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行く先の闇を照らす光~いつか届くと信じて~

僕には、仕事の世界で、絶対に頭の上がらない人が居る。
僕に製造業魅力を教えてくれた人。

口で事細かに教えてくれた訳では無い。

背中で教えてくれた人。
その人から溢れ出る人間性で教えてくれた人。
興味がある事しか出来ない僕に興味を持たせてくれた人。

僕が初めて働いた会社で工場長をしていた人である。

僕が働き出した頃に、ちょうど60歳位。
団塊の世代より、もう一回り程、上の世代。

その人は、旋盤という加工機で、1人で独立し、仕事をしていた所に、大手家電メーカーから誘いを受けて入社する。

今では考えられない話。

世界規模の大手メーカーだけあって、支社とはいえ、当時でも大卒だらけの社内で、独学で技術を身に付け、加工現場のトップに立つ。



…書いてて、ビビるw

しかし、当時はゴリゴリの職人気質な世界。

上司になる人物が気に入らないからと、あっさり会社を辞めてしまう。
「お前が上司になるんやったら、ワシ辞める」
と本人に丁寧に、お伝えしたらしいw

この世代の職人さんは、結構こんな、ぶっ飛んだエピソードを持っていたりするw

そこを、僕の前の会社の創業者に誘われ入社し、工場長に就任した。

創業者が亡くなられた後は、その人が皆の父親の様な立場であった。

言い方は悪いかもしれないが、僕が初めて出会った、製造業の化物である。

その人が昔、読んで勉強していたという本を、引退される時に、専務が貰ったと聞いたので
「どんな本、貰ったんすか?」
と、聞いてみたところ
金型の本とか、電気関係とかやけど、何冊かドイツ語の本があったわ」
と言われて、僕が
「えっ⁉️○○さん、ドイツ語読めるんすか?」
と、驚いて聞いた。
そして専務も、その人に聞いたらしい。
すると、返って来た答えは
「読めるかそんなもん」
と言われ、続け様に
「ホンマに勉強して覚える気があるんやったら、たまに書いたる絵の雰囲気とか記号で読み解け」
と言われたらしい。

今の時代の様に、調べたい事が、パソコンやスマホでクリックすれば出てくる訳じゃない。
正解かどうかもわからない資料を集めて、読み漁り、実践するしか無かった時代。

っというか、その人は、そうやって勉強してきたのだから仕方がない。




…化物に認定して良いですか?w

僕が仕事を始めて2年程経った頃、僕が1人で考えて、上手く行った仕事があった。
その時、その人に
「やるやんけ」
と初めて褒めて貰った。

その一言が、何も続けられた事の無かった僕を、今も、この業界に置いてくれている。

本当に嬉しかった。

やんちゃばかりして、飽き性で、嫌な事から逃げて来た僕が、初めて、社会で認めて貰えたと思えた。

そして若い頃の僕のキュートピュアエピソード胸キュンして欲しい。


…すいません
…ふざけました

引退してからは、趣味で竹細工を始めたらしく、たまに会社に来ては、僕に
「ちょっと機械使わせて貰って良いか?」
と言い、竹を加工しに来ていた。
一応、社長に一言、声を掛けた後、加工現場のトップである僕に気を使って、了承を、得てから使う様にしてくれていたみたいである。

断れるはず無いのにw

そして、自分のやりたい事が終わると、僕のしている事を見に来てくれる。

僕は同じ仕事のやり方を続けていると飽きてしまう。
新しい工具や新しい加工方法を試したくなる。

来た時に、自分の知らない事や見た事の無い工具があると、この工具は、どうなってて、どう使うかと質問される。
引退して、探究心が備わっている。
そういう、仕事への向き合い方も学ばせて貰った。

ただ…


仕事ができる様になればなる程に、キャリアを積めば積む程に、その人の凄味がわかって来るw


そして、新しい技術を、楽しそうに子供の様な目で見ている、その人を見ると、僕も楽しくなる

僕が、その人を尊敬しているのは、その人の技術知識だけでは無い。
一緒に仕事をしたいと思わせてくれる人間性である。
僕は、ものづくりの世界に魅かれたのでは無く、その人に魅かれたのかもしれない。

僕が2代目社長との関係が悪化し会社を辞める時、その人の家の電話番号を専務から聞いて、報告をした。

僕が居るから会社は大丈夫だと思ってくれてると、話を聞いていたので、申し訳無いという気持ちで連絡したが
「わざわざ、丁寧にスマンな」
と言った後
「ワシが会社に居たら絶対に許さんけどな」
と社長への怒りを露にしてくれていた。
しかし、もう、なってしまったものは仕方がない。

そして、次に行く会社も気にしてくれていた。
製造業の小さい会社は、結構ブラックなイメージがあるのも確かで、金銭面的にも
「子供が、まだ小さいのに大丈夫か?」
と、言われたが、社名を聞いて安心してくれた。
僕は、地元にある製造業の会社ホームページを見て選んだだけで、知らなかった。
現在、在籍している会社とは、僕が就職する、ずっと昔に付き合いがあり、知る人ぞ知る機械加工技術者集団
「あそこなら、今と同じか、それ以上の給料が貰えるやろ。でも、厳しいと思うから、ちゃんと勉強して頑張れよ」
と言ってくれた。

実際に給料の話は終わっていたので
「その点は大丈夫です」
と答えた。

そして新しい会社へ、1月に入社、それからすぐの、3月技能士試験の申し込みがあった。

マイスター制度と言って、その道のプロの育成や支援を応援する制度で、国家資格取得推奨している。
小さい会社では珍しいが、創業者が大手家電メーカーの出身で、その会社の方針を受け継いでいる為、今の会社では、ほぼ全員が専門の資格を取得している。
ちなみに、取得すれば定年まで手当てが付くv( ̄ー ̄)v

僕は、ベテランとは言っても入社したてで、
3ヶ月の試用期間中
1年後の試験を受ければ良いと言われていた。
当時、今の会社の創業者である社長が、僕にをかかせては可哀想だと思って言ってくれていたと聞いた。

でもねぇっ‼️w
人生、その程度の恥にビビってる間も無いんでねぇっ‼️w
アホなんで、恥なんて、散々かいて来たんでねぇっ‼️w
挑戦させて貰えへん事の方が可哀想やと思って貰わんとっ‼️w
仕事で恥や何やと逃げてて何が身に付くねんっ‼️w
やったったらえーねんっ‼️やったったらっ‼️


↑最悪やなwまず、この語彙力が恥やわwww

正直、早く何か結果を出したいとも、思っていた。
社長の気持ちは嬉しかったが、僕は
「自分の今までやって来た事の実力が知りたいから、試しに受けさせて欲しい」
と、進言して申し込みを許可してもらった。

そして…



見事に1級機械加工技能士1発合格w

あぁ自分の実力が恐いよぉ((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルw

普通車の運転免許以外で、国家資格なんか取得する日が来るなんて、思っても無かった。

継続は力だと心の底から実感した。

そして、合格して思った事、それは、その人に報告できる出来事が出来た喜びであった。

しかし、報告して返って来た言葉は…

「もう一つ上に特級ってあるやろ?それ受かったら、他の試験の学科免除とかあったんちゃうかなぁ?それも受けろ」



…恐いよぉ((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルw

調子に乗るなと。
プロとして勉強して当たり前。
解りやすく上があるなら上まで行けと言われた気がした。

合格発表が9月末
歳が明け、2月末
その人は突然、亡くなられた

が手遅れの状態で見つかったらしい。

前に在籍していた会社の人から、葬儀当日に連絡を貰った。
僕にも連絡が来てると思い、葬儀に来るのかどうかの確認連絡が来て、初めて亡くなられた事知った

知った後の記憶があまり無い。

覚えているのは、恐ろしい程の空虚感に襲われた事

そして…

葬儀行けなかった事…

最後に、引き締まる言葉を貰えて良かった。

最後に、これから新しい環境頑張って行きますと報告できて良かった。

あのぉ…



泣いても良いですか?((T_T))w


あの日から、もう数年…




仕事が辛い時、あなたの言葉を思い出します。

仕事で失敗した時、あなたの姿勢を思い出します。

仕事が楽しい時、あなたの子供の様な目を思い出します。

僕は、あなたが指し示してくれた光の方向に向かって歩けていますか?

あなたの知らない、新たな何かは、後から僕が教えに行きます。

いつか来る、その時まで。




最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(_ _)m
僕が10代の頃から大好きなレゲエアーティスト、RYO the SKYWALKER✨

この曲を聴いて思い出す人達が居る

先に旅立った大切な人達へ届けと願う

皆さんにも、思い浮かべる方が居ますか?

尊敬すべき先人達にBIG UP‼️ 

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