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アシカとオットセイ

1.アシカとオットセイ

今日はアシカとオットセイの見分け方について学んだ。

どちらも水族館のショーにおいては人気者だ。
だが、わたしは生粋の魚好きで、じつは海獣にはあかるくない。
ボールを鼻に乗せているあの動物は一体。

小さな耳があり、全体につるつるしていたらそれはアシカである。ふさふさしていたらオットセイだ。
ちなみに牙が生えていたらセイウチだし、たてがみがあればオタリアで、体の大きさの割に小顔ならトドと思っていい。

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ちなみに「や〜んカワイイ〜〜〜」と黄色い歓声を浴びているそれはおそらくアザラシなので注意したい。

2.アシカとオットセイとわたし

高所恐怖症で着ぐるみ恐怖症で乗り物酔いがひどく、人混みとはしゃぎ声が苦手なわたしにとって、テーマパークは恐怖の坩堝である。
そこへくると、水族館のなんと素晴らしいことか。むやみやたらなスピードを出す乗り物に振り回されることもないし、おかしな人形が近づいてきたりもしない。水槽の向こうには完成された平和がある。魚は突然大声を上げることもしないし、わたしのことなど気にかけもせず泳ぎ続けてくれる。なんという気やすい空間だろうか。

ところが、水族館の中にはその平穏が一切存在しない空間がある。ショー会場である。
スピーカーからは大音量、トレーナーの笑顔にもやや陰りが見え、子どもは泣き、親は疲れ、椅子は濡れ、アシカだかオットセイだかが食べた魚のにおいがうっすらと漂う。
展示されて「まあきれい」と言われている魚のすぐ横で、階段を数段登った海獣へのごほうびとして与えられる魚がいるなんて、非道以外の何ものでもない。

ただ、海獣の寝ている姿だけは、実家の犬によく似ているので大好きである。

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