右も左もホーチミン〜常夏の都ハノイ〜
三日目 最終日
今日は、独りで巡る旅。ホーチミン廟、ホーチミン博物館、ベトナム軍事博物館の3箇所だ。
朝の街は、バイク・人・バイクで目が回る。高くひしめく建物、原色に大きなチューノムの看板、いろんな生活のものをぎゅっと丸めたような感じで、目が回る。
路上で、鶏とアヒルが籠にぎゅうぎゅうになって入っていた。
可愛いけど、鳴き声がうるさい。
そして、動物園のふれあいコーナーにいるような清潔さは微塵もなかった。生きるか死ぬか、という天秤に掛けられている家畜達だった。
店のおばさんが、毛を毟りとられた鳥を豪快に捌いている。血生臭さ、鳥たちから発生する獣臭。とてつもない『生』のパワーに圧倒された。
Googleマップ片手に、何とかホーチミン廟の入口へ到着。手荷物検査で、水を没収される。
分かってはいたが、この気温と湿度で飲み物禁止は身体的にきつくない?ホーチミンの死体の前に、こっちが脱水でこっちミイラなってしまうではないか。
中庭へ案内された。団体のツアー客、赤いアオザイのマダム集団、軍や警官らしき制服姿の若者たちがガヤガヤしていた。ポツンと、記念撮影で自撮りしてみる。
暫くすると、兵隊?にあんなにされ列に並ぶ。
隣で、流暢というかネイティブの日本語で30代くらいの男性と60代くらいの男性が話し合っていた。
「ここであっていますか!?」
と聞きたかったが人見知り発揮!声をかけられずモジモジしていた。すると
「アーユーフロム?」
声をかけられてしまった。「日本人なんですー!」と言おうとしたが何故か
「ジャパン」
と言ってしまう、痛恨のミス。あゝハズカシイ。彼らは三泊四日でハノイ旅行をしているらしい。列に待機しつつ、色々と雑談。
廟の周辺で警備をしているのは、ベトナム軍の衛兵。制服が純白だった。靴と靴下まで。精悍な顔つきに、伸びた背筋はまさに国の中枢を守る衛兵であった。
そしていざ、ホーチミン廟の中へ…
薄暗い四角い部屋で、小上がりの階段を登る。高床式?の建築になっているのか。中央に眠っているホーチミンを囲むように通路が出来ていていた。ガラスケースもなく、かなり至近距離から見える。
エンバーミング加工されたホーチミン。生前、国のために奔走し、ベトナムを率いた指導者本人だと思うと、畏怖の念を感じた。
しかし、ホーチミンは「自分の死体は火葬してベトナム全土に撒いてほしい」と遺言で残した。
それなのに、暗く冷たい廟で半世紀以上眠り続け、これからも眠り続けなければならない。 なんだか物悲しさを感じた。
余談だが、私は博物館のミイラを見ていつも、(自分の死体を好奇心に満ちた目でジロジロと見られのって、屈辱的だよなぁ)と思ってしまう。まあ好きだから観に行くんだけどサ…
ただ、建物内はとても神聖な空気が流れていた。穏やかな顔のホーチミンを思い出して、時代を超越した空間だったなぁと、浸ってしまう。
廟からでたところで、先ほどの旅行者2名(30代(?)男性A氏、60代(?)男性B氏)と歩きながら雑談。
「すごいですよねぇ・・・」「本当に本人なのか?」「蝋人形みたいでしたネ」など、3人揃って不敬極まりない発言のオンパレード。
儂「ガラスケースに入ってなくてびっくりしました〜」
B氏「え?ガラスありませんでした?」
儂、A氏「「えっ?なかったですよ!?」」 B氏「えっ?」
個人的な旅のハイライト、その2だった。
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