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【8日目】
昨日日記を書いた後から村井理子『兄の終い』を読む。一気読みしてしまうと聞いていたが、ページをめくる手が止まらなかった。ゆかりさんが横に寝ているのに、起きて本棚のある部屋の電気をつけて写真を撮ってTwitterを更新した。
兄が亡くなって残された元妻、息子と私(妹)の5日間のドキュメントなのだが、終始泣きそうになりながら読んでいた。淡々と行動については書かれているのに、兄べの感情は濃く書かれている。嫌いだったのだろうなと思うけれど、読んでいくうちにその根本にある兄への感情にずっと泣きそうになっていた。一気読みしてしまったので、再度読んだ時は丁寧に読みたい。

起きてゴミ捨てに行く。もう朝に人が歩いている姿も見なくなった。ただ青空は広く遠く見えた。二度寝をするべく布団に戻りスマホを見る。特に通知はない。みんな通常通りにつぶやいている。昨日読んだ『兄の終い』について考えているうちに眠ってしまう。
変な夢を見た気がする。特に思い出せないまま起きて毛布を洗う。この自宅待機の期間は自分を綺麗にしようとしている気がする。普段はやらないストレッチをし、中2男子の朝のような硬さをした体を柔らかくさせようと思ったり、普段は大掃除くらいでしか洗わないような毛布を洗濯している。
これからどうなるだろう、という気持ちとどうしようという気持ちが重なる。本屋にも寄れないので、Amazonから本が届く。INA『牛乳配達DIARY』が届いた。本当ならば本屋で購入したかった。本屋で売っているところを見たかったけれど、近所の本屋は全て休業中。
読んでみるとやはり良い本だった。Twitterで見かけて読んでみたいなあと思っていたのだけれど、今の自分と重なるような感じがした。共感とは違う。僕も日々をどうにか物語や小説にしたいと思っている。『牛乳配達DIARY』はそんな漫画だった。日々の瞬間を切り取り、いつもならば通り過ぎてしまう一部を美しい素敵なものに変えている。それが素敵だと思った。
しばらくしていると、IKEAより連絡がありダイニングテーブルが届いた。配達してくれたおじさんは自分より大きな段ボールを2階まで運んでくれていた。伝票をもらう際、ずっと息切れをしていた。ようやく我が家にダイニングテーブルが届いた。しかしまだ組み立てなければいけない。
段ボールを開くとダイニングテーブルのかけらがあり、無機質な説明書がある。組み立てる説明書は武者ガンダムのプラモデルを思い出す。あれには漫画がついていたが、IKEAの説明書にはわからなかったら電話していうメッセージであろう絵だけが描かれている。
ゆかりさんと組み立てていく。BGMは今朝の文化放送にアルコ&ピースがゲストで出ていたラジオをタイムフリーで聞く。お互い無言で椅子を組み立て、ありがとうという言葉程度の会話をしつつテーブルも組み立てる。
組み立て終わると、ゆかりさんが「レビューに組み立てが大変とあった通りだな」とつぶやいていた。
ようやく我が家にダイニングテーブルがやってきたのが嬉しくて、今この日記を書いている時もダイニングテーブルで書いている。そして横には大きなクマのぬいぐるみがいる。ずっと床にうなだれていたこいつも椅子に座れて心地良さそうな顔をしている。椅子に座ることができた僕はゲンドウのように膝をつき手を握り、ぼんやりと考える。これからどうしよう、どうなるだろう。
『牛乳配達DIARY』の中の主人公も同じようなことを考えていたかもしれない。今僕は物語の途中にいるのだろう。
いつかこんな日もあったなと思い出すために日記を続ける。

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