小さい中の大きな世界、中之島香雪美術館「館蔵 刀装具コレクション 武家の嗜好品」展

2018年に兵庫県は東灘区にある香雪美術館本館の2館目としてオープンした中之島香雪美術館に行ってきました。刀装具コレクションです。
街に貼られていたポスターを見ては、刀か〜。あんまり興味ないかなぁ〜と思っていたのが一転、先日行った大阪歴史博物館で鍔の展示があり、えぇ〜、こんな小さなところにこんな物語が展開してんのぉと思うことがあり、よし、これは、中之島香雪美術館に行ってみよう。とタイミングよく、開催されていた、「館蔵 刀装具コレクション 武家の嗜好品」展へ興味深々となって行くことになりました。

全て香雪美術館蔵で企画された刀装具コレクションは180点ほどの作品が並んでいます。刀についての知識はほぼないに等しい私。装飾って鍔くらいなのかしらん。と思っているとたくさんの装具が付いていました。その、各名称についても初めのところで、丁寧に紹介してくださっています。馴染みのない言葉と、刀のことをしっかりと考えたこともない私にとっては聞きなれない言葉をではあるものの、なんとなくの想像を膨らませながら鑑賞はスタートしました。普段よく見にいく絵画とは違い、金属で作られた装具の数々。大方のものは金色と黒で構成されており、どこか凛とした佇まいを感じさせカッコいい。本当に細かいまさに「細工」は、作り手、送り手、使い手それぞれの、こだわりと粋が詰まってるんだなぁと面白い。そして、やはり強いものが好まれたのか?と思っていると、”かたいものにかたい意匠は野暮”と考えられていたそうで、おぉ〜、そうかぁ〜とまさに野暮な感想を漏らしつつ、生き物シリーズだけでも、武士の図柄はもちろんのこと、ナマズから蜂、獅子、カタツムリに至るまで様々なデザインがあることに驚きました。アールヌーヴォーとしてよくみるような曲線で表現された水のデザインなどもあり、ヨーロッパの方々も美しいと思ったんやろなぁと想像していました。世界の全てがデザインになったんだなぁと思わせるほど、阿弥陀如来がモデルになったものや、人の拳よりも小さいサイズの中で、秋景や余韻の残る月夜、桜の名所吉野山の風景なども描かれていました。また、ハート型のような縁取りがされたものや、貝尽し図柄などは西洋でもそのままデザインであったのではないか?と思うほどに、洋の東西に共通するようなデザインの面白さがありました。キャプションも詳しく随所に見られ、牡丹は「百花の王」として好まれた意匠であることや、文学や文芸の教養を感じさせるような図柄の中には、「留守文様」という主人公は登場させずに象徴的なモチーフだけで連想させる図柄の解説があったり、ポスターにも使われていた、猿と兎が囲碁をしている意匠は専門の職人が作ったものではなく、普段は殿様の護衛をしていた人が余技として作ったものだ、などを知ることができた楽しい展示でした。

そしてポスターの中心に使われていたのはなんだったのかなぁと思っていると、最後にこれだったのかぁ!とオチのついた展覧会でした。

2月26日まで開催しているようですので、気になられた方はぜひ、行ってみてはいかがでしょうか。
始めは小さいな…、と思ってみているとどんどんその世界の大きさで、この装具たちが手のひらよりも小さいのものであることを忘れる広がりに驚く展覧会でした。

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