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騙し絵の牙

公開当時、おもしろそうだな〜と思っていた映画、
『騙し絵の牙』をNetflixで。

いや〜
面白かったですね。



あらすじ

大手出版社「薫風社」に激震走る。
かねてからの出版不況に加えて創業一族の社長が急逝、次期社長を巡って権力争いが勃発。専務が進める大改革で、雑誌は次々と廃刊のピンチに。
会社のお荷物雑誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされる……



この作品、なんでおもしろそう、と思ったかって、
まず原作から大泉洋を主人公にあてがきされたというものだから。
大泉洋に演ってほしい、って思われてる主人公なんだから、大泉洋がハマらないわけがない。
ちゃんっと硬派な演技をする大泉洋ってだいぶかっこいいんだから。
期待通り、かっこよかった。


大泉洋、佐藤浩一、松岡茉優、國村隼、、、魅せる役者さんたち勢揃いなんだから、まちがいないよね。
そう、わたしの大好きなリリーさん(リリー・フランキー)も、まぁ〜〜〜もう、まちがいないところで出てきたわ。


出版、編集、校閲。
わたしにとってとても興味のあるところだったのも相まった。
わたしたち大衆の側にいる者が、どんなものに興味をもち、
どう心を動かされ、その一冊を手に取ってしまうのか。
本当に”わたし”がおもしろい、と思うものは一体どんな作品なのか。
そんなことも考えたり。

『騙し絵の牙』、おもしろかった。



これまで読んできたなかで価値観を変えてくれた本は? 最近読んだなかで印象に残っている本や雑誌は?


こちらのインタビュー記事を読んで、わたしの価値観が変わった1冊について、ちょっと。

わたしは、幼い頃からわりと本を読むのが好きで、人並みに、読んでいる方だと思います。人々がノーベル賞を期待するような作家さんの作品でも、苦手なものは苦手だ、と、毛嫌いしてしまって読まないものもありますが。

活字で、そんなに感情が揺さぶられるなんて、という思いをした最初の一冊が、宮尾登美子さんの『蔵』です。
映像作品にもなっていますから、ご存知の方も多いかと。(わたしは観ていませんが)

あらすじ

新潟の旧家、蔵元の田乃内家に生まれようやく育った娘、烈。 家族の愛と希望を一身にうけて成長していくが、小学校入学を前に、失明にいたる目の病を患っていることを知る。 過酷な運命を背負う烈と祖母、父母、叔母たちが織りなす愛と悲しみの旅が始まった―。


上下巻ありますが、
ほんとうにあっという間に読んだ気がします。
繊細で美しい情景描写、つよくたくましく生きる女性たちのこころの機微。
こんなに美しい文章に、わたしはそれまで出会ったことがなかった、と感じたものです。
それから宮尾登美子さんの作品はあれもこれも、よく読みました。
大好きな作品は多くあれど、その最初の一冊は『蔵』だったことを今日はここに書き留めておきます。

主人公の烈に肩入れしすぎて、わたしの望むハッピーエンドであるかどうかが気になりすぎて気が急いてちゃんと読めないのがもどかしく、初めて、まず先に結末を読んで納得してから再びページをもどって読んだ小説でした。


その情景がまるでここに思い浮かぶかのような、その風がわたしにも吹いているかのような、そんな錯覚をさせられる宮尾登美子さんの作品が、わたしはほんとうにとてもとても大好きです。


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