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民族衣装展の話

文化学園服飾博物館にて開催していた、民族衣装 -異文化へのまなざしと探求、受容-展

うっかりしていたら最終日になってしまった!ちょうど休みだったから滑り込みで見に行ってきたよ〜

各国の民族衣装の歴史をまとめたフロアと、民族衣装をもとにデザインされた近代の有名デザイナーの衣装をまとめたフロアの2部構成でした。

まずは最初のフロア。

さすがの文化学園のコレクション!といったラインナップ。
貴重すぎる資料たちを間近で見られて感激。

・1770年代のトワルドジュイ
・ヨーロッパの民族衣装イラストをまとめた書物→中東の衣装は色鮮やかで派手なのに比べて日本の服の地味さに笑った。いやもっと煌びやかな着物とか見てほしかった!って。
・柄やディテールも詳細に書き込まれた展開図。めっちゃ細かくてそのまま作れそう。
そしてそれに比べて江戸時代の日本人の作った各国の衣装の絵の適当さよw
写実的ではなく正確さに欠けるとこがまた…
(小人国、脚長国とか独断と偏見がすごい)
でもまぁその想像力やアレンジ力がまた良い味出してるのかもね!
・1930年代 日本被服協会の集めた資料。近隣の朝鮮半島の衣装が多いかな。生地の用尺なんかも細かく分析して記されてた。研究!ってかんじ。
・1900年代フランス 黒人の顔が象牙に掘られためちゃくちゃヤバいデザインの日傘…てっぺん、先っぽ、骨の各先端、ストラップに顔が彫られてるんだよ…
・朝鮮半島のお土産絵葉書コレクション(個人蔵ってのがまたすごい!)
・昭和2年の三越で開かれた民族衣装展(の絵葉書セット)このころからこういう企画展みたいなのやってたんだ〜って感心。

服飾デザイナー、服飾教育者の田中千代さんのコレクションや、
遊牧民研究家(!)の松島きよえコレクションが見応えあった!
現地の人が実際に着て生活していた衣装を譲ってもらって集めたものたち…
補修跡や汚れや縫い目一針一針に人々の思いが刻み込まれていて、その美しさと歴史の重みに魅せられた。

2つ目のフロア

インスピレーションとして民族衣装をモチーフにしたデザイン、それはそれで素敵なんだけど、なんか元ネタを見てしまうと、どうしても薄っぺらく見えてしまう

文化の盗用ってよく聞くけど、どこまでヨシとするかって難しいよね…
流石にボディスーツをキモノって言われたらwやっぱり違和感あるし、エェ〜…って思っちゃうよな。例えリスペクトしてるから!って言われても、盗られた側の意図しない方向に持ってかれるのが嫌なのかなぁ。

民族衣装って、本来は装飾や模様ひとつひとつに意味があって(悪霊が身体に入り込まないように、とか、子孫繁栄の、とか)人々の暮らしに根付いたものだから、本気度が違う!んだよね。

そして民族衣装もどんどん近代化していって、欧米文化がミックスされていって。
織物からプリントへ 効率化も必要だけど…
無くなってほしくない。

たくさんの貴重な資料を眺めながら、そんなことを色々と考えさせられる展示でした。
見に行けてよかった!

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