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【12日目】
外に出てみると、近くのスーパーは入場制限をしていて、少し遠くのスーパーのレジの行列は見たことがないほど長く連なっていた。家に帰るまでにあるコンビニで買い物をして帰ることにする。
青空が広がっているかと思ったら遠くでは厚い雲が見える。昨日が大雨だったからか、青空だったからか、外にも人がいて、公園の方角からは子供の声が聞こえている。ほぼいつもの日曜日。見えない空気が怖いので早歩きになってしまう。
家にいれば外を歩く人の声が聞こえ、誰かが外に出ていることを感じる。ゆかりさんは12年前のゲームを熱心にやるので、DSを隠してみたら怒りながらDSを探し続けていた。
僕はその間にロロ『ちかくに2つのたのしい窓』をYouTubeで観る。15分前に開場するので、家の中で観劇気分になる。20分ほどで終わる。2人のビデオ通話を聞いているだけなのに、演劇を観た気分になる。2人が目の前で生きているような感触があった。初めて知った名前なのに彼らの人生の断片を知ったような気がした。
観終わり、塔島ひろみ『二十世紀終わりの夏、私はこんな風に子供を産んだ』を読み始める。何回目かの再読。
何度も読み返す本は少ない。ただこの本は人生の節目節目で読んでいるような気がする。何か自分の中で切り替えるための本なのだろうか。出産前から生まれてすぐの日記なのだけれど、僕はこの本を読んで日記や人の生活というものを好きになったのかもしれない。
街ですれ違う人は生きていると思えない。何を考えているかわからないせいだ。日記だとその人が生きているとわかる。言葉が血になり、文章が肉になっていくのだろう。街ですれ違う人の日記を読めば、その人も生きていると実感することができるだろう。
僕は生きているだろうか。なんて考える。


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