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考察メモ_サステイナブルな街の魅力と構成要素

参考文献
vol.04デンマークのスマートシティ データを活用した人間中心の都市_中島健祐
vol.05 脱東京 仕事と遊びの垣根をなくすあたらしい移住_本田直之
vol.06 凡人のための地域再生入門_木下斉
vol.07 ポートランド 世界で一番住みたい街をつくる_山崎満広
vol.08 ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか_村上敦
vol.09 神山進化論 人口減少を可能性に変えるまちづくり_神田誠司
vol.10 マルチリレーション社会_ワークス研究所レポート
vol.11 Civic Pride 宣伝会議


どうやらこんな構図がありそう、、

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他方、都市コミュニケーションの側面からは次のモデルが提示されている(博報堂DY)文献11_P.189(エンゲージメント・リング)

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■A) 移住先を選ぶための18のクライテリア(cf. 文献05_P.43)
1.自分のライフスタイルを実現できる 2.物価が安い 3.気候がいい 4.受け入れてくれる土壌がある 5.人がいい 6.アクセスがいい 7.インターネット環境がある 8.自然がある 9.コンパクトシティ 10.歴史が守られている 11.文化の魅力 12.職がいい 13.仕事を起こしやすい 14.若者を登用している 15.医療面での安心 16.教育レベル 17.治安がいい 18.デザインを大事にしている

→ 著者による分類でMECEでも必要十分条件でもないだろうが、人口の社会増が見られる都市(e.g.福岡市、流山市、柏市、東川町、神山町…)には顕著であると思われる。また、それを発信できているかも外から人を呼び込むためには重要な条件であり、外からの才能が住民と接することで改めてまちの魅力ができていく好循環が生まれているとも考えられる

■B) HUBとなるキーパーソン、組織によるPublic/Private横断リーダーシップ
→ サステイナブルをどう定義するかにもよるが、継続的に人口が増え(減らず)おそらくはGDP的なものも増大し、人々が未来に希望を持って暮らしている地域にはリーダー的人や組織がいる。人口5000-1万ぐらいまでなら民間でも可能かもしれないが、それを越えると、Public Sectorが役割を担わないと難しい。
cf.
・文献04_P.250 デンマークデザインセンター(DDC)
・文献07_P.86,94,141 ポートランドには「都市成長境界線」と「メトロ政府」がある。前者は農地と自然の保護を目的に作られており、境界線の外では農家の家屋建設のみが認められており、農家は50年間農業を続けられることが保証されている。メトロ政府は20-40年スパンの案件を扱い、郡が10-20年、市が5-10年を担当

・文献09_P.149 神山町はNPOグリーンバレーのほかに、自治体が出資した「公社」がその実行部隊の役割を担っている

■C) Public Sectorとして街の賑わいを呼ぶ土地・交通計画/徒歩圏の店・道etc.の魅力づくり
→ 2つの側面がある。
①各国のコンパクトシティが成功している理由の大きなものに、交通網などではなく、「不動産」への扱いが日本と大きく違うことがあげられる。日本のコンパクトシティについての大きな問題は、従来の戸建て、持ち家を主体とした居住形態を継続させることが、核家族化と人口減少で不可能になっている中で、「別の住まい方(集合住宅で賃貸)」を提示していないことにある(文献08_P.83)。対して、ドイツの交通工学やコンパクトシティが成功しているとすれば、次の概念が基本理念として存在することが大きいのではないか---“人々は、その移動のスピードに関わらず、同じ移動時間を生活システムの中に組み込んでいるということである。(略)つまり移動システムのスピードが上昇すると、それは移動時間を短縮することにはならず、単に移動距離を増加させることになるのだ。(略)その際には常に2つの現象が発生する:居住地の拡散と交通量の集中という現象である” 


②職・住・遊・生活が近接していると、街は魅力を増していく。
・文献04_P.87 魅力的な都市とは、子供たちと高齢者がストリートにみられることだ(デンマークの都市デザイナー:ヤンゲール氏)
・文献07_P.49 ポートランドのダウンタウンでは、昼夜人口の極端な差をなくし、いつも賑わいのある街にするため、建物のmixed-use化を図っている。つまり、1階は必ず商業(それもガラス張りで店の賑わいが見えるようにしていることが多い)、2-5階までをオフィスなどに利用し、その上を住居やホテルなどにすれば、最低1日16時間は常に多様な人々が行きかう街になる。

・文献02_P.26 その昔、温泉街には人がそぞろ歩き、賑わっていました。(中略)いかに活気ある街にしていくか…。そのために何をすべきかは明快で、施設の中と外の境界をできるだけなくして、人の出入りが多い場所にすること。塀で囲って、宿泊客以外お断わりとする高級旅館とは真逆の考え方です。

■D) Private Sectorとして周囲を巻き込み、コンセンサスを生む進め方、リソースのつながり

・文献04_P.101 デンマークの高い税負担(デ:65.1%、日本25.1%)と、高投票率(デ:84.5%、日本48.8%)正解のない中で議論しコンセンサスを得る教育があることも大きい
・文献07_P.111 ポートランドでは住民と行政が本当に平等な立場にある。/文献08_P.151ドイツ・ボームテ市はプロのファシリテーターを招聘して4度のワークショップを開催。そこに際して、行政は白紙の計画で臨んだ。(略)拡大住民参加が成功するかのポイントは、行政が住民の意見を本気で計画に反映させる意思があることを市民が強く感じるところにある。

・文献09_P.151 1人称で私がやると言う人がいないプロジェクトは戦略に書き込まない。(略)地方創生の総合戦略を住民と策定した自治体はあるが、住民に実行の段階まで求めたり、職員に「役場を辞めてでも」と聞いたりはしない。しかし3週間後、実際に職員や住民が手を挙げるのだから、やはり神山町は面白い。

・文献09_P.236 「町の血行をよくする取り組み」として、町民・町内バスツアーが行われている。新たに移り住んだ人たちと話す機会もなく、関係性ができないまま、モヤモヤやさみしさが募った状況が続くと反感も生まれる。そうした状況を改善することを、「まちの血行を良くする」と表現したのだ。

・文献10_P.20 他者とのつながりが持つ2つの性質
①ベース性:ありのままでいることができ、困ったときに頼ることができる安全基地としての性質
②クエスト性:ともに実現したい共通の目標がある、目的共有の仲間としての性質である。ではどうしたら多様で質を伴う人とのつながりを持てるようになるか。4つの行動因子があることが分かった。
①ちょっとした手助けをする/②助言を求める/③自分を振り返る/④自分を伝える

■E)これらがエコシステムとして循環する仕組み、思想がある
・文献04_P.146 過去に日本で行われていたスマートシティの議論は、エネルギー・ソリューションに関係するインフラ整備によって産業を促進することが目的となっていた。一方デンマークでは、都市計画・エネルギー政策・環境政策に加えて市民サービスが相互に関連して議論されている。(略)文化教育やヘルスケア、福祉介護なども含まれ、分野横断的、包括的なアプローチをとっている。そこで重視されているのは「人間中心」という思想だ。

・文献05_P.297 福岡市全体が盛り上がっているのは、(略)「全員と全体は違います。全員を良くしようと思ったら、実は全体は良くならないんですよ。」

・文献06_P.235 ポリシーなき取り組みに継続なし。やることを明確にし、事業の内容が固まっていけばいくほど、必然的に賛否両論になる。

・P.305 二宮尊徳が600の農村を再生する際に作った「五常講」という仕組みがあった…

・文献08_P.55 地域経済とエネルギー部門の対策で活性化する方策が最もハードルが低く、影響力が大きい。(略)平均的な日本の一地域では、その地域で支払われるエネルギーの対価の6-7割以上が仕入れコストとして流出している。(略)地域の住民や企業が自身の地域内で省エネ対策に投資をしたり(建物の高断熱・高気密化、日射遮蔽の設置…etc.)再生可能エネルギーに投資をするならば、その投資額は地域経済を豊かにし、初期投資費用は省エネ効果などで10-20年間で回収できる。

・文献09_P.241-248 過去と未来、関係者をつなぐプロセスが神山町では非常に丁寧である。「戦略が形になるには最低10年はかかる。変動要素に左右されない、官と民の中間のような息の長い組織が必要と思い、町役場は1000万円を拠出して実働部隊となる公社を設立した」。大南さんは「結果として」という言葉をよく使う。「いろいろな人との出会いがあって、結果としてこうなったとしか言いようがない」と。だから大南さんは、「まちづくり」という言葉にも違和感があるという。「まちづくりというと、はじめに計画があって、それに基づいて進めてきたイメージやけど、今、神山で起きているさまざまな動きは、土壌をつくったら『生えてきた』という感じやな」と言うのだ。

#モリゼミ

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