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クマノミたち

1.クマノミ

今や「ニモ」の方が通じるかもしれない、スズメダイ科の亜科の魚である。
日本近海には6種のクマノミが棲息していて、顔つきや模様がかなり異なる。それを知らずにいると「ニモってこんな凶悪な顔してたっけ?」となるので気をつけたい。

体が黒く、目の後ろと腹びれの後ろに2本の白い線が入っているのがクマノミで、線が1本なのはハマクマノミという。

彼らはじつは、顔がとても怖い。さらに、近づいてくる全てのものに猛然と威嚇をしてくるので、予め心しておかないと「ニモどうしたの!?」と思うこと請け合いである。

ニモのモデルになっているのはカクレクマノミといい、顔まわりが白く縁取られている。
さらに、モヒカン風スタイルが微笑ましい彼らはセジロクマノミ、モヒカン+サイドのラインがあればハナビラクマノミである。


最も珍しいのはトウアカクマノミというやつで、まさかのツートンカラーである。こっちを主役に映画の一つも撮ってくれないだろうかと思うが、まあ無理だろうな。

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2.クマノミとわたし

ダイバーは必ずクマノミを見る。絶対に見る。なぜならクマノミは「見栄えがする」「有名」「決まった場所に棲息する」という3点を備えており、ダイビングガイドの面々からするとおそらく非常にありがたい魚だからだ。

その近辺に潜るほぼ全てのガイドたちがクマノミコースを通るが故に、彼らは人間を「ものすごくでかい侵略者」と捉えている。卵や稚魚を守るため、彼らは小さな体をいからせ、必死に近づくな!アピールを繰り返す。ときには、カメラを構える手の甲などをつつく。噛む。ぶつかる。


結果「インスタ映え」を狙ったはずのクマノミの写真には、ブレたオレンジ色の塊とドアップのイソギンチャクだけが写っている、ということになる。

イソギン映え。

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(水中写真を始めてすぐの頃とはいえ、あまりといえばあまりの写真である。)


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