お花:邪魔なんだけど邪魔じゃない
対角線方向に座る母親を覗きなら夕飯のテーブルについているのは私の母親である。7月半ばの夕飯時、その日の午後にアレンジメントの教室でもらった花をそのまま家に持って帰ってきて、飾るところに困ったのである。花の種類はデルフィニウム。薄くちりめん加工された生地のように透け感のあるピンクが涼しげで可愛らしい。ひとつの長い主枝から30センチ前後のこれまた長くたくさんある側枝をカットして作った作品であった。デルフィニウムの花だけを集めた花束が入っているような様子の短い足がついた30センチほどの深さがあるシャンパーングラスのような形をした陶器製の白い花瓶。いつもはダイニングテーブルでも端の方に置いたりするのだが、今回の花はデザインも含めて、やっぱりセンターじゃないか?と考えた。誰かが邪魔だ。と言ったら、そのときに動かそう。そう思って”ひっそり”とセンターに置いておいた。それで晩御飯が始まった。それぞれ対角線上にいる相手と話す時には顔をひょっこりさせながらになるが全くクレームは出なかった。
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