俳句幼稚園 消える
残業続きで疲れているけど、浜辺の横を歩く。
浜辺に降りてみようかなとした瞬間
電話音。
出るかで出ないか悩む。
下らない自慢話を聞くほど元気でも無いし。
ひっきりなしに鳴り続けるから嫌々出る。
「元気~?今日明日休みなんだけどぉ」
昼と夜程違う二人が話をしてる。
「バック買ったの~」
「今度デートだからワンピース2着買ったの~」
「着物モデルをまた頼まれちゃった~」
「前の着物モデルの時の着物タダで貰った~」
どうでも良いよ。そんな話。
話を聞いて返事をしている様で
意識は水平線に消えそうな大きな貨物船の船底。
陽が落ちて海風が強くなる。
「なんか聞き取れないんだけどぉ」
「ねぇ今どこなのぉおおおお」
バチバチ砂が顔に当たる。
返事をしない。
暗くなって足元がおぼつかない。
うすぼんやり明るい足元に
浜昼顔は砂に埋もれそう。
砂を払い埋もれそうな浜昼顔に小声で言う
「嫌な事ほど逃げおおせれないのよね。」
波遠く浜昼顔は砂に消え
なみとおく はまひるがおは すなにきえ
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