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カテーテルアブレーションの記録

おはようございますこんにちはこんばんは。
みみくろです。

記念すべきnoteの第一投稿が入院・オペの記録っていうのも辛気臭い気もしたのですが、終わった直後に記録しておかないとあっというまに忘れてしまうので忘備録としてしたためることにするです。

まず、何故拙者が入院・オペすることになったのであるか?/カテーテルアブレーションとはなにか?という二点を簡単にまとめます。

●サクッと経緯

・もともと不整脈の傾向があって人間ドックのたびに引っかかってましたが、そのたび精密検査→経過観察という、まぁグレーゾーンに位置しておりました

・しかしながら今年、職場から今までにないほどの未曾有の激務を課され、心身ともに過労とストレスでもう限界オブ限界。
脈が飛ぶ、動悸がする、胸が痛い、心臓バクバクが止まらない。寝ていても自分の鼓動の異変で目が覚めてよく眠れない。そして迫り来る「いつか心臓止まるかも」という不安(まーそりゃ誰だっていつかは心臓止まるんですけどね)
これはちょっとヤバヤバのヤバなのでは、と脅えつつもなかなか病院に行く余裕もなかったのですが、昨年の精密検査の時に「一応来年の予約もとっておきましょう」と予約を入れておいてくれた日になったので、覚悟を決めて相談がてら病院へ。

→ホルター心電図(24時間)で、心房細動と診断される。(長くなるので病気についての説明は割愛しますが要約すると)「放っておくと10年以内に心不全及び血栓が脳に飛んで脳梗塞になるリスクが上がります。投薬でコントロールするという方法もありますが──少しでも若い今のうちにカテーテルアブレーションの施術を受けるのをおすすめします」と主治医に背中をどーんと押されて、オペしていただくこととなりました

●心房細動とは?そしてカテーテルアブレーションとはなんぞや?

人間の心臓が電気仕掛けであることは皆さんご存知のことと思いますが、その「天然のペースメーカー」である「心臓内で正しく心臓を拍動させるために電気を発生させるお仕事」をする部署以外に、まったく違う場所で「こっちでも電気信号出して混乱させちまおーぜー」みたいなゲリラ信号が発生してしまう、それが心房細動というものです。

おかげで、脈拍が乱れ打ち。
ドラマなんかの手術の場面でよく見るモニターで心臓の鼓動の波形が綺麗な山型で表示されるあの曲線が、自分の心電図を見るともはや山型ですらなく、ぐにぐにボールペンの試し書きのようになってしまう時間が数時間にわたって発生していたりするのです。

いやこれはやばいでしょ。

目で見えるデータの威力、絶大。
ちなみに薬でコントロールする、という方法についても教えてもらうものの、その場合は発作→薬、とつらい症状は続き、しかも前述の心不全や脳梗塞のリスクは減らない、とのこと。いやいやいや、いくら人間寿命があるとはいえ、リスクはできるだけひくくしておきたいな、と。

そこで、カテーテルアブレーションという施術を受けることにしたわけです。
これは、メスで開胸するわけではなく(なので手術とは言わず施術らしいす)、先端にレーザーのついたカテーテルを
①鼠蹊部(右足の付け根の静脈)
②右鎖骨下
③手首
などから入れて、造影CTの3D画像見ながら「余計な信号出してる部位」を数箇所焼く(火傷程度)というものです。
すごいね、未来感。
成功率は70%くらい……再発することもあるにはあるそうです(何度か繰り返せば打率は上がる)が、ええやん、もうこうなったらそこはギャンブルやん!(←誰キャラだよ)

以下、入院中の話をつらつらと。

●というわけで、はい、入院

仕事の負荷も即刻減らして欲しかった(何度訴えても言葉では通じなかった)ので、自らの心臓を生贄にして業務負担の軽減の召喚に成功し、最短で入院の予約をとりました。
3/27から三泊四日。
年度末業務真っ只中だがそんなの関係ねぇー!己の命が優先じゃ。(←いっそ気持ちのよい利己主義)

入院は高校の時に一度したことがある程度なのでほぼ初心者。持っていって良かったグッズなどについては(そゆ記事はネット界にいくらでもあるけど)また余力があったら書くとして。

●入院初日

もともと近所で大規模、かつ、主治医が執刀、という好条件の病院にお昼過ぎに出向く。

まず、PCR検査を受ける(陰性でしたヨカッタ)
本当はここで採血もされる筈だったのだが、手違いでそのまま病室へ。
今回、オペ後に長時間身動きが取れなくなる時間があることが事前調査済みだったので、思い切って個室を希望。ビジネスホテル的なシンプルかつ清潔な病室に通される。
荷物を整理しているとほどなく看護師さんが来て、手首に管理タグを巻いてもらい、ここで採血する。

血管が細い体質なので看護師さんに苦労いただく。このあと繰り返し採血や点滴のルートで何度も大変な目にあうのだが、本当に血管見つからなくてすんません。でも自分側も何度も失敗されて無駄刺しされてるので痛み分けということでどうかお許しいただきたく。

採血後、弾性ストッキング(白いハイソックスみたいなやつ。超タイトなしめつけ具合)を装着。ここで右足鼠蹊部からカテーテルを挿れるので体毛を剃るミッションもあるのだけれど、自分は普段から全剃りを潔しとしているので無問題。(我は変態さんではないけれど、高温多湿の日本において超快適に過ごせておすすめなのである)看護師さんに確認だけしてもらいOKをいただく。

あらかじめ、心造影CTと心臓エコーは事前に撮影しているので、この日はこれ以外は特にやることもなく、iPadにダウンロードしていった(病院にはWi-Fiがなく、レンタルするのも面倒だったので)映画などを眺めつつ早めに就寝。……しようと思ったが、枕が!

枕があわねぇええええええ!

サイズもちっさくて、衛生管理のためか樹脂製の小さなパーツみたいなのが入ってる枕なのだけど、だめだ、このままでは後頭部と首と肩が死ぬ。特に術後は半日間、身動きをしてはならぬ!ので、看護師さんに確認をとった上で家の人に翌日枕を持ってきてもらうことにしました。

枕大事。ものすごく大事。

皆様も、入院される際は確認を取ってもし可能なら枕持参、おすすめです。(かさばるけど)

●入院二日目=オペ

自分はその日のオペふたりめ(朝にひとり入っていたので自分はお昼過ぎから)の枠。
朝ごはんは食べられるが、昼と夜は絶食。
つらい。
ごはん二食も食べられないなんて(めそめそ)

朝ごはんを食べて、ソシャゲのルーティンをやって、本でも読もうかと思っだが案外落ち着かないもので集中できない。昼前に家の人が枕を持ってきてくれたので(最近は面会時間が限られていてちょっとばかり不便なのである)枕を設置していると、点滴を刺され、しばらくすると順番が来たと呼ばれる。

●尿カテ問題

聞けば「尿カテ(尿道カテーテル/尿道バルーンとも呼ぶようです)」は入れない方向で、とのこと。
そりゃ、挿れないで済むなら挿れたくないっすよ。男子は悶絶、女子だって不快、と名高いアレですよ。

しかしながら、オペ自体2〜4時間(もっとかかる方も)+術後の安静期間半日。
しかもオペ中は点滴入れたもする。
自分の膀胱がそんな負担に耐えられると思うか?

である。そこでギリギリだが尿カテをお願いし、数分遅れてオペ室へ。

遅刻がなにより嫌いで許せない自分としてはオペに遅れるなど言語道断!青天の霹靂!

拙者、申し訳なくて切腹致す!くらいの気持ちになっていたので、正直、オペ怖いとかそういうのはこの時点ではなかったです。
「遅れてすんません、ほんともう、ちゃっちゃとはじめちゃってください」以外のことは考えられなかった……この性格、良かったのかなんなのか。

オペ室に自力で歩いて到着。室内には15人以上の人がおり、わらわらと取り囲まれ、名前を確認されつつシャワーキャップのような帽子をかぶされ、あれよあれよとでかいモニタのある近未来なオペ台に連れていかれ、背中になにやら貼り付けられたり、手足を柔らかいなにかで拘束される。
なにやら貧血のようなグラグラした視界になってきたのでそれを告げると「そういう薬を点滴してるから大丈夫ですよ」と横たえられ「鼻から温度計入れますねー、どっちの鼻のが通りがいいです?)」(いやそんなん咄嗟に言えないす)とか「手首チクっとしますよ、痺れたら言って」とか、そんか問答をするうちに「じゃ、ナントカ(薬品名)入れて」って……ああ、これは胃カメラ撮る時に耳にする薬剤(鎮痛剤)……

ここでピンクの象達が踊っているシーンカットイン

なんとなく、なんか楽しい、ふわふわとしたいい夢見てたなぁ……んん?えっとー、あれ?自分、オペしてたんとちゃう?

と目覚めたら、もうベッドに乗せられ移動している最中でした。家人の顔をぼんやり確認し、朦朧と病室へ戻る。

ほんとに寝てる間にすべて終わってました✨
痛み、ゼロ。苦痛、ゼロ。

これね、カテーテルアブレーションの体験記で検索すると見事に分かれるんですよ。
意識があってめっちゃ辛かった派と、寝てる間に終わってた派。
自分は後者でしたヤッター!
(やる前から主治医には「寝てる間に終わります」って言われてたけど半信半疑だった)

●さてここからが皆殺しタイムです

オペ終わったし、痛みも全然ないし、楽勝じゃん、と思ったそこの君。
違うのである、ここからがカテーテルアブレーションの正念場。皆殺しタイムのはじまりなのである。

首と手首から入れたカテーテルは細くて、止血もまぁそこそこで良いのですが、鼠蹊部のカテーテル穴は、なにしろ太い静脈につっこんでるし、縫合もしてるので(しかもオペ中血栓が発生しないようにひと月ほど血液サラサラ薬を飲み、さらに手術前にサラサラマシマシ薬を点滴してるので血なんか止まるわけないですヨ)を止血するため、ここから短くても4時間、長ければ半日近い「上半身はともかく下半身は絶対に動かすな、もちろん寝返りもNG」タイムの幕開けです!

つらい。
本当に辛い。
腰も痛くなるし。

自分は、オペ2時前から入って5時くらいに終わったのですが、そこから真夜中1時くらいまでは全く身動きダメでした。8時間身動きNG。
深夜1時過ぎから寝返りは良しとなりましたが、止血部に固い物体が張り付けられてるので(瓶って言われた。瓶?!)寝返り打ってもそれが腿に当たって地味に痛い。
今も酷いあざになってる。とにかく、つらい一夜でした……。
このあたりは病院によっても違うと思うし、受けた施術などの差もあると思うので一概には○時間とは決まってないのだと思われ。
そして、朝になったら外してもらえるから、と言われてたその拘束も、なんか結局、昼近くまでは外してもらえなくてこれはまじでしんどかった。(ここがこの体験談で一番つらかったパート)

●というわけで三日目

人間は皆、夜、苦しさを増し増しで感じてしまう生き物なのであるよ

……って、あ、すんません、主語でかくしちまった、少なくとも自分は、夜、ダメっす。
なんかもう、悲観的になってきちゃうし、全然時間過ぎていかないし。苦行ったらない。
そして苦行の果てに朝日が見える。
朝日、君を待ってた!
あくまで気持ちの問題だけど、夜が明けるだけで苦しみが揺らいでくるような気分。
開けない夜はない。まさにそれ。

ま、実際には結局、このあと鼠蹊部ガッチガチの固定は昼前までとってもらえず痛みは続くし、心電図やら点滴やら、体中に管がたくさんついてて不自由極まりないのも相変わらずですが、尿カテだけは朝一番で抜いてもらえて歩いてもいいお許しが出て、術着からようやく自分のパジャマに着替えて、少しほっとしたところで待ちに待った朝食!なんでも美味しいよ、いやほんと生きててヨカッタ(大袈裟)

採血やレントゲンなどはあるにせよ、この日は経過観察日なのでわりとのんびり。
といっても、37度台の微熱が夕方くらいまで続き、頭痛もあって、あまりなにかをする気になれず、ぼんやり過ごす。

午後に主治医が来て鼠蹊部傷口の抜糸。
まじで痛かった。痛かったです先生。
オペはうまく行ったこと、傷口の様子や採血などのデータも問題ないと伝えてくれる。

主治医は若いけれど頼もしく、割とクールで職人気質。
オペ前も「やるべき決まったことを安全にやるだけです」と淡々と真摯に語っていたのが印象的的でした、かっけーな!

夕方、熱も下がり、頭痛も消え、予定通り翌日退院と聞いて一安心。

●隣の部屋のおっさん問題

実は、隣の個室のおっさん或いは爺さんが、突然叫ぶ、怒鳴る、モノに当たる、というダメなおっさんの満漢全席で(何度かナースコール経由で苦情は申し立てたが……自分が元気だったら「こっちは療養してんだよてめぇ静かにしろや」って暴力沙汰を犯しかねなかったので、まぁよかったのかも。おっさん命拾いしたな)、消灯時間過ぎてもうるさいし、前夜はオペ後で腰やら痛くてあまり眠れなかったので、三日目の昼間は寝れる時にうとうとして不足しいた睡眠時間を補いつつ過ごした。

自分はちょっとした音でもびくっとしてしまう性質なので、ほんと、突然に声を荒げるとか勘弁してくださいよ。ラブアンドピースって言うでしょ?

正直、こっちも安くない差額ベッド代払って静かに療養するための空間確保してるってのに腹立つな!と思ったのは事実ですが、退院しちまえばこのおっさんとは関係なくなるし、こういう人が住まいの隣人や仕事の関係者にいなくて本当に良かったな、と、自らの幸運を喜ぶなどして、なるべくストレスにならない方向に考えを持っていくことにする。

なにしろ心臓にはストレスが大敵なのだ。
大枚叩いて自分に課金した手術をこんなおっさんから受けるストレスで無駄にしたくない!俺は残りの人生、なるべく「嫌なことは秒で忘れて楽しいことだけ考えていく」と、昨夜苦痛にまみれながら病床で誓ったばかりではないか!と我に返り、なるべくおっさんのことは考えずに過ごすよう努力に励む。

しかしまぁ、反面教師として、こういう大人にはなりたくないなー、というのをしみじみ思いました。自分ももういい大人だけど。

●四日目 退院

退院は10時過ぎ、とのこと。
朝もう一度主治医が来てくれて退院した後の今後についてのアドバイスなどいただく。

曰く、
今日は帰られたらシャワーだけにしてください、入浴は翌日からで。
運動などは2〜3日は控えること。ただし普通に駅まで歩くというようなことは大丈夫。
二週間くらいは重いもの持ったりいきんだりしないでください。傷から血が出てきたらすぐ連絡してください。
というようなことです。

あとは荷造りして着替えて、看護師さん立ち会いで忘れ物チェックをして、請求書もらって精算。そして退院!
世は春!桜は満開!
生きてるって素晴らしき哉。

以上、おつかれさまでした。
カテーテルアブレーション、やろうかどうしようかと迷ってる方にはリスクはゼロじゃないものの前向きに考えてみてもいいと思います。皆殺しタイムはつらかったけど、それでも自分はやってよかったです。
脈の乱れが慣れっこになっていていちいち気にしていなかったけど、心臓がきちんと拍動してくれてるってこんなにも快適なんだな、と、実感いたしました。

●オマケ

あ、そうだ。
入院前に結構ネット上のカテーテルアブレーション体験記読んだりしてたけど、あまり皆が書いてなかったけど大切なことをひとつ言います。

このオペ受ける人、男子も女子も、いいからトランクス持って行くべし。
鼠蹊部の傷口には絆創膏みたいの貼ってくれるけど、それでもしばらくは刺激しないに越したことないので、トランクス、推しときます。

以上!チャオ!









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