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ジョージハリスン


突然だが、私はThe Beatlesのジョージ・ハリスンのファンだ。
初めて好きになったのは、小学6年生の頃。
父が車の中で聞いていたThe Policeの曲をもう一度聞きたいと思いYoutubeの検索欄を開いていた所、たまたま予測変換に出てきたThe Beatlesの文字を押した事がきっかけだった。
その時、検索ページの1番上に出てきたのは
"I Want To Hold Your Hand"のMV。
そして動画が始まった瞬間、私はとてつもない衝撃を受けた。
ただ、ぼんやりとこの音楽が好きだという気持ちではない。もはや好きという気持ちを通り越して、世の中にこんなに良い音楽があったのかという感動に近い衝撃だった。

そして、そのMVを見て好きになったのがジョージ・ハリスンというメンバーだったのである。
ビートルズは、活動初期から後期に至るまでほとんどの楽曲のリードボーカル、作詞作曲をジョン・レノンとポール・マッカートニーが担っていたバンドであった。
その為、2人の類稀な才能の陰に隠れた当時のジョージは「静かなるビートルズ」と目立たなさを揶揄するような名称を付けられる程だった。
更に、私個人がファンとして気づいた事だが、ライブ映像を視聴してみるとジョージはソロ曲が非常に少なく、リードギターというポジションであるにも関わらずジョンと比較してとてもギターの音が小さい。
特にライブでは、短いソロパートを引き終えるとギターのノブを触って音を小さく調節しているようにも見える。
また、ハモリパートではパワフルで声量のあるジョンや高くクリアな声質のポールと組むとジョージの声は判別しづらい。その為、小学生だった私はどうにかジョージのパートを聞こうと必死で耳をそば立てていたものだ。

しかし、このような部分を改めて考察してみるとジョージは自分への注目よりも曲のメロディーを保つことに徹していたのではないかと思うのである。
それが理由であるのか、最近私はジョージの弾くたった数秒のソロパートのメロディーが繰り返し脳内で再生されるようになった。
もはやソロ聴きたさに曲を聴くようになった。
それ程、忘れられないのである。

このような状況に陥っている時、私は東洋経済オンラインでとある記事を見つけた。
文中では、ビートルズに関する内容も記載されているのだが、個人的に関心をそそったのが著者が友人から勧められた「ロクの世界」という20分間の短編アニメを鑑賞した所、たった1度観ただけにも関わらず時折映像場面が頭に浮かぶ事があるというエピソードである。

後述には、著者が友人にその話をする場面が書かれているのだが、友人は著者にこのアニメは高尾圭さんという長年アニメ制作に携わってきた方が積み重ねた独力と約1年半という長い期間を費やして制作した作品である事を説明している。
このような背景を知らない一般鑑賞者は、20分間の作品が約1年半という長い制作期間でできたとは夢にも思わないだろう。
しかし、高尾圭さんが注ぎ込んだ情熱は決して徒労となっていないのである。現に一般鑑賞者の1人であった著者は、鑑賞後しばらく経ってからも映像場面を思い出すという体感的な記憶をもって作品の良さを再確認しているのだから。

そして、私は考えたのである。
このような、現象は音楽にも見られるのではないかと。ジョージのギタープレイは前述のようにテクニックやボリュームのあるものではないが、耳をすませて聴いていると1つ1つの音が抑揚をつけながら綺麗な響きで演奏されているのである。しかし、他の音が混ざってメロディーが汚くなる事は無い。もはや、1種の緊張感を感じさせる程である。そして、何と言ってもギターソロはメロディを構成する音数が少ないにも関わらず、何故か耳に残る。

ジョージのギターテクニックに関しては、賛否両論あるようだが、私のように僅か数秒のギターソロが体感的な記憶に刻まれた人間が存在する時点で記憶に残るギターソロを弾くという1種の技術力があるのではないだろうか。

芸術分野では、作品が人々に忘れ去られるという事は作者の本質的な死を意味する。
しかし、ジョージが奏でるギターソロはビートルズ解散から30年の時を経て生まれた人間の記憶に刻まれ、その作品は今もなお聴き続けられているのである。
だからこそ、私はジョージ・ハリスンは紛れもなく優れたギタリストであると信じている。

最後にこれが、若年のジョージ・ハリスンファンが導き出した結論であり、考えである事をくれぐれも忘れないで欲しい。


【参考文献】
東洋経済オンライン
『真の才能は「狂気に満ちた集中」から生まれるIT時代にこそ「真価を発揮する才能」とは?』
名越康文著
URL:https://toyokeizai.net/articles/-/86473?page=2




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