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浅見光彦。

浅見光彦シリーズを読み漁っていたのは2000年前後のことだ。

当時、手に入るものは99%読破した。
浅見さん可愛い、お兄ちゃん素敵~とうっとりしていた。

うっとりするあまり小説まで書いていた。


浅見に憧れて小説どおりのルートで唐津をドライブし、疲労困憊したこともある。
光彦、走りすぎ。体力ありすぎ。

浅見光彦シリーズの魅力は全体的な軽みである。
横溝正史チックな過去の因縁も扱いつつ世界観が明るく、文体が平易で、浅見光彦が可愛くてサクサク読み進めることができる。

イケメンが愛車で観光名所を訪れ、美人のナイト役をつとめながら事件を解決するというわかりやすさのおかげで数多くの作品が映像化されている。
地方の警察官から不審者扱いされてネチネチといびられた後、光彦の身元(兄が警察庁刑事局長)が判明し「いやですよ旦那。浅見先生もお人が悪い」と豹変するまでのお約束シーンも見どころの一つだ。

浅見光彦は33歳で未婚、スリムで長身、女々しい感じの美男子。
頭脳明晰、清廉潔白。マザコンでブラコン。本業は歴史雑誌のライター。
ファッションはカジュアル。愛車はソアラ。

どう?素敵でしょ?
このスペックで、年下のお手伝いさんから「ぼっちゃま」って呼ばれるのよ。もーどうしたらいいの(なんもせんでいい)。
いやー字面だけでも惚れる。令和になってもカッコええわ。

映像化された中でもっとも適役だったのは沢村一樹だと思う。
いや、むしろそれ以外は間違いだと思うのね。
ちょっと顔が濃すぎるけどそこは目をつぶります。

お兄ちゃんの陽一郎さんは石坂浩二と村井國夫しか思い出せないが、これはどっちでもいい。わずかに村井國夫のほうがいいけど、貫禄ありすぎる感じはする。
光彦が33、お兄ちゃんとは14歳差なので47。んー、どうなの?(笑)

浅見光彦の年齢を超えた時、自分が何か失敗したような、踏み下ろす足を間違ったような心もとない気がした。
数年間は32と言い続けていたぐらいだ。
あこがれの人の年齢を超えるのは恐ろしい禁忌だ。
33歳までにやらなきゃいけないと思っていたことがたくさんあったのに、結局なにもクリアできないまま年だけ取った。
今でも浅見さんは私にとってあこがれのお兄さんで、いつまでも越えられない人だ。

つらい毎日の記録