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俳句幼稚園 ああ、そうそう


法事があり、親戚の家に久し振りに行くと
あれだけ贅を尽くした庭はやや荒れて
玄関の飛び石も汚れ
どうにも気が滅入る。

ぬっ、と出てきた叔父さんは
随分雰囲気が変わり
とてもとても小さくなった。

昔は仕事でかなり名をはせていたけど
その面影は潜めて
ちいさなちいさな煮豆のよう。

「どこちゃん」と呼ぶ声は少し震えているけど
元気は良く、目はしょぼしょぼしているけど
知的さは残っていた。

まだ古い家の部分が多く残っていて、
土間から高さのある床に上がる時は
ちょっとコツがいるが、叔父さんは
慣れたもんでひょいと上がる。

通された大きな和室で待てば
お茶を淹れてお菓子を出してくれる。
奥様が痴ほうで施設に入っているから
家事はお手の物になっていた。

出されたお茶は熱く、お菓子は近所のお店の
ちょっとこじゃれた練り切りだった。


近況をうんうんと聞く。
多趣味なのであれこれ話題は尽きない。

陽が陰り
叔父さんにもうそろそろ帰るねと言うと、
あ、そうそう、ちょっと待ってと止める。

短いような長いような時間を待つと
大きな紙袋を持ってくる。

「どこちゃん、独り暮らしなんだって?」
と、言うとその紙袋を自分に渡す。



あまりの重さに新幹線に乗り込むまでの時間に
そっと開けると大きなキャベツが3玉入っていた。
来る直前に取り出したのかほんのり温かかった。



( ;∀;)またやっちまった!書き間違いw

橘鶫さんいつもありがとうございます!(いい加減見直せって話)


土間ひとり抱え甘藍ほのぬくし
どまひとり かかえかんらん ほのぬくし


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