家族だからは免罪符にならない。無条件の愛が美しく気高い訳ではない。

＂家族だからは免罪符にならない。無条件の愛が美しく気高い訳ではない。事あるごとにうんざりするなら相手に期待をしないこと。すると個が家の枠を外れて独立していく。施錠が解かれたように真新しい景色は、眩ゆい。清々しい。ただ誰よりも期待したかった、ほんとうは。せめて夢で貴女の愛に浸りたい。＂

　上記はTwitterより。

「おばあちゃんが大変なの。だから、──」

　よく聞くことです。兄弟、姉妹、両親、親戚、伴侶。最後を除いては血が繋がっているからといって、それを振りかざして良い理由にはならない。

「お金、貸してくれる？」

　金銭の貸し借りが悪いことではありません。内容をしっかり聞いて、信用と誠意の下、成り立っていたらいいのです。信用を失わなければいいだけです。ですがそれが一番拗れるものは金銭。金銭が発生したら、より丁寧に関係を紡ぐ必要があると考えます。

　家族間でのお金のやり取りは、きっちり紙に借用書を残すか口約束で終えないように。本当におばあちゃんが大変だった？　あんなにしっかりしていた経営者なのに？　確認不足であった貸す側のミスでもあります。これは実体験に基づきますが、親の言うことでしたので、疑いませんでした。それまでは辛うじて信頼していましたから。したかったですから。

　ですが、これまであったいくつもの「お金貸して、絶対返すから」は数ある不誠実のひとつに過ぎませんでした。

＜背景＞

当時、数年働いて貯めた貯金で、いろいろあって(※)実家を出る。表面上は円満上京。逃げ出した風には見せていない。上京したての頃は、貯金を切り崩しながらの生活で収入はほぼゼロだった。

　※これもまた金銭絡みを含みます。

＜発端＞

急に電話連絡が入った。おばあちゃんのお家で固定資産税の支払いが滞っているので5万貸してほしい。来月必ず返すから。

＜結果＞

なけなしの貯金から5万を送金したが、翌月に返ってこなかった。その後も返ってこなかった。催促するとキレられてしまった。

　当時はまだ『毒親』という言葉がありませんでした。

　メディアでこの言葉を目にしてから、側から見たら一般家庭の一員に見えるけれど、ああきっと彼女のような人を指すのだろうな、と思い至りました。人間のカテゴリ分けはあまり好きではありません。他の記事でもなるべくその単語は控えるつもりです。ただ、ヒトとしてどうなの？　と思わされる行動が多い女性ではあった。無自覚に重ねるのでタチが悪いと余計に感じてしまうのです。これだけではないというのが不信に拍車をかけるのですが、今回はこの件のみで。

　愚痴を綴っているのではありません。

　この場では、なんでどうして、と嘆きたいのではなく、「こういう人間もいるよ」という注意喚起。家族や身近な人だからといってどんな行いも「家族だから」で赦してはいけないということ。ずっと根に持っていて当然です。だってあなたは家族である前に、一人の一個人です。別の人間の考えに合わせる必要も、聞き入れる必要もない。あなたが思うあなたの正しい行いをしてください。

　最後に、お金の用途は結局なんだったの？

　あとから分かったことですが、祖母は孫に税金の支払いをお願いしたことはありませんでした。若い頃は経理も担当する経営者でもありましたから。恐らく、その娘(親)が私利私欲で求めたお金なのでしょう。それを知ったのは一昨年でしたが、祖母のために真実を知られて良かったです。

　それから何かがあって誰かにお金を貸す時には、溝に捨てる気持ちであげようと決めています。期待はしない。物事を割り切ると、目の前の景色が見違えてとても清々しいです。──ただ、それでも期待したかった。友人より誰よりも誠実であってほしかった。同じ血が流れているのなら幻滅はしたくなかった。そうがっかりするのは仕方ないです。今でも時々昔を振り返ります。なので、そういう時はせめて夢の世界では、仲睦まじい素敵な親子で居させてね。と願って眠りにつきます。目が覚めたら不思議と気持ちが薄れていく。きっとこれが時間が解決するということなのでしょうか。家族関係は解決しなくてもいいのです。大事なのは自分の気持ち。

　疫病が流行ると身近な処でも物騒になってきますので、皆さまもくれぐれもお気をつけて。ご自愛ください。