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【16日目】
ゆかりさんの病院へ付き添うため、2週間ぶりに電車に乗る。銀行でお金も下ろしていないので、財布には20円しか入っていなかった。少し恥ずかしい気分になる。ゆかりさんにお金をもらい電車に乗る。2週間で近所のスーパーとニュースは変わってしまった。それでも電車は変わらず、記憶の中より、窓が大きく開いているなと思った。
誰もいない電車かと思ったが、何人かは電車に乗っている人がいて、この人たちは何をしているのだろうと考える。事情があって電車に乗って移動していると考えると、不安な気持ちになる。電車の中で読もうとした山崎ナオコーラ『母ではなくて、親になる』は一度もページを開くことなく、目的地に到着をする。
しばらく歩いて病院へ。すぐに診察は終わり、コロナから逃げるように再び電車に乗る。
行きよりも乗客は多く、中づりの広告が心なしか少ない気がする。大学生デビューをしたような若者がまじで、これからどうなんだろ、と友人と話していた。同じことを思う。お金の問題とか不安だらけだ。家の中にある本を売ればよいか、とか、通販をもっと宣伝して売るかとか考えているうちに最寄駅に到着。電車の中で読もうとした本は一度も開かなかった。
帰宅してゆかりさんとコンビニのお弁当を食べる。僕はレンジでチンするタイプのラーメンを選ぶ。
ゆかりさんに「珍しいよね」と言われたので、「病院に行ったあとって、普段の自分では食べないものを食べようと思ってるんだよね、なんとなく」と答えるが、ゆかりさんには伝わらなかったのか、へーと興味なさげの声だけが返ってきた。
夜になり晩ご飯の準備を始める。前に近所のスーパーで購入した手羽元を煮込む。先日スッキリで観た加藤浩次の豚骨ラーメン作りを思い出す。ほぼ調味料を入れていないのに美味しい煮込みになった。またやろうと思う。食べ終わってゆかりさんはテレビタイムで、僕は山崎ナオコーラ『母ではなくて、親になる』を読み始める。育児エッセイであるし、山崎ナオコーラさんの現時点での考えについて書かれていた。今僕がお金がなくて不安な気持ちのせいか、お金についての部分に引っかかってしまう。貧乏が怖い。前世はおそらく貧乏で死んだのだと思う。織田裕二のお金がない!は思い出すだけで震えてしまう。


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