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スイングのタメについて(前編)

皆さんこんにちは。
最近急に涼しくなりましたがお元気でしょうか?

さて今回は、ダウンスイングのタメについて気になる出来事があったので、タメについて整理していきたいと思います。

ブログを更新すると、難しくてよく分からんとのメッセージが度々来るので、今回はなるべく分かりやすいように、基礎からじっくり書きました!用語解説がいらないよって人は目次を見て適当に飛ばして読んでください。


さて、このブログを読んでいるゴルファーの中で、プロのスイングをコピーしたいと思っている人はどれくらいいますか?

…おそらくほぼ全員ですよね。
わしもや。笑

タメが大きなダウンスイングから、ハンドファーストでボールを潰し捕らえていく様は見ていて爽快で、とてもカッコイイですよね!

YouTubeやキーワード検索サイトを覗くと、タメやハンドファーストに関する情報がわんさか出てきます。皆さん日々リサーチしているんですね。

で す が !

実際は、私たちアマチュアゴルファーの打球の飛距離の最適化を考えたとき、ツアープロのようなタメやハンドファーストは必要ありません。ほとんどの場合。誠に悲報です。あんなにカッコいいのにね。笑

それはなぜか?についてここから解説していきますが、ゴルフスイングはタメがあればある程いいに決まってる!アーリーリリースは悪でしかない!と思っている人は是非この記事を読んで、一度考えてみてはいかがでしょうか?

では、レッツゲッツスターティッド!



▍タメって何?

今回のテーマである「タメ」。海外では「ラグ(Lag)」と呼ばれていますが、これ↓ですね。

これがいわゆる「タメ」

正面からダウンスイングで確認できる、クラブシャフトと左腕の作り出す角度のことを「タメ」と言います。ピンクのとこね。



強い・大きいタメとは?

タメの多いスイング(なぜ女子プロ?がポイント)

このクラブシャフトと左腕の作り出す角度が小さく狭いほど、タメが強く大きい状態になります。

ダウンスイングでは手元がクラブヘッドより大きく先行していて、手が下降しているのに対しクラブヘッドはまだトップ付近に残っているのが分かります。ヘッドより手の移動距離の方が大きいか、手とヘッドの移動距離が近い状態です。

手とクラブヘッドそれぞれの移動距離に着目



少ない・小さいタメとは?

タメが小さい。アマチュアによく見られる?

一方で、クラブシャフトと左腕の作り出す角度が大きく広いほどタメが小さく、クラブヘッドが手元に追いついている状態になります。(さっきは逆で手が先行し過ぎてましたよね?)

ダウンスイングでは手の位置に対しクラブヘッドは体の真横にあるため、手の移動距離に対しヘッドの移動距離が大きい状態です。


手よりもクラブヘッドの移動距離が大きい



タメがないスイングはエラーなのか?

このタメが少ない状態は「タメが解けている」や「アーリーリリース」などと言われ、スイングエラーとして認識されていますよね。

ダウンスイングの序盤(P4〜P6)でタメが解けるのか?それとも、インパクト手前のP6〜P7でタメが解けるのか?の2タイプがありますが、いずれにせよ、ダウンスイングで一度タメが解けてしまうと、そこからタメを取り戻すことはできません。

…ですが、果たしてこれらの動きは、本当にスイングエラーとして認識されるべきなんでしょうか?

(P4?P6?などPシステムのおさらいはここを見てね。)

どっちもタメがないスイング
左をアーリーリリース、右をスクーピングと呼ぶ人もいます。



タメに直接関わるパーツ

タメが大きい人と小さい人の違いはなんなのか?どうすればタメの大きさを変えられるのか?について考えてみたとき、皆さんはどんな要素がタメに1番直接的に影響を与えていると思いますか?

「腰をフラットに回すからですよね?そしたらトップで手が頭に近くなるし、シャフトを立たせて下ろすことになるから、早くリリースするんですよね?」や「そもそもグリップでしょ」「手を使いすぎてアウトサイドインだから」「トップで胸と手が近く腕が曲がっているから」「下半身を使えてないから手打ちになってタメが解ける」などといった答えがとても多いのではないかと思います。

今、自分の答えが上に挙がってた人は全員不合格です。笑

上の例に挙げた要因は、可能性としてあり得ますが、必ずしも「=タメが解ける」ではないですよね?間接的に影響を与えている動きではありますが、直接的な影響はありません。

タメが解ける解けない問題に対し、圧倒的相関関係にある動きは「両手首」の動きじゃないでしょうか?

特に、両手首の橈屈とうくつを維持できるとタメは大きくなりますし、両手首を尺屈しゃっくつしてしまうとタメは解けてしまいます。

橈屈とうくつはコック、アッパーヒンジ、アッパーコックと呼ばれたり、尺屈しゃっくつはダウンコック、ダウンヒンジと呼ばれることもあります。雑誌や動画などで聞いた事あるんじゃないでしょうか?

この手首の動きには正常関節可動域があります。
尺屈(内転)は55°
橈屈(外転)は25°
(日本整形外科学会より引用)

通常手首はこのくらい動くんですね。

さて皆さんは、アドレスからトップまでのバックスイングで、プロゴルファー達が平均どのくらい手首を橈屈すると思いますか?

(答えは後編に書いてます。)



▍タメとリリースの関係

切り返しのタイミングで作り出されたタメは、インパクトへ向かう中で徐々にリリース(解放)されていきます。

さて、ここからは私が考える「タメがあればあるほどいい」ではない理由を挙げていきます。個人的にタメには「やり過ぎ・やらな過ぎ」があると思ってます。

過度なハンドファースト(タメが大き過ぎの例)

もしダウンスイングで大きなタメをキープしたままインパクトを迎えたら、
振り遅れになります。

これをドライバーでやると結構事故ですし、
ハンドルドラッギングと言われる状態です


では、上のイラストのような「振り遅れ」になってしまったらどんな事が起こるのか?

①飛距離を最適化することができません。
飛距離の最適化とは、そのゴルファーのヘッドスピードを基準としたときの到達可能な飛距離です。タメが強いままインパクトを迎えると、打球は低く飛び出てて、空気中にボールをキープするだけのスピン量もないので、打球はドロップしてしまい、結果として飛距離をロスしてします。

つまりプロよりヘッドスピードが遅い人は、プロのようなハンドファーストはいりません

続いて②難易度の高いスイングになる。
ダウンでハンドファーストが必要以上に強い場合、ある程度のショットが保証される安全ゾーンにクラブを運ぶことが難しくなります。ここからなんとかボールを打つためには、上半身の右サイドベンドを使ってクラブを押し込むか、上体の前傾を起き上がらせて手を浮かせてクラブヘッドを押し込む時間を稼ぐかなど、何かしらの帳尻合わせの動きが必要になります。再現性が低く、やることも多くて難易度が高いです。

①も②もそれが悪いわけではないけど、ちょっとゴルフしんどくないかい?と思います。


アーリーリリースやスクーピング(タメがなさ過ぎの例)

では逆に、ダウンスイングの早い段階でタメをリリースし切った場合は、どうでしょうか?

ダウンスイングの序盤でタメを解放すると、そこから色々な事故が起きてしまいます。よくあるのは、インパクト前にヘッドが地面に到達してしまう「ダフり」とクラブからボールへのエネルギー伝達が低くなり「ボール初速がダウン」してしまうパターンでしょうか。

アーリーリリースからくるダフりを避けるために、手元を浮かせるような掬い打ちになり、
結果フォローで左肘が詰まるのは、あるあるじゃないでしょうか?


だがしかし!!!
ここで1度考えてみて欲しい!

「アーリーリリース=スイングエラー」でいいのか?

先に述べたように、ドライバーのヘッドスピードが50近いプロが、10度のハンドファーストで7番アイアンを打っていたとして、ヘッドスピード43の平均アマも同じ量のハンドファーストがいると思いますか?

私はいらないと思います。
せいぜい3度とか5度でいいですよね。

じゃあ平均アマよりスイングがさらに遅い、ドライバーのヘッドスピードが35の女性ゴルファーの場合、果たしてハンドファーストで打つこと自体に意味があるのか?

どうでしょうか?

私は意味ないと思っています。ローボール打つときを除き、通常のショットでは見た目がハンドファーストな状態である必要はないのではないかなと思います。(バーティカルギアエフェクトも働くため)

ヘッドスピードをベースにして算出した適正なハンドファーストよりタメが大きければやり過ぎですし、タメが少なければやらなさ過ぎと考えるのが妥当な気がしますが、皆さんはどう思いますか?。


余談

ちょっと余談で、アーリーリリースが命綱になってる人が多いのもまた事実です。女子ジュニアのスイングを見ているとよく分かります。(息子がゴルフの試合に出るとき勝手に周りのジュニアを観察してる気持ち悪い母はわたしです。笑)

女子ジュニアによく見られるダウンスイングで体自体(マス)を左へ大きくスライドするタイプのゴルファーちゃん等は、体を左方向へ横移動しながら打つので、タメを維持したままスイングをしたら、クラブが上から刺さってしまいます。ヘッドスピードもあまり出ないのにダウンブローが強かったらボールは飛ばないよね?でもここで少しヘッドをアーリーリリースさせる事ができれば、もろもろの数値が良くなるので(割愛)、上手に球を打つことができます。

ちなみに、このゴルファーちゃん達はこんなスイングでも、スクラッチゴルファーの子が多かったりします。アーリーリリースでもスクラッチです。本人たちが出球の高さやスピン量、飛距離に悩んでいない限りスイングエラーでもなんでもないと思いませんか?

ゴルファーのスキルレベルや目指しているレベル、目標がスコアなのかスイングの見た目なのか?どんな球を打ちたいのか?によって、その動作が「助け」になるのか「妨げ」になるのかは変わりますよね。

なので…そういう事だよ。優秀な読者の皆さんはもう何が言いたいか分かりますよね。どんな動きもいい動き、悪い動きとは一概に言えないのです。



▍おわりに

これはいい動き!これは悪い動き!みたいな固定概念はどうか平成に置いてきてくださいね。

さて、今回の記事を一文にまとめるとするなら「タメが強いからヘッドスピードが速いのではなく、ヘッドスピードが速いからタメが必要なんだ」という事でしょうか。

今回の内容が皆さんの参考になれば嬉しいです。
続編ではちゃんとチェック方法と基準の数値も紹介していますので是非チェックしてください。続きは「こちら」から


このブログではこれからも世界最先端のゴルフに注目して、アマチュアゴルファーの皆さんの役に立つ情報を発信していきます。私が多忙なため更新は超不定期です。是非フォローして、アップデートをお待ちください。

最後までお読みいただきありがとうございました!



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