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老人と毛

実は家電販売店に物を引き取りに出かけた、の前に

自分が老人だなぁと感じた事が。
白髪が激増です。
マシマシですよ。

今年は顔も肌荒れも酷くて、ストレスって老化に拍車をかけるなぁと顔をまじまじみると、例のヤツがいた。

そう、やたらのびる産毛・・・

小さいころから何故かその産毛はやたら伸びる。そんなヤツとの出会いは何気ない友達との雑談中だった。

「あれ?何処ぞのちゃん、ごみが付いとるよ?」

友達が引っ張ったら皮膚がくっついてくる!(;・∀・)慌てる友達。それ以来ふと鏡を見ると伸びた産毛を発見する。

色素の無い綿ごみみたいなその産毛、全くもって日々は目立つものでもなくへろへろかなり伸びていても気づかず、ふと周りにいる人にその場で引っこ抜いて「これなんだろうねぇ?」と聞いていた。

ただ、その産毛も冬場はすこし気にしているのだ。何故ならタートルネックを着るから。服の色が背景になると多少見えやすくはなるのだ。それでも殆ど気が付かない。だが、やはり気にはなるのでこの時期特有の悩みというか気遣いが必要になる。

偶に眉毛がながーーーい黒式尉みたいな人が居るが、日々視界が遮られてじゃまなじゃないのか?とか思うがあれはあれでアリなのだろうか?

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「日光作/能静(花押)」東京国立博物館蔵


へろへろの産毛の話をすると、殆どの人から「長生きするよ」と言われるので多分1000歳辺りまで生きるのだろう。たまに死なないとも言われるから多分みんなが思うより長生きして、知り合いの命日がほぼ365日埋まる程度に先にみんなを見送りぽっくり逝くのだろう。

その頃は誰も昔の知り合いも居らず、ボケたり、身体が不自由でなければ一人台所で小さなやかんでお湯を沸かしてお茶を淹れ、明日は誰の命日だっけ?とカレンダーを確認するのだろう。そして、あの人は何が好物だっけ?と思い出しながら、花はその季節のものを花屋さんで花を買い、お供え物を買い、霊園やお寺とかに出かけるんだろうなぁ。

お墓に手を合わせ、まだそちらには行けそうにも無い、多分そちらの生活様式も相当変わっているだろうから教えて欲しいと伝え、今は自分はどこどこにいるから、偶に様子を見に来てくれると嬉しいとお願いするだろう。

しわしわの手でお墓を拭いて、お供え物を片付けて、じゃあまたねと言って次の知り合いのお墓に向かうのだろう。

ただ、毎日命日だから喪服をきちんと着てしまうかも知れない。そうなると年中黒い服ばかりだからへろへろの産毛が目立つので気が付いた都度引っこ抜く。

「あら、また気が付かないうちにこんなに伸びて」と鏡越しにしわしわの顔を小さくなった目でのぞき込み、小さなため息をつく。


多分、多分いつか先じゃない先の話。


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