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黒の順番1

 かれこれ30年以上の付き合いとなるアトリエの先生から教わったことは、「その線は失敗じゃなくて何になるか考えよう」「このシミをどう活かせるかを考えよう」ということだった。良くも悪くもオーバーに捉えがちな私は、幼いながらにそれを「正解も不正解もないんだな。全てに可能性が秘められていて自由なんだな」と、思っていた。けれど、そんな先生にも1つだけ自由を認めてくれないことがあった。不思議だったが、いつもは全てOKな先生がNGだというのだからのっぴきならないことなのだと思ってきた。それが、黒の取り扱い順序についてであった。「黒は1番最後な」。水彩絵の具でもアクリル絵の具でも油絵の具でも、絵の具というものを使うときには必ず黒は1番最後と言われた。理由は聞いていた。

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