甲府式442の修正~初期配置で優位性を作る策への変更は~

 久しぶりの投稿になります。
今回はタイトルの通り「甲府式442の修正」について探っていきたいと考えます。これは今後の甲府が勝っていくために重要なことだと思い投稿します。

5/13(土)ジェフユナイテッド千葉戦。Jリーグ30周年を飾る記念マッチにおいて、オリジナル10の千葉相手に0-1の敗北を喫しました。
この試合では、甲府の442の内容において修正点を感じざるを得ない内容となりました。しかし、これは今に始まったことではありません。他に敗れた群馬戦なども同じような"自分たちの課題″を露呈している状況です。


甲府は442で良いのか〜現状の課題から見つめる〜


・守備編

甲府はセット時に442で構えます。2トップとなるウタカ選手、三平選手が相手に牽制をしたり、ファーストプレスの担当者となっています。442はベーシックな守備配置であることは間違いありません。プレミアなど海外のチームも攻撃時に433になりつつ守備時は442でやるチームは少なくありません。守備をコンパクトにしつつチームとしてプレスに行く、いわゆるゾーンプレスをやるにしてもベーシックな形となるのでは。
しかし、今の甲府は2トップがプレスに行ったとしても、MFがいる2ndライン、最終ラインの間が開いており、相手にスペースを与える、段差を作られるケースが多いと感じます。
加えて、甲府千葉戦の27分のシーンでもあるように、2トップが前からプレスに行ったときにドイスボランチの一角が付いていきGKまで戻させることが出来る場面もありますが、組織として連動したコントロールが出来ていないため選手の背後・空けたスペースを使われてしまうことが多いです。結果的に、プレスに行けど相手にロングボール蹴らせて回収出来た場面がそれほど多くありません。その為自分たちの守備のアクションでマイボールの時間を増やすことがあまり出来ず、ボール持たれる時間は超持たれてしまう印象があります。その中で揺さぶられ、スペース空けて、相手に使われ失点することも見受けられます。
特にプレス等における相手選手への牽制は中途半端に感じます。ボール保持者に対して「どこまでチームとして圧を掛けるか、規制するか」が明確になり切れず、「どこに蹴らせて、どこで回収するか」という取り所で強みが出し切れないように感じます。特に自然に各レーンに人が立つ相手チームであれば中途半端な規制によって大外レーンへのロブパスやプレスに行った選手の斜め脇・背後を使われることも多々見受けられます。
もし442で守備をやりたいなら、もっとゾーンプレスを効果的にやれる形に落とし込まないといけません。それが難しいならまずは5レーンを埋める守備、もしくは相手に合わせて嵌め込む守備をすることも考えなければならないと感じます。

・攻撃編

ここ数試合の内容みる限り、攻撃時の442に強みを出しきれていないと感じてやみません。
甲府の2CBはある程度狭く立ち位置をとります。そこからビルドアップを始めますが、まず前にスペースがあるのにパスを出すことが多過ぎます。
CBがフリーにスペースがあるということは、味方の周辺には相手が牽制しているということです。もっと相手を引き付けてから味方に渡すことをしないと、受け手は圧力掛けられたままでプレーすることになり制限させられている為、前向きでボールを受けることも難しさを増します。
また甲府はドイスボランチの一角がサリーダ・ラボルピアーナ(1つ後ろに落ちて関わる)を行うことは良いのですが、その擬似的3バックの良さを活かしきれていない様に感じます。
2CBで組み立てようとするなら、ある程度CB+1枚で相手2トップやサイドハーフ、ボランチの選手を引き付けて、中盤より前での優位性は生み出すのも手です。またサリーなど擬似的3バックにする時は、もう少し開いて立ち位置を取り、他の選手はレーンやスペースを意識して、立ち位置取ることを増やして欲しいとも感じます。

何よりも攻撃時は、「空いているスペースを効果的に使う」ということです。攻撃時にボール非保持者が受け手としてスペースを作り、認識し、良いポジショニングでプレーして欲しいです。それにおいて大事なことは選手の立ち位置において「菱形や三角形を作ること」です。
菱形や三角形を作ると斜めに2方向のパスコースが生まれます。それに前向きで受けることを意識すれば自然と相手にとって嫌な立ち方となり、パスの選択肢が2つ以上あることで相手がプレスの行きにくい形に繋がります。菱形・三角形はスペース・ポケットを意識し、その大きさも小さくなり過ぎずに何個も繋げていけばピッチ上に大きな優位性の地図が出来ると考えています。効果的に、かつ相手にとって厄介なスペースの使い方が生まれてくるはずです。
こうした配置論を考慮した時に、今の442では効果的な配置・相手を惑わす選択肢の多いサッカーにはなっていないと感じます。フォーメーションはあくまでも数字でしかなく442であっても相手に応じて流動的に変化しながら、スペースを使い、各レーンを自然に使えるような立ち位置が出来るチームであれば良いのですが、今はそうなり得ていません。
こうしたことを考えるならば、最初から自然に菱形・三角形が作れるような配置・フォーメーションにすれば良いのでは?と感じるのです。


今の甲府にとって挑戦する価値のある配置とは~攻撃面において~

・慣れ親しんだ3バック+ウイングバック

甲府と言えばこれ!的な3バックシステム。しかし、この配置は今の甲府にとって最も分かりやすい改善策かもしれない。加えて、今季の甲府には素晴らしいCBの選手たちが揃っています。試合にまだ出場していないCBの選手でも非常に高い能力を持っている選手ばかりです。また運べる・パス出せるCBが多いので、3バックをやる価値は高いと考えます。
また関口選手や宮崎選手、小林選手はウイングバックをやるにおいて、今より強みが出るのではないかと考えます。味方に使われながらサイドで自分の特徴を出しやすいのではないかと考えるためです。
〇3421
ビルドアップ時はドイスボランチが3CBとともに菱形・三角形を作り、相手のプレスをいなす。
3CBは横並びにならず、必ず三角形を意識する。CB左右の選手(HV)は特に前進を意識してプレーする。
ドイスボランチはシャドーやウイングバックと関わり、三角形を作り相手を揺さぶり相手守備網を攻略する。
シャドーはハーフスペースを主に担当し、仲間とのリンクを意識しながら局面でライン間や相手の背後を取る。
ウイングバックは大外レーンを主に担当し、三角形を作りスペースを攻略しつつ相手SBやWBの背後を取り、マイナスのクロス等でアシストする。
3421は各レーンに人を立たせることがはっきりしますし、今季の甲府はライン間で受けるのが上手いシャドータイプの選手が多いのも利点かと考えます。

〇3412
3421とはシャドーが1枚でCFが2枚になる違い。この場合は最終局面がシャドーと2トップで三角形を作ることでストライカーを上手く活かせる可能性がある。ウタカ選手や三平選手、松本選手etc…多くのバリエーション豊富なストライカーが居る甲府には挑戦する価値もありそうかと。

・中盤の選手層の厚さを活かす433(4123)

甲府にはインサイドハーフ向きな選手も沢山います。特に長谷川元希選手や土肥航大選手、中山陸選手などをインサイドハーフで見てみたいと私は考えています。彼らの強みを出せることはチームに勝利をもたらす大きな原動力となるはず。
そして433(4123)を試して欲しい理由として何よりも河田選手の足元のレベルアップがある。河田選手はここ最近特にパスなどの能力がかなり高くなった印象です。それを活かし、GK+CB2枚+アンカーで菱形を作り、相手を引き出すことに積極的に挑戦しても良いのではないかと考える。相手を引き出せば、中盤より前はスペースが空く。その前目にポジションを取る長谷川選手や武富選手は間で受けて前を向くのが抜群に上手い。スペースが出来れば出来るほど彼らの強みは強烈になるはず。
そして個人的にアンカーとして荒木翔選手を起用しても良いのではと考える。何故そう思ったかにおいては、千葉戦の後半(何分か忘れました…)に流れの中でアンカーの立ち位置を取る場面があった。すると相手2トップの背後に留まり、CBと良い関係を築けそうなアンカーとしての役割を体現していた。荒木翔選手はスペースを見つけることが非常に上手い。ショート・ロングパスの能力も高く、アンカーとして躍動しそうな予感もします。
選手の特徴を活かす新たな形として、もしかしたら433は新生甲府のシンボルとなる可能性を秘めていると考える。
そして433は中盤から前線においても菱形・三角形が作りやすく、多くのチャンスを生み出しやすい。各レーンにも自然に人が立ち、相手の守備網を広げることに長けている。サイドアタッカータイプが少ないという課題はあれど、今いる選手の能力をより活かすための433に挑戦する価値はあるのでは。

今後の成功に向けて~ACLを闘うチームとしての矜持~

甲府はJ2を戦い抜いて、昇格を目指す。しかし、今季はこれだけではない。秋になればACLが始まり、天皇杯優勝チームとしての責任を持ち、出場する。
ACLでは国立競技場をホームスタジアムとすることを申請している。その中で、普段甲府の試合を生で観戦することのない都内に住む方々まで集客するチャンス。
その点も考慮すれば、もっと甲府としてもフットボールは成長し、選手たちが迷いなく熱く逞しくプレーが出来る様に整備してあげたい。その選手たちの姿がサポーターに伝わり、熱量が増し、大きな声援となって多くの人たちの心を揺さぶるはずだ。そうなれば初観戦の人たちにとって、ヴァンフォーレ甲府が心のクラブになるかもしれない。
私はあの天皇杯決勝の日産スタジアムの感動は絶対に忘れることのない記憶だと思っている。そんな雰囲気を作るためにも、今のチームが成長するための改善策を求めたいと考えています。


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