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コロナじゃない!想いで加速するギガスクール構想。

緊急的にギガスクール構想関係で、教育現場のICT整備をサポートさせていただくことになりました。
文部科学省のホームページなどから情報収集している最中、1ヶ月ほど前、You Tubeで配信されている説明会を拝見。
サポートに対する考え方に大きな影響がありました。

文部科学省の高谷浩樹さん(文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課長)のギガスクール構想の説明だったのですが、You Tubeで閲覧したときの直感的な印象は

「あっ、日本変わる!ってか自分にできる取り組みをしよう!」

でした。
説明には、責任ある大人の想いが明確に込められていました。

2020年5月11日 学校の情報環境整備に関する説明会【LIVE配信】
2020/05/11 にライブ配信 2時間24分9秒

「GIGAスクール構想の実現」とは  ~学校情報化の目的と概略~
2020/05/26 にライブ配信 1時間11分25秒

You Tube配信での説明会

エビデンスを踏まえた論理的な説明。

例えば、OECD/PISA 2018年 ICT活用調査の資料では、世界的に日本はICT教育で遅れてしまったというデータの説明がありました。
学校外での平日のデジタル機器の利用状況では、コンピューターを使って宿題をするが3%(OECD平均22.2%)にたいして、ネットでチャットをするが87.4%(OECD平均67.3%)など、日本の子どもたちはプライベードでICT活用が活発だが、教育の場での利用頻度は圧倒的に低いことを説明していました。
日本の子どもたちのICT機器の利用率は世界平均以上であるにも関わらず、教育の場でほぼ使われていない。といった客観的事実がわかります。

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©「GIGAスクール」ch
2020年5月11日 学校の情報環境整備に関する説明会【LIVE配信】より引用

「こういう状況にしたのはだれか?私達、大人たちです。教育関係者を始め、学びにICTを使おうとしてこなかった。世界から取り残された。」

おや?っと思ったのは上のフレーズあたりから。

本来最も言いたくない部分では無いでしょうか。なぜなら、「責任の所在」を、文部科学省、教育委員会、地方自治体、自分を含めた「子どもたち以外、つまり大人」だと明言しているからです。
構想の説明とともに、現在の問題定義やその責任などを伝えています。

ICT、オンラインは学びの保障になる。

コロナによる長期休校で、ギガスクール構想が学びの保障になると再定義されています。例えばチャットツールなどのクラウドサービスを利用することによって、家庭にいながら授業を継続できるということでしょう。

つまり、ICT整備の格差が子どもの学びの格差になるということです。

憲法では子どもたちが等しく義務教育を・・・中身がずれてきている。ICT利用に格差が既にでている。極めて強い危機感がある。

3月末時点で、Aの学校では1年間に学ぶべき課程を修了できたが、Bの学校ではICT環境が無く修了出来なかった。といったケースが発生するのでは?という危機感です。
実際、平成31年4月1日に施行された学習者用デジタル教科書の法制化で、紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用できることとなっています。そして、実際にZOOMなどを利用した遠隔授業を実施している学校もあるそうです。
私たち子どもをもつ親が最も心配している部分です。

できない理由を作らず、柔軟に対応できることが危機管理能力である。

新型コロナウイルス対策において、遠隔授業検討にもっとも大きな影響(プラス、マイナス両面)を与えたのはZOOMではないでしょうか。機能、性能ともに秀逸で、画面共有やトラフィックの安定度、コストバランスもいい。ところがセキュリティの脆弱性問題のタイミングが最悪でした。

改めてICT整備の基盤はセキュリティーだと認識したのを覚えています。私自身、業務に導入を検討する中で、確認したかったISOが取得されていなかったので気になり、保留にしている最中でした。
現在はZOOMは既に改善策を施したとしています。

ここでの必要なマインドは、「コロナとICT整備を分けて考える」必要性です。

今回のコロナは緊急性が高く、当然第2波は想定するべきでしょう。
そこで、先ずは使えるものを試験的に導入し、適切な設定や運用が出来るようにした上で利用するといった考え方が必要です。

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©「GIGAスクール」ch
2020年5月11日 学校の情報環境整備に関する説明会【LIVE配信】より引用

国を上げた事業。内閣官房、総務省、経済産業省もギガスクール構想に向けて取り組んでいる。

・使えるものは何でも使って、(家のパソコン、家族のスマホ)
・できることから、できる人から、(「一律にやる」必要はない)
・既存のルールにとらわれず臨機応変に(「ルールを守ること」は目的ではない)
・何でも取り組んでみる。(現場の教職員の取り組みをつぶさない)

今までは、学校にICTを入れることに説明責任があった。これからはICTを使おうとしない自治体に説明責任が生じる。
文科省の担当は私。
一般社会からしたら教育現場のICT環境遅れている。やらないことが子どもたちにとって罪になる。

別の説明動画(「GIGAスクール構想の実現」とは  ~学校情報化の目的と概略~)でも、ICTの導入が進まない背景や決定権者等の話が的確すぎてヤバい。

自分がICTをできないということをなんとか正当化したい。

そうしてきたことによって、学校は、子どもたちは世界からICT環境が取り残されてきた。
他の分野からも教育がどんどん取り残されてきている。
どうでしょう、学校は最先端のことを教えてくれるところではなかったのでしょうか?
家ではICT、学校ではICT使わない。わくわくするでしょうか。
出来ないことは出来ないでいい。出来るところからぜひともやっていこうではありませんか。

現場との調和

以前、PTAの会長をさせていただいたときに気付いたのですが、多くの先生がたは、本当に一人ひとりの子どもたちのことを親身に考えてくれていて、義務教育以外の部分、例えば家庭の問題など子どもたちの抱える学校とは関係のない問題も含め、たくさんの対応をしてくれています。
正直、先生方の職場環境はとても大変です。そこに新たな教育指針であったり、今回のギガスクール構想。
本来、豊かさを享受する目的のICT活用が、やりかたによっては先生方に大きな負担になる可能性もあります。

なので、私自身、どうにか先生方にとっても職場環境がよくなり、子どもたちにとっても最高のICT環境で教育をうけることができるように構築をサポートしたいと考えるようになり、多方面からアドバイスをいただきながら進めています。
デバイス、Wi-Fi環境、活用するクラウド、デバイスとの連携など正解がないなか、「出来ないことは出来ないでいい。出来るところからぜひともやっていこうではありませんか。」の言葉に後押しされ、今年度中にどうにか形にできたらと思います。

子どもたちが作る未来

学校でICTをどんどん活用し、テクノロジーの有用性やICTリテラシーをもった子どもたちが大人になったとき、どのような社会になるでしょうか。
おそらくG Suite、Microsoft365、iCloudあたりを義務教育時点から触っているので、会社や組織に入った時「えっ、なぜ使っていないの?」が普通になる可能性が高いのではないでしょうか。
全国の子どもたちに技術ではなくマインドが備わることがこのギガスクール構想の最も大きな成果になります。(技術は努力だが、マインドは経験でも備わるため)
未来を作るのは子どもたちですが、子どもたちが未来を作る土台を作るのは私達「おとな」の義務であると再認識しました。
日本が新たな技術大国になる未来がそこまで来ています。

結局のところ、人の想いが世界を変えていくのではないでしょうか。

参考

「GIGAスクール」ch

GIGAスクール構想の実現について

学習者用デジタル教科書について

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