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鬼燈の誘い

琥珀のお話は
「手紙が届いた。差出人の名前はない」で始まり「炭酸の強いラムネは涙の味がした」で終わります。
#shindanmaker #こんなお話いかがですか
( お題元:診断メーカー )



手紙が届いた。
差出人の名前はない。


鬼燈ほおずきが赤く染まる季節。
見上げれば一面の青に白が映える。


一通の手紙が届いた。差出人は書かれていない。誰なのだろうか。この手紙にも鬼燈が添えられている。

『えー、内容は...』


"捜し物を手伝ってもらえませんか?
場所は地図を同封します。"


あまりに余りった便箋の余白。書かれていたのはたった二行のメッセージ。それと簡潔に描かれた地図。

『まぁ、暇だし...
 場所は山を登った先のお屋敷か...』


山道には鬼灯が植えられている。
自生というよりは、人の手が加えられているように見える。

『来てしまった...』

ちょっとした好奇心だった。
どんな人が待っているのか。どんな捜し物をしているのか。




ここはどこだろうか。気付いたらラムネを持って佇んでいた。足元には鬼燈の実がひとつ落ちていた。

『ここは... 神社...?』
『ラ、ラムネ...?どうしてラムネなんて...』

何があったのかイマイチ思い出せない。ただ、泣いていた。理由は分からない。分からないけど涙が止まらない。

状況把握が追いついていない脳は、一先ず落ち着こうと、手に持っているラムネを口にするよう指示をする。


炭酸の強いラムネは涙の味がした。



* あとがき *
なんとなく診断メーカーのお題を使って、短いお話を書いてみました。少しホラーっぽく。不思議な体験のお話。ホラーと言えば夏なので "鬼灯" を取り入れてみました。鬼灯同様、中身はスッカスカです。

この主人公の夏に何があったのだろうか。いや、そもそも本当に何かあったのだろうか...。お目通し頂いた皆様のご想像にお任せ致します。
鬼灯 (ほおずき)
ナス科ホオズキ属の一年草。日本では北海道、本州、四国が原産地。

風習:
「ご先祖さまを導く提灯」として古くからお盆に仏花として飾られる。また「魔除け」として玄関に飾る地域もある。「悪い運気を払い、良い運気を招き入れる」とされている。

風水:
金運上昇、運気上昇、良縁到来、魔除け、無病息災

花言葉:
偽り、ごまかし、半信半疑、心の平和、不思議、自然美



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