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言葉遣いで自分と相手のスペースを守る

こんにちは、"_dawn_"です。
私の投稿に興味を持ってくださり、ありがとうございます。今回は「言葉遣いで自分と相手のスペースを守る」というテーマで書いてみます。

すべての人間関係は、その根底に、尊厳のある一人の人同士という対等な人間関係が存在します。たとえ、上司と部下、先生と生徒、親子など、お互いに役割がある間柄であっても。ところが、往々にして、何かしらの物差しで相手を解釈・判断し、相手にレッテルを貼ってしまうということはおき得ます。決めつけで相手の人格を侵略してしまうのです。言ってることは間違っていないけど感情的に受け入れがたい発言というのは、ここに問題があるケースが多いのではないでしょうか。
正常な人間関係を維持するためには、相手の人格や価値観に土足で踏み入れず、適切な対人距離を取る必要があります。今回は、そのためのアクションプランについて考えていきます。


私たちは他者を解釈・判断している

他者を解釈する3つの要素

私たちは他者と接する中で、大なり小なり目の前の人に対して、何らかの解釈や判断を行います。私の好きな書籍『自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義』では、他者の行動を解釈するのには3つのアプローチがあると述べられています。

  1. パーソナリティ特性(その人の性格や価値観)

  2. パーソナルプロジェクト(その人の遂行したい目的や意図)

  3. 物語(そこに至るまでの経緯)

例えば、会議で自分の意見を頑なに主張する人がいたとします。その人をどう解釈・判断するのか、3つの要素それぞれに当てはめてみると、以下のようなものが例として考えられます。

  1. パーソナリティ特性による解釈

    • あの人は自己主張が強いから、自分の意見をゴリ押ししているな。

    • あの人って独善的なところがあるから、言っても聞かないだろうな。

  2. パーソナルプロジェクトによる解釈

    • あの人は管理職の立場で、ああ言わざるを得ないんだな。

    • あれはプロジェクトメンバーの利害を守るための発言だな。

  3. 物語による解釈

    • あの人は今関わってる案件が炎上してて普段より余裕がないんだな。

    • いつもは相手の話もよく聞くのに、今日は体調が悪いのかな。

私たちは、他者の行動や振る舞いをこうした要素の組み合わせで解釈しています。ただし、あくまで表面的に見える情報から作った想像の域を出ず、100%事実に基づくものではありません。特に「パーソナルプロジェクト」や「物語」に至っては「いや、そんなん他人からしたら知らんわ!」って感じですよね。このように、その人の振る舞いに影響を与える要素は複数あるのに、それぞれの要素に対して解釈・判断するための情報は大きく不足しています。

見えている情報量が違うから他者を決めつけてしまう

それ故に、本書では、私たちは、「他者」の振る舞いの原因を「パーソナリティ特性」で、「自己」の振る舞いの原因を「状況」で捉える傾向にあると指摘しています。「他者」に対しては「あの人はああいう人だから」と短絡的に結論付け、「自己」に対しては「今回はこういう事情があったんだから」と酌んであげる訳ですね。自分のことは、それまでの経緯も含めて知っているから多面的な解釈・判断ができる。でも、他者に対しては、目の前に見えている情報、つまり、表面的なその人のパーソナリティに原因を求めてしまうのです。

こうした早まった解釈・判断によって、人間関係に誤解が生まれます。「あなたって~だよね!」「どうして君は~なんだい?」と相手のパーソナリティを決めつけて、攻撃してしまうのです。こうした言葉は、相手の人格や価値観(=スペース)を侵略している発言であり、相手を傷つけるリスクの大きい発言です。つい、口をついて出てしまったセリフだとしても、それによる代償は思いのほか大きいものになり得ます。

言葉遣いで自分と相手のスペースを守る

では、無意識の決めつけで、相手の人格や価値観というスペースを侵略しないようにするために、どのようなアクションプランがあるのか、それを考えてみたいと思います。今回のテーマ「言葉遣いで自分と相手のスペースを守る」です。

なお、『嫌われる勇気』や『反応しない練習』では、「そもそも解釈・判断してはいけない」という立場を取りますが、それはまた別で深堀りしたいと思います。今回はあくまで、解釈・判断してしまう自分を抑えて、相手のスペースを侵略しないアクションプランを考えます。

"Youメッセージ"と"Iメッセージ"を使い分ける

私の人との接し方は、下記の書籍に強く影響を受けています。万能ではないですが、自分の振る舞い方を見直すのに役立っています。

本書の中から、話し相手との適切な距離を取るのに役に立つ言葉遣いをご紹介します。それが"Youメッセージ"と"Iメッセージ"です。

  • "Youメッセージ":相手を主語に置いた表現で評価のニュアンスが強い言葉。出来事の原因を相手に求め、変えようとはたらきかけるもの。

    • あなたって○○な人だよね

    • 君はいつも~するよね

  • "Iメッセージ":発言する側の「今ここでの」感じ方や思いを率直に表現した言葉。受け手としても、他人の感じ方なので抵抗感を感じずに受け止めやすいもの。

    • あなたの振る舞いに私は~だと感じた

    • 私はこうしてほしいと思っている

このように主語を自分にするだけで、相手の「パーソナリティ特性」に対して決めつけせずに、感じたことを率直に伝えられます。アサーティブコミュニケーションにも通じるところがありますね。

相手の鏡となり自分が感じたままを伝える

「パーソナルプロジェクト」や「物語」など、相手の振る舞いの原因をより理解しようと思ったら、こちらが解釈・判断するのではなく、相手にそれを説明してもらう必要があります。
そのため、相手に対して自分がどのように感じたのかを伝えることで、相手に事情を話してもらうというのは如何でしょうか。前述の"Iメッセージ"と近いですが、以下のような表現が考えられます。

「(私が見るに)今日は気分がよさそうだね。」
「(私が見るに)なにか、怒っているように見えるよ。」
「(私が見るに)難しい表情をしているね。」
「(私が見るに)気がかりなことがありそうだね。」

これらはいずれも、相手に「自分がどう見えているのか」を伝える表現です。こちらで解釈・判断するのをいったん保留し、相手に投げかけるイメージです。相手に何か理由があり、それを話してもいいかなと思えるのであれば、その理由を説明してくれるでしょう。表面的な「パーソナリティ特性」で片づけられない、何かしらの相手への理解が得られるかもしれません。

反応するだけでなく余白を残す

相手の話を聞いて何かしら反応する際、自分にも言いたいことがあると、ついこちらが主張することに意識が向きがちです。相手の話していることに対して「そうではなくて、私はこう思う!」と言いたくなります。
そんなとき、何か伝えると共に「~と思ったんだけど、どうかな?」と相手に余白を残すというのは如何でしょうか。相手との適切な距離を取れる、シンプルで簡単なアクションプランです。

ビジネスコミュニケーションにおいて、「ああした方がいい」「こうしたほうがいい」という情報は溢れています。今回触れた内容も、さして目新しくもなく、当たり前に見えるかもしれません。実際、こうしたスキルを意識し、仕事上で関わる人に気を配っている人は多いと思います。

一方で、家族や友人、恋人など、対等な人間関係が全面に出るときこそ、油断が生まれやすいのではないでしょうか。気が置けない関係性になり、つい、言いたいことを言いっぱなしになってしまうこともあるのではないかと。本当に尊重すべき大切な人に対してこそ、スペースを侵略してしまっていないか、日々、気を付けたいものです。

他者理解のために努力する

ということで、今回は「言葉遣いで自分と相手のスペースを守る」というテーマで書いてみました。人とのコミュニケーションにおいて、相手を理解することはとても難しいです。自分を理解してもらうことは難しいと思うからこそ、なおのこと。以前に投稿した以下の記事も、根底には同じ課題意識があります。

私自身もまだまだだなと思うことが沢山あります。なので、思い込みにハマらずに他者を理解するためのアクションプランを書き記してきました。この記事を通して、自分自身も人との接し方をよりよくしていきたいです。

この記事では、内向的な性格の人が営業職の経験を通して、人の話を聞くことに向き合って理解したことを書いています。話し上手でなくても、この記事を読んでくださった方や私に、良質な対話体験が一つでも多く増えたら嬉しいです。

それでは、次回の記事でお会いしましょう!ではまた!

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