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右も左もホーチミン〜常夏の都ハノイ〜

☆2日目 
 ホテルでツアーガイド、ホアンさんと合流。「一人ですか?」と尋ねられ、「はい!」と威勢良く答える。

「寂しいですね〜!」と笑われた。うるせぇ。   
車の運転手さんにも挨拶し、いざ出発。ホアンさんの解説を受けつつ高速道路を進む。
 日系、韓国系企業の工場。道中一番の見所は、石灰岩から作られるコンクリで財を築いたベトナム一の富豪の家だった。ロシアの玉ねぎ屋根にヨーロッパの城のような建物。色はパステルカラー。ちょっと田舎にあるラブホのような見た目だった…

 チャンアンは古くから石灰岩で繁栄してきた地域とのこと。今はコンクリ事業が財源の殆どだが、昔は石灰岩で墓石や彫刻を作っていたらしい。石灰岩が枯渇しないことを祈る。

 さて、チャンアンへ到着。今から一時間ほどの手漕ぎボートでのコースだ。

 チャンアンは、世界で最も新しい(といっても2億4000万年前)カルスト地形。石灰岩の奇石を囲む形で川が流れている。そしてこれまた長い時間をかけ、雨水が滴りできた鍾乳洞の数々。そこを手漕ぎボートで巡る。

 澄んだ空気にそよ風。ボートなので水面が近い。見上げると、ごつごつした奇石がどっしりとそびえ立っている。大木や花々、草木が悠々と生きている。岩々の隙間から風が通り抜けていった。涼しい。

 そして鍾乳洞。人生初だった。天井部分はちょっとざらついていた。途方もない時間をかけ、出来上がり、これからも途方もない時間をかけ大きくなっていく。ありきたりな言葉だが、自然界の時間軸は恐ろしい。心の臓がキュッとなる。 ウン千歳を超える、仙人や天女が住んでいて毎日楽しく暮らし、どこからか人間たちを面白おかしく見ている…そう思ってしまう場所だった。

鍾乳洞

 そして、ゲストハウスを収入源としている小さな村を抜けレストランに到着。一人でヤギ肉を堪能し、ホアルーへ向かった。

 ホアルーは丁朝の丁部領(ディン・ボ・リン)出身地だった故、都市が置かれていた場所だ。 
 歴史の表舞台だった都、ホアルーを伝える遺跡は、初代皇帝とその一族が祀られた廟のみである。石灰岩の山々を縫った先に佇んでいた。

 丁部領は戦乱を収めたが、部下の謀反により呆気なく散ってしまった。波乱万丈の人生をここで静かに琉球の時を過ごしているのだろう。

 そして、石灰岩で作られたドラゴンベッドが青空の下に設置されていた。皇帝が座る玉座。政治を行ったそう。暖かな風に吹かれ青空の下で行っていたのだろうか。
 千年前の世界がホアルーには残っていて、変わらない自然がある。ベトナムに根付いた文化、涼やかで広大な一面を垣間見ることができた。

 


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