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諦めず歩き続け辿り着いた夢の先

※ 人によってはセクシャルな部分に触れると感じる話かもしれませんのでご注意ください。





こんな夢を見た。

気づくと石畳の上を一人歩いていた。

初めて歩くはずなのに、普段歩いている道を歩いているような感覚。

厚い雲に蓋をされた薄暗い空の下。両側に迫るようなコンクリート造りの建物の間。
どこも不在なのか窓は暗く漏れてくる灯りはない。
空から届くうっすらとした灯りだけが頼りのその道。
人気もない。

昔、洋画で見たような、少し大きさが異なるが、それほどまでには相違はないような固いゴツゴツとした、冷たい石畳。

それを不思議にも思わずただただ歩いていた。

どれくらいだろうか、歩き続けたその先から騒めきのようなものが聞こえてくる。
私はそのまま足を進める。

途端に目の前に広場と、耳に飛び込んでくる大歓声。
たくさんの人が跪き、両手をあげて何かを叫んでいる。
祈りのような。
怒号のような。
絶叫のような。
喉が悲鳴をあげそうなほど。




人々の前には少し高い、台のような物に立つ人物。

広場の中を人々の声がぐわんぐわんと空気を揺らすように響いている。

私はその人物を見て、驚きとともに、湧き上がるような崇拝の気持ちに心を揺さぶられ、声すら出すことが出来ず立ちすくんだ。

心の底から、いや体の中心よりさらに深いどこかで、震えるような感激が湧き上がってくる。

大勢の人達と一心同体となったような一体感。

突然、吸い寄せられるように、皆と同じ言葉が私の喉も裂けよと迸る。









「脇毛王!万歳!」
「脇毛王!万歳!」
「脇毛王!万歳!」
「脇毛王!万歳!」

臍を丸出しにした半裸の男の腋の下、隠されることもなく確固として存在する、亀の子束子のような毛の塊を潤む目で見つめ、「私もああなりたい!」と本気で願ったところで目が覚めた。



起きた瞬間、あの体を揺すぶるような感激も喜びも完全に消え失せ、自分への失望感でいっぱいになった。

人間は日常生活の中で起きた出来事や、脳に蓄積されたあらゆる情報を整理するために夢を見るとか見ないとか。

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