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スタートアップで新規事業開発を担う者の「苦難」と「やりがい」。

こんにちは!須郷です。「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに掲げる令和トラベルの経営戦略室 兼 BizDevチームで、事業創りをがんばっています。

2023年4月5日、私たちのプロダクトである海外旅行予約アプリ『NEWT(ニュート)』が無事にリリース1周年を迎えました🎉 ご利用いただいている方も、応援してくださっている方も、いつも本当にありがとうございます✈️

ということで現在、そんな1周年を記念し、令和トラベル社員によるアドベントカレンダーを開催中です🐢本日はわたくし須郷から「事業開発|BizDev」をテーマにお届けします。

実はちょうど1年前、サービスローンチ時にこちらの記事を公開していました👇もし前回の記事も読んでくださった稀有な読者の方がいましたら、ぜひ1年間の変化を楽しみながら、今回の記事も目を通していただけると嬉しいです😌

また余談ですが、先月公開したこちらの記事が、自分の想像をはるかに超えるバズ記事となってしまい、現在の私は社内外から事業開発担当ではなくサウジアラビア観光大使として認識されることになってしまいました。世の中の興味が事業開発なんてものにあるのかとっても不安ですが、今日はサウジアラビアではなく、仕事の話に期待してください(閉じないでください)。

CEOまでSlackにてこの始末
(翻訳すると「ありがとう」という意味らしいです)

スタートアップ×新規事業の難しさ

オフィスに飾ってあるいろいろな絵がとても好き。

そもそも「スタートアップで新規事業開発」というのは、言葉にすると少し妙な話に聞こえます。スタートアップである以上、そもそも会社全体が新たな事業を生み出し、グロースさせていく集団であるにもかかわらず、その集団の中にいてなお新たな事業を創ろうとしている存在は、一見するとやや(いや、かなり。いや、とっても。)異質です。

「なぜスタートアップの中においてなお新たな事業を作っていく必要があるのか?」という点を今ここで語り出すと止まらなくなってしまう恐れがあるので、それはまたいつかの機会に取っておこうと思います。が、簡潔に説明をすると、会社や既存事業に非連続な成長機会を生み出し、顧客はもちろんのこと、株主の方々のご期待に応えていく上で、このBizDev(事業開発)というポジションは、実はとても重要な役割だったりします(ゆえに、弊社のみならず殆どすべてのスタートアップにおいて、この役割を担うチームやメンバーは存在するのではないでしょうか)。

しかしその異質さゆえ、またスタートアップという環境ゆえに、そこには特有の難しさが存在しています。この1年間で直面してきたそれらの苦難を、まずはご紹介します。

1|リソースが極めて限られていること

旅行会社のリソースって、旅行商品だけじゃ無いんです。

これは「新規事業」のみならず、スタートアップのあらゆる部署・あらゆるプロジェクトにつきまとう問題です。ヒト・モノ・カネ・情報といったあらゆるリソースが限られている状態では、「新規事業開発」とカッコよく言っているものの、決して机上でスマートな分析をしているわけではありません。事業になるかどうかもわからないアイデアを何個も考えては、その日のうちにアイデアを営業提案書に変換し、相手にされる可能性すら低いまま地道に営業活動を重ね、ようやくご契約いただけたと思ったら次は自分で納品、さらには請求書の対応まで進めきる。そこに「企画は誰かやっておいて」「営業は誰かやっておいて」「納品は誰かやっておいて」なんて世界は存在しません。時間も脳内もパンク寸前の状態(嘘です。パンクした状態)で、ひたすら自分たちの価値を模索し続ける必要がありました。

2|コンテクストに制約があること

あたらしい旅行、それって一体なんだ?

私たちは、スタートアップであり、同時に「旅行代理店」です。言えば当たり前のことかもしれませんが、「新しい事業を始める」という点においては、この文脈を強烈に自覚し、適応していく必要があります。

誤解の無いように補足をしておくと、私たち当事者は決して「旅行代理店には●●しかできない」といった不必要なボーダー意識を持たないよう心がけています。「旅行」という体験のまわりにはいくつもの価値提供の機会があふれているし、それは同時に旅行というものが「事業を生み出す経済圏」であり得ることを意味します。

しかし、価値を届ける私たちにボーダー意識がなかったとしても、世の中の多くの方にとって、少なくとも第一印象は異なります。どんな事業を手がけるにしても、真っ先に対峙する壁は「旅行代理店である令和トラベルが、それをやる意味っていったい何?」という顧客からの疑問なのです。

そんな問いを乗り越えてようやく、事業価値を検証してもらえるフェーズに入るのです。

3|組織を動かすために膨大なエネルギーが必要であること

もうこれが1年前。あれからさらに多くのメンバーがジョイン👏

「スタートアップ×新規事業」という活動が異質に映るのは、必ずしも社外だけではありません。それは、社内であっても同じことだと思います。これは「スタートアップ」というよりも「新規事業開発」という活動の性なのかもしれませんが、何か新しい事業やサービスを始めるというのは、周囲からは「何のためにやっているのかよく分からない活動」として映ることが多いように思います。

それこそ、自分たちの大切な主要プロダクトが軌道にのり始めたスタートアップにおいては、会社全体が、持ち得るリソースと熱量のすべてをそのプロダクトに注いでいきます。そんな中で、一見するとプロダクトとつながりが見えず、ましてや成功するかどうかもよく分からない新規事業の取り扱いに皆が困るのは、ある意味で当然と言えます。

そんな状況下でBizDevメンバーは、自分たちの取り組みには意味があるのだということを自ら信じ、そして組織にその意義を伝播させ、周囲を巻き込んでいく必要があります。これは非常に難易度が高く、個人的にはBizDevの最も難しいポイントだと考えています。

新規事業開発1年目、3つの基本戦略

Chat GPTさん、ありがとう、がんばります

軽い気持ちで大変だったことをまとめ出したら、1年間の色んなことがフラッシュバックして、とっても疲れた気持ちになりました。がんばって続けます。

※お仕事に疲れた時はぜひ海外旅行へ!1周年のおトクなセールやってます🐢

先ほどあげたような障壁・困難がある中で、正直なことを言うと、成果を出せたプロジェクトの実に10倍以上のお蔵入り企画案がありました。そんな泥臭い1年間の中で、私たちBizDevチームが意識してきた3つの基本戦略を紹介します。

基本戦略1、知識の幅をチームで最大化する

たいへん参考になった本。専門学習が必ずしも勝つとは限らない。

リソースが限られている私たちにとって最も大切なことは「あらゆる選択肢を排除しないこと」です。もう本当、これに付きます。最終的に1つか2つのことにしかフォーカスできない私たちにとって、10の選択肢から決断を行うことと、100の選択肢から決断を行うことには、大きな違いがあります。選択肢の多さが、勝率の高さに直結するわけです。そんな状況下で「私たちは旅行代理店だから●●はできません。」と機会を潰すわけにはいきません。あらゆる機会を、新たなチャンスに変換する努力と知恵が求められます。

ここで重要になってくるのは、BizDevメンバーだけで知恵を絞ることではなく、むしろ令和トラベルの強みである「多様なバックグラウンドを持つメンバー」の知恵をいかに結集させるか、ということです。正直言うと、これはまだまだ私の中で大いに反省の多い点でもあり、もっともっと組織全体の集合知でチャンスを生み出さねば、と感じている部分でもありますが、それでも今現在ですでに顧客から「そんなことを思いつくなんて、さすがですね」と言われる点が、私たちの強みだと思います。

基本戦略2、楽観的に試し、シビアに削る

タクシー広告にも登場🚖

できるだけ多くの選択肢を検討したうえで、リソースの許す限り「これ、面白いかもしれない!」と思った企画を試していきます。しかし実際は上述の通り、試したものの中から目ぼしい結果を生み出せている企画の割合は、決して高くはありません。

これは大変捉え方の難しい現象であり、語弊を恐れず言えばそこには「リソースの無駄使い」という側面もあります。一方で、何がうまくいく企画なのか?という問いの答えは、事前にある程度の仮説を立てることはできても、実際にはやってみて初めてわかることも多く、その意味では「価値のある/なしが検証できた」と捉えることもできます。

この状況下で私たちが意識すべきことは、事前の仮説精度を徹底的に高めることは前提としつつも、それ以上に「試し続けること」「失敗を繰り返さず、時に素早く撤退する勇気を持つこと」が求められます。

投資家であるウォーレン・バフェット氏が、数百の銘柄に投資をして、そのうちのわずか10銘柄ほどから資産のほとんどを築き上げたのと同じように、私たちの活動にはある程度の「投資の絶対量」が必要になると考えています(注:この考えが、事前の仮説を磨く上での言い訳になってはいけない)

試す時は楽観的に、結果に対してはシビアに評価することが、私たちの心がける2つ目の方針です。

基本戦略3、目的とKGIから目を背けない

スタートアップたるもの、目指すは「急成長」あるのみ。

2つ目の戦略で「シビアに企画を評価すること」の重要性を述べました。3つ目は、その話に付随して「何で企画を評価するべきか、その軸をぶらしてはいけない」というお話です。

先ほど「試したものの中から目ぼしい結果を生み出せている企画の割合は、決して高くはありません」と書きましたが、これは今でこそそう言えるものの、リアルタイムの場で同じ評価をすることは容易ではありません。

というのも、当初定めていた目的やKGIにヒットしていないにもかかわらず、一見すると「なんだかうまくいったように見える企画」というものが、そこには多数存在しているからです。また企画の当事者には、自分が発案し、周囲を巻き込んで作り上げた企画に対して「うまくいった」と思い込みたいバイアスも、少なからず働いているはずです(これは感覚的だが、最も注意すべきバイアスだと思っている)。

もちろん多くの企画には「副次的効果」と呼べるものが働いているため、必ずしも当初定めていたKGIにヒットしていない=意味ない、と判断をするつもりはありませんが、リソースを徹底的に絞り結果を出さなければいけないスタートアップにとって、その結果に慢心していては次に進めません。あくまで「最も実現したい成果を、1つだけ選ぶとしたら、それは何か?」という問いを自分たちに投げかけ、その指標に対して企画の成否を徹底的に厳しく測る必要があるのです。

これも他の戦略と同様にまだまだ反省も多いところはありますが、私たちはより「定めたKGI」に対してストイックな集団でありたいと考えています。

以上3つが、私たちがこの1年間を通して磨いてきた、事業開発における基本方針でした。

スタートアップで新規事業を担う魅力

起業家にとって「完成した」は禁句である。
自分の人生・キャリアを「永遠のベータ版」と位置付けておくこと。
- リード・ホフマン - 

そんな苦悩と努力を経て、気がつけば私たちチームが作り出す売上・粗利益は1年前の数十倍にまで成長することができました。まだまだ目指す山は高く、この成長に決して慢心することはできませんが、1年前に想像していた以上の角度で成長曲線を描くことができたと思います。これはひとえにチームメンバーのおかげであり、本当に日々、感謝の気持ちでいっぱいです。

ちなみにこれからの1年間は、さらにここから10倍の成長を目指していくことになります。言うなれば「ぴえん」そのものな状況ですが、楽しめている自分もいます(これがスタートアップの、楽しく、怖いところです😇)。

今の私が「事業開発のやりがい」なんてものを語るにはおこがましい立場であることを十分にわきまえつつ、この2年間で味わった主観的なやりがいを一言にまとめると、それは「非連続な成長を生み出せるかもしれない」という高揚感に尽きます。

はっきり言って、日々の業務は大変に泥臭く、心の中は「これだけ試しても、何も実らずに1年後を迎えてしまったら、一体どうしよう・・・」という不安でいっぱいです。正解がないというのは、前例がないというのは、なんと不安なものか。

一方で、自分たちが試しているものの中に、1ヶ月後、3ヶ月後、半年後、1年後、ふとした日に事業を爆発的に成長させるほどのポテンシャルを秘めたものがあるかもしれない、と思えるこの感覚は、この仕事特有の醍醐味かもしれません。このひりつく感覚を楽しめる心と、諦めずに新しいものを追求する姿勢こそが、いうなればこの仕事の適正だと思います。

ありがたいことに私の場合は、超がつくほど優秀な仲間達と、スタートアップといえどかなり強力なアセットの数々に支えられながら、日々この試みを続けられていています(その反面、プレッシャーも時に大きいですが😇)。
いつか、この恩をすべて返せるほどの成長を、会社に届けたい一心です。

おわりに

ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。これにて前座は終了です。ここからが本題です。

令和トラベルで、私と一緒に事業開発を推進してくれる仲間を、全力で探しています!!!!!!!!!

ぜひ私にDM(https://twitter.com/AzusaSugoh)でも、採用ページからのエントリーでも、どんな形でも良いので、ぜひご興味を持たれた方はお気軽にご一報いただけたら泣いて飛んでいきます。

メンバー全員で温かく迎える準備はできています!

welcome !

それではまた👋

Azusa Sugoh

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私たちが運営する海外旅行予約サービス、NEWTはこちらから。

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