腹の虫
今日は歯医者なのに帰りがけにタックルしてくる事務員さんをかわして駅に向かう。夕方とは言えど明るく、陽も長くなったな。
診察時間まで時間があるのでふらふらするか。
これはもう終わりの桃かな。
見る都度エイみたいな鐘楼。
大須観音の門前町なので単に皆、大須と呼ぶ。
普通まず用事が無い。
今の職場に来る前は大須は行った事が無くて、どんな場所だろうと思っていたけど、その後頻繁に通るとは思いもよらない人生。
ふとたい焼き屋が目に入る。
買おうか?
と財布に手が届く瞬間、この後歯医者じゃんと気づく。
大正琴は名古屋生まれなのか。この歳で初めて知る。
取り敢えず進む。
するとオシャレな洋菓子屋さんが目に留まる。
歯医者帰りでケーキはダメだろ。立ち食いの美味しそうなスイーツを横目に歩く。
みたらし団子がいい匂いをさせる。ダメダメ。
避けて歩くと、よく知る洋食屋の前。
へ〜テイクアウトかぁ。夕飯に良いかも。
馬鹿だね。
歯を抜かれるかも知れないのに。
腹の虫が泣き叫ぶ。あ、スイッチ入ったな。
近くのお寺の八重桜。元気が無い。
食べ物屋から離れようと更に進む。
個人的に好きな建物。
でも入った事が未だ無い。刺激を避けメニューに目がモザイクする。
インスタ映えスポットになっていると思う。
日陰の赤は目に留まる。
路地裏は東京や大阪ほどごちゃごちゃはしていない。すっきりしている。
と、食べ物屋を避けて歩いたが、トドメに赤提灯宜しくビールとアジフライのメニューを見る。
もうダメ。変なスイッチ完全入った!
逃げる様に腹の虫を抱えて門前町を出るとこの景色。広い整備された道路と圧迫感が無い街並み。
如何にも名古屋らしいといつも思う。
歯の治療は無事終わる。
痛くも無いからご飯が食べれるぞ!
時間も遅めなので人はまばら。というかほぼ全部閉まっている。すぐ側のスーパーを外から見ても店内は、ほぼ空になっている。
私の腹の虫がおさまらず、
とうとう泣き言を言い出した。
誰しも腹の虫は大体お腹が空いているか、疲れていると暴れると思っている。
だから機嫌が悪い時は食べるか寝るのが一番だよホント。
さて、
家に戻って腹の虫を宥めたのは永谷園だった。
お腹は空いていれば何でも本当に美味しいよ。
これはロゼッタストーンにも刻んであるから。
なんて嘘だけど。
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