なプロジェクトがEthereumのスケーラビリティの解消に向けて動いています。

※備考:サイドチェーンとは※
オフチェーンは単にメインチェーンとは違う層で処理を行うという手法ですが、サイドチェーンはメインチェーンから分岐させたブロックチェーンを用いてメインチェーンの機能サポートを行う手法です。
サイドチェーンもメインチェーンで処理されないという意味合いにおいてオフチェーン処理です。しかし必ずしもオフチェーン処理がサイドチェーンを使って処理されているわけではありません。
(サイドチェーンによるソリューションはサイドチェーン側の51%攻撃の脆弱性があります。Ethereum Layer2によるオフチェーン処理ではこの脆弱性はありません)

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参考記事)
オフチェーンとは?意味や仕組み、実装例、問題点を初心者向けに解説!
https://coinotaku.com/posts/16310

*(真のLayer2 / True Layer2 / True L2):調べてるうちに遭遇した単語。Layer2の拡大解釈でLayer1のセキュリティ恩恵受けないLayer2ソリューションがあるからこういう言い方になってる…?

Immutable Xの特徴

細かなところは省略しますが大きなところでは以下3つの特徴があります。

① トランザクション処理数の向上(1秒間に9,000以上)
     Layer2のオフチェーン上の処理のためスケーラビリティがある
② オフチェーン処理でのガス代無料
     Immutable X内部処理なのでガス代がかからない
     ネイティブトークンの必要性もない
③ Ethereum Layer1のセキュリティの恩恵を受けられる
     サイドチェーンの弊害を受けない(サイドチェーン側への51%攻撃)

今年の3月にブロックチェーンゲームを開発している日本企業のdouble jump.tokyoとImmutable Xがパートナーシップを締結しました。

その際にMissBitcoinChannelでインタビューを受けているのですが、技術選定の理由として以下をあげていました。

マイクリやっていて思ったのは、ソリューション作っている人たちが本当に必要としているのかと思うときがあった。要するに(ソリューション側の)開発スピードがあまり良くなかったりするんですね。欲しいときにそのソリューションがない。コンテンツ作っている側(ゲーム開発会社側)の方が課題にぶち当たるのが早い。ImmutableさんはGods Unchainedを作っているのでコンテンツから始まっていてスケーリングの課題を自分たちで解決しようとしていた。~コンテンツファーストでやっているので信頼できる。

Gods Unchained開発運営している経験から実際に困った課題を解決しているというのが開発会社に刺さっているポイントみたいです。

ガス代は無料でも取引手数料はかかる

特徴としてオフチェーン処理の場合はEthereumのガス代はかからないが、Immutable X内での取引手数料はとられるモデルとなっています。

私たちがgas代ゼロで提供できている理由は、私たちが取引を行うからです。ユーザーはイーサリアムのメインネットで取引する代わりに、取引に署名し、その署名を元に数学的な証明が行われ、メインチェーンにアップロードされます。
この証明にはガス代がかかりますし、Immutable Xを運営していくためには最低でも1年間で200万から500万ドルの不変的なコストがかかります。

(~中略~)

ユーザーがNFTを取引する際に少額の手数料をいただき、ユーザがNFTを売却する際にも少額の手数料をいただくモデルとなっています。ユーザーはイーサリアム・メインネットを使うよりもImmutable Xを使う方がずっと良いと思っています。

今後調べたいことのメモ

・Immutable Xの背景で使われているLayer2のZK-Rollup技術について
ZK-Rollupsは、数百のトランザクションを1つのトランザクションにバンドルするレイヤー2オプション。単一のトランザクションは、スマートコントラクトによって分解され、各トランザクションを個別に検証可能。「ゼロ知識証明」方式を使用して、ブロックの検証に必要なストレージと計算能力の量を削減している。NFT対応のzkRollup方式は非常に挑戦的らしい。

・Layer2のスケーリングソリューションの分断問題 / Layer2同士のインターオペラビリティ

・スケーリングソリューションの比較

・他ソリューションとのコストメリット(手数料比較)


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