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アルストロメリア

 人もそうだが、草花も見かけによらない、と思う。”柳に風”という言葉で、てっきり柳はサラサラしていて流されやすいのかと思っていた。実際、風に揺れる柳は確かにそう見える。昨年末、餅花を作るために120〜180㎝までちょとした量の枝垂れ柳を入荷した。仕分け中、柳の枝が服や扉に引っかかってギーっと強く引っ張られるたびに柳めっちゃ強いじゃん、全然流されないじゃん、と思った。コスモスが自生している姿を初めて見たときは、親戚の家の庭であっちこっちに広がっている様子を見て、こんなにも自分でタネを飛ばしてどんどん増えていくんだな。と、とても強い花に見えた。これも昨年、生花の花材として扱った。その時、一緒に生けたどの花よりもすぐに水の中で茎が傷んでしまうコスモスを見て、すごく弱い部分がある花なんだと認識を新たにした。今日の題名にしたアルストロメリアも私にとっては見た目との差が大きかった花だ。初めて見たのは花屋さんの奥で売れ残り、少し安くなっていた時だと思う。2枚の二重部分を除けばほぼ一重で、薄く透けるような花びらが、めいっぱい咲き開いた様子はとても傷みやすそうですぐに散ってしまいそうに見えた。それでも安かったことと、一つの軸にいくつか花がついているそのボリューム故に買ってみることにした。それから驚いた。正確な日数は覚えていないけれど、いつ買ったかが曖昧になるくらいまでもった。こんなに長く持つのか、と甚く感動した。先月のアレンジメントでは花材に選ばれていた。同じクラスを受けていた先輩が「アルストロメリア、強いですよね」と言うのを聞いて、私はしみじみ共感した。

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